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さっきはシカトしたくせに
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少し迷ったんだけど、教室の方が近かったからそっちで着替えることにした。
整理体操やってるけどブッチ。こんな格好これ以上晒したくねえしっ!
小走りに向かいながらカチューシャと鬘をむしりとり、自分の席にポイポイッと放る。とにかくストッキングが違和感消えなくて早く脱ぎたいのに、グルグル交差させながら巻きつけられている革紐を外すのに四苦八苦。ようやく両方外れてストッキングに手を掛けたところで、閉めておいた出入り口のドアがからりと開いた。
「智洋……」
ドアに手を掛けたままピタリと動きを止めてしまった智洋は、呼び掛けるとハッと我に返ったように後ろ手に閉めてこっちに向かってくる。
あ、あれ? なんか怒ってる?
屈んで下ろそうとしていた変な姿勢のまま見上げて戸惑っていると、ぎゅうって抱き締められた。
「ま、待って……あの、変なカッコだから、早く脱ぎてえし」
どうやら怒っているわけではなさそうだと安心しつつも、腕をポンポンと叩いて訴えた。
うー、と唸りながら、智洋の手が太腿を撫でる。
けど、まだストッキングの上からだから変な感じ……。
しばらくそのままま撫でていた手が上がってきて、スカートはそのままにストッキングに指を掛けてするりと下ろされる。直接肌に触れる手の平の感触に、息が上がった。
スルスルと下りるのに合わせて、後ろに蹴り上げるように足を上げると、そのまま爪先から抜かれる。じれったくて反対側に自分の手を掛けると、競うように智洋の手がやってきてまた下げていく。
うー……脱がし慣れてるって気がする。ストッキングなんて中学生は履かねえっしょ? 年上とも付き合ってたのかな、智洋。
嬉しいのに切なくなって、頬から口へとやってくる唇から逃げるように顔を背けた。
「和明?」
瞬きして、切なそうに目を細められて。戸惑いながら乱れた髪を撫で付けられる。
気持ちいいし、俺だってしてえけどっ。
「だって、さっきはシカトしたくせに。俺、涙出そうになったんだもん」
目を見て訴えると、思い出してまた泣きたくなってきた。
智洋は目を見張り、それからくしゃりと顔を歪めた。
「あ、あれはだなっ、和明が、その、」
「俺のせい?」
「いやあの、あんなトコで勃ったらマズイし」
──勃ちそうになったんだ……?
かあっと首から上が熱くなり、もじもじと足を擦り合わせる。密着している智洋にも当たっちゃうんだけども。
と。
「あれ?」
なんか今の感触って……。
わあっと声を出して智洋が跳び退った。
紅潮して慌てた顔がめっちゃ可愛くて、ぽかんと眺めてしまった。
俺を見たいんだけど見れないって感じで視線を彷徨わせている智洋は気になるけど、取り敢えず皆が戻る前に着替えようと、肩あてのベルトを外して腰丈のマントごと机に置く。
あー……シャツは部室だから、このままタンクトップの上にジャージ着るしかねえか。
はあと溜め息をつきながら巻きスカートを外して、内側に折り込まれていたトランクスの裾を指先で引っ張り出していると、智洋が硬直してるのに気が付いた。
「どうかした?」
全部引っ張り出してからハーフパンツに足を通す。ぽかんと口を開けている智洋が、恐る恐るといった感じで指差して、その指先がまた震えてんですけど。
「あー、変だよな? んな短いタンクトップ。なんか腰周りスースーするしさあ。でもジャージ着りゃあ大丈夫だよな?」
「いや、その、それもあるけど……じゃなくて、胸……」
喉仏が、動く。
やっぱセクシーだな~、智洋の首のラインとか。
「ぴったりしすぎておかしい? ごめんなー筋肉あんまねえからこういうの似合わねえよな」
もっとマッスルな人なら胸板のラインとか出て格好いいんだろうけどさ。
はは、と誤魔化し笑いしながら羽織ったジャージのジッパーを上げると、智洋がほうっと息を吐きながら肩の力を抜いた。
整理体操やってるけどブッチ。こんな格好これ以上晒したくねえしっ!
小走りに向かいながらカチューシャと鬘をむしりとり、自分の席にポイポイッと放る。とにかくストッキングが違和感消えなくて早く脱ぎたいのに、グルグル交差させながら巻きつけられている革紐を外すのに四苦八苦。ようやく両方外れてストッキングに手を掛けたところで、閉めておいた出入り口のドアがからりと開いた。
「智洋……」
ドアに手を掛けたままピタリと動きを止めてしまった智洋は、呼び掛けるとハッと我に返ったように後ろ手に閉めてこっちに向かってくる。
あ、あれ? なんか怒ってる?
屈んで下ろそうとしていた変な姿勢のまま見上げて戸惑っていると、ぎゅうって抱き締められた。
「ま、待って……あの、変なカッコだから、早く脱ぎてえし」
どうやら怒っているわけではなさそうだと安心しつつも、腕をポンポンと叩いて訴えた。
うー、と唸りながら、智洋の手が太腿を撫でる。
けど、まだストッキングの上からだから変な感じ……。
しばらくそのままま撫でていた手が上がってきて、スカートはそのままにストッキングに指を掛けてするりと下ろされる。直接肌に触れる手の平の感触に、息が上がった。
スルスルと下りるのに合わせて、後ろに蹴り上げるように足を上げると、そのまま爪先から抜かれる。じれったくて反対側に自分の手を掛けると、競うように智洋の手がやってきてまた下げていく。
うー……脱がし慣れてるって気がする。ストッキングなんて中学生は履かねえっしょ? 年上とも付き合ってたのかな、智洋。
嬉しいのに切なくなって、頬から口へとやってくる唇から逃げるように顔を背けた。
「和明?」
瞬きして、切なそうに目を細められて。戸惑いながら乱れた髪を撫で付けられる。
気持ちいいし、俺だってしてえけどっ。
「だって、さっきはシカトしたくせに。俺、涙出そうになったんだもん」
目を見て訴えると、思い出してまた泣きたくなってきた。
智洋は目を見張り、それからくしゃりと顔を歪めた。
「あ、あれはだなっ、和明が、その、」
「俺のせい?」
「いやあの、あんなトコで勃ったらマズイし」
──勃ちそうになったんだ……?
かあっと首から上が熱くなり、もじもじと足を擦り合わせる。密着している智洋にも当たっちゃうんだけども。
と。
「あれ?」
なんか今の感触って……。
わあっと声を出して智洋が跳び退った。
紅潮して慌てた顔がめっちゃ可愛くて、ぽかんと眺めてしまった。
俺を見たいんだけど見れないって感じで視線を彷徨わせている智洋は気になるけど、取り敢えず皆が戻る前に着替えようと、肩あてのベルトを外して腰丈のマントごと机に置く。
あー……シャツは部室だから、このままタンクトップの上にジャージ着るしかねえか。
はあと溜め息をつきながら巻きスカートを外して、内側に折り込まれていたトランクスの裾を指先で引っ張り出していると、智洋が硬直してるのに気が付いた。
「どうかした?」
全部引っ張り出してからハーフパンツに足を通す。ぽかんと口を開けている智洋が、恐る恐るといった感じで指差して、その指先がまた震えてんですけど。
「あー、変だよな? んな短いタンクトップ。なんか腰周りスースーするしさあ。でもジャージ着りゃあ大丈夫だよな?」
「いや、その、それもあるけど……じゃなくて、胸……」
喉仏が、動く。
やっぱセクシーだな~、智洋の首のラインとか。
「ぴったりしすぎておかしい? ごめんなー筋肉あんまねえからこういうの似合わねえよな」
もっとマッスルな人なら胸板のラインとか出て格好いいんだろうけどさ。
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