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犬扱いやめてよー!
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周か……周なら詳しいんだろうな。訊いてみたい気もするけど、どの面下げて俺がんなこと話し掛けられるんだよって感じで。今日ここに来てくれただけで僥倖なのに、ホント自分本位で嫌になる。
先週、追い掛けて行ったウォルター先輩とどんな会話したのかな。一人になりたいって言ってたけど、部屋に帰らずに二人で何か話したのかな。
そういうのすら、俺からは何も訊いちゃいけなくて。
ただ、心の隅に引っ掛かっていて。
いつも通りに接してくれている周だけど、前より一歩下がっているのは判るんだ。ボディタッチしなくなった。その分、辰に触っている気がするけど……それはもしかしたら前からで、俺が気付いてなかっただけかもしれない。
ほっとする反面、ちょっぴり寂しくて。でもそれも、俺のエゴでしかない。
誰か他のヤツを好きになってくれたらとか考えていたくせに、いざ離れたとなると途端に勿体無いことしたって思ってしまう。凄く自分勝手だよ。
俺が周のことを恋愛感情で好きになるなんて有り得ないって思っているのに、周には俺のこと好きでいて欲しいなんて、矛盾してる……友達として、傍にいて欲しいって思うことすら身勝手なのに。
「詳しく教えよっか?」
キューを持った手を前に差し出して、浩司先輩がにやりと笑った。
ええと……それってどっちの……?
まさかさっきの話の続きじゃないですよねー?
ドキドキしながら見上げていると、キューを手渡されて「今はこっち」と囁かれた。
ですよねー!
でも、今はってことは後でがあるのかな?
その日は、また辰も交えてのゲームになり、俺には浩司先輩が、周にはウォルター先輩が付いてオブザーバーみたいな感じでゲームを進めていったんだった。
随分上達してると思うよ~。一人でやってたらこうはいかない。
やっぱり教え手が良いと上達も早いんだね。
いつもの時間に解散して、浩司先輩にそっと囁かれた。智洋と交代で大浴場に行っているのは知ってるから、その間に部屋に来ないかとの打診。
はう! 先輩たちの部屋にお呼ばれ……。
すげえ緊張するんだけど、やっぱり知りたくて。
コクコクと頷いて、一緒に食堂に向かい、テーブルはいつもの席に着いた。
さり気なく見ていると、辰は夕飯も周と一緒みたい。二人の時は周は他の友達とは別の席に座るのも判ってて、隅の方で時々視線を交わしながら和やかに食べている。
辰はあのエロい食べ方対面から見てても平気なのかな~。俺が意識しすぎなのかな。辰とは普通の友達付き合いしてるんだろうし。
やっぱり二人が並んでいると俺と同級生には見えないや。てか、俺が子供っぽいだけなのか……。
ほう、と吐息した時、いつの間にか隣に座っていた智洋に肘で突付かれてしまった。
「なんであいつ見てんの」
ふえ?
顔を上げると、仏頂面でじろりと見下ろされていて。でもそれがちょっと拗ねたような感じでなんか可愛い。
嬉しくてへらっと笑ったら、困ったように眉が下がる。
「えへへ、辰と周が最近仲いいなとか思ってさ」
「ああ……そうなんだ、ふうん」
首を傾げながらも頷いて、二人一緒に頂きますをした。
携はこないのかなあ。
結局携はこないままに俺たちは食堂を後にして、俺は歯磨きが済んだらちょっと手持ち無沙汰。午前中にやることやったし、何して食休みしよっかなあ。
智洋は午後は毎週決めているわけじゃなくて、テニス部の連中と打ち合ったり壁打ちしたり、部屋で勉強してたりと適当にしているらしく、今日はもう予習が済んでいるのか明日の準備をしているような様子。
椅子に逆座りして背凭れに載せた両腕に顎を置いてその後ろ姿を見ていると、肩越しに顎を上げた智洋がちらりとこっちを見て。
済んだのかなって背筋を伸ばすと、智洋がぷっと吹き出した。
「え? なに? 何かおかしい? 俺」
慌ててぺたぺたと顔を触って確認。
一応歯磨きの時に食い零しとかないか見たつもりなんだけど。
智洋はくくっと笑いながら、椅子を回してこっちを向いてくれた。
「いや、ごめん。なんか子犬みてえっていうかさ……背中にめっちゃ視線感じんの。まだかなーまだかなーって感じの。んで目が合ったら目が輝いて座り直すところとかさ、まんま犬が遊んで欲しくて待ってる時みたいでさ」
「ええー……智洋まで俺のこと犬扱いすんの……」
確かに色んな人に言われるし。仕方ねえような動きしちゃってんだろうけど。
確かに頭撫でられるのも好きだったりするけどさ!
ぶーと口を尖らせていると、キャスターを転がしてついっと智洋が目の前まで来た。
「あー……もうな、悪いけどそんな顔も全部可愛いから」
頭に手を載せられて、撫で撫でされたらもう反射で頬の肉が緩む。
そうしたら微笑したままチュッてキスをされた。
先週、追い掛けて行ったウォルター先輩とどんな会話したのかな。一人になりたいって言ってたけど、部屋に帰らずに二人で何か話したのかな。
そういうのすら、俺からは何も訊いちゃいけなくて。
ただ、心の隅に引っ掛かっていて。
いつも通りに接してくれている周だけど、前より一歩下がっているのは判るんだ。ボディタッチしなくなった。その分、辰に触っている気がするけど……それはもしかしたら前からで、俺が気付いてなかっただけかもしれない。
ほっとする反面、ちょっぴり寂しくて。でもそれも、俺のエゴでしかない。
誰か他のヤツを好きになってくれたらとか考えていたくせに、いざ離れたとなると途端に勿体無いことしたって思ってしまう。凄く自分勝手だよ。
俺が周のことを恋愛感情で好きになるなんて有り得ないって思っているのに、周には俺のこと好きでいて欲しいなんて、矛盾してる……友達として、傍にいて欲しいって思うことすら身勝手なのに。
「詳しく教えよっか?」
キューを持った手を前に差し出して、浩司先輩がにやりと笑った。
ええと……それってどっちの……?
まさかさっきの話の続きじゃないですよねー?
ドキドキしながら見上げていると、キューを手渡されて「今はこっち」と囁かれた。
ですよねー!
でも、今はってことは後でがあるのかな?
その日は、また辰も交えてのゲームになり、俺には浩司先輩が、周にはウォルター先輩が付いてオブザーバーみたいな感じでゲームを進めていったんだった。
随分上達してると思うよ~。一人でやってたらこうはいかない。
やっぱり教え手が良いと上達も早いんだね。
いつもの時間に解散して、浩司先輩にそっと囁かれた。智洋と交代で大浴場に行っているのは知ってるから、その間に部屋に来ないかとの打診。
はう! 先輩たちの部屋にお呼ばれ……。
すげえ緊張するんだけど、やっぱり知りたくて。
コクコクと頷いて、一緒に食堂に向かい、テーブルはいつもの席に着いた。
さり気なく見ていると、辰は夕飯も周と一緒みたい。二人の時は周は他の友達とは別の席に座るのも判ってて、隅の方で時々視線を交わしながら和やかに食べている。
辰はあのエロい食べ方対面から見てても平気なのかな~。俺が意識しすぎなのかな。辰とは普通の友達付き合いしてるんだろうし。
やっぱり二人が並んでいると俺と同級生には見えないや。てか、俺が子供っぽいだけなのか……。
ほう、と吐息した時、いつの間にか隣に座っていた智洋に肘で突付かれてしまった。
「なんであいつ見てんの」
ふえ?
顔を上げると、仏頂面でじろりと見下ろされていて。でもそれがちょっと拗ねたような感じでなんか可愛い。
嬉しくてへらっと笑ったら、困ったように眉が下がる。
「えへへ、辰と周が最近仲いいなとか思ってさ」
「ああ……そうなんだ、ふうん」
首を傾げながらも頷いて、二人一緒に頂きますをした。
携はこないのかなあ。
結局携はこないままに俺たちは食堂を後にして、俺は歯磨きが済んだらちょっと手持ち無沙汰。午前中にやることやったし、何して食休みしよっかなあ。
智洋は午後は毎週決めているわけじゃなくて、テニス部の連中と打ち合ったり壁打ちしたり、部屋で勉強してたりと適当にしているらしく、今日はもう予習が済んでいるのか明日の準備をしているような様子。
椅子に逆座りして背凭れに載せた両腕に顎を置いてその後ろ姿を見ていると、肩越しに顎を上げた智洋がちらりとこっちを見て。
済んだのかなって背筋を伸ばすと、智洋がぷっと吹き出した。
「え? なに? 何かおかしい? 俺」
慌ててぺたぺたと顔を触って確認。
一応歯磨きの時に食い零しとかないか見たつもりなんだけど。
智洋はくくっと笑いながら、椅子を回してこっちを向いてくれた。
「いや、ごめん。なんか子犬みてえっていうかさ……背中にめっちゃ視線感じんの。まだかなーまだかなーって感じの。んで目が合ったら目が輝いて座り直すところとかさ、まんま犬が遊んで欲しくて待ってる時みたいでさ」
「ええー……智洋まで俺のこと犬扱いすんの……」
確かに色んな人に言われるし。仕方ねえような動きしちゃってんだろうけど。
確かに頭撫でられるのも好きだったりするけどさ!
ぶーと口を尖らせていると、キャスターを転がしてついっと智洋が目の前まで来た。
「あー……もうな、悪いけどそんな顔も全部可愛いから」
頭に手を載せられて、撫で撫でされたらもう反射で頬の肉が緩む。
そうしたら微笑したままチュッてキスをされた。
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