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金髪王子にボディチェックされています
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部屋に戻って、最早恒例になりつつあるキスをしてから智洋はテニスコートに出掛けて行った。
昨日は勉強が途中で放りっぱなしになっていたから、続きをするために一人で勉強机に向かう。いっぱい抜いてすっきりしたからか、今度は集中してこなすことが出来た。
ちなみに昨夜は机の蛍光灯とかも、後で智洋が消してくれたようだった。かろうじて体に付いた分を拭いたところまでは記憶があるんだけど、多分そのまま智洋のベッドで眠っちゃったんだよね。点呼の記憶すらねえ……。
勉強道具を片付け、明日の授業の用意をしてから時計を見ると十一時を回っている。そろそろ食堂に行こうかなと迷いながら座ったままの椅子をクルクル回していると、コンコンとノックの音がした。
「はい?」
誰だろ……今日はちゃんと鍵を掛けたけど、一瞬心臓が飛び跳ねた。
「お・れ」
──聞き間違えようもないこの麗しい美声は金髪王子ですね!
「は、はいっ! ちょっと待ってください~」
なんで先輩がと慌てたけど、手早く開錠してウォルター先輩を招き入れた。
お邪魔しまーすと言いながら入って来た先輩は、両手をスラックスのポケットに突っ込んでご機嫌な様子で部屋の中を見回している。
一通り見て気が済んだのかようやく俺の顔に視線を落とすと、
「ちゃんと片付けてるね、感心感心」
なんて微笑まれてしまった。
「ありがとうございます」
査察? 視察? なわけでもないよな。
用向きは言わないまま勝手知ったるという風に何故かベッドに腰を下ろし、おいでおいでと手招きされるに至っては心臓バクバクもんなんですけど。
偶然かもしれないけど、俺のベッドで良かったよ……。流石に智洋の方を勝手に使わせちゃったら、いい気がしないだろう。
キシ、と軽く音を立てて二人分の体重を預かるシングルベッドのマットレスが沈んだ。
「あのー……?」
お互いに斜めに向き合うように隣に腰を下ろすと、綺麗に微笑んだままのウォルター先輩がそっと手の平を俺の首に当てた。そのまま撫で擦られてくすぐったさに首を竦めると、ふむと息をついて今度はTシャツの裾から手を差し込まれる。
「っひゃ、」
思わず体を捩ってその手を両手で握ると、「まあまあ」なんてよく判らないことを言いながら俺の手ごと服を捲り上げられた。
色めいた視線じゃあないのは解ったけど、舐めるようにじっくりと肌の上を彷徨う視線に身が竦む。恥ずかしくて上気してきた顔へと視線を戻し、鼻を鳴らしてからようやく先輩は服を戻してくれた。
「あ、あのっなんだったんでしょうか……」
ドキドキが止まらないんですけど!
ウォルター先輩の笑みの種類が、ちょっと変わっているような気がする。笑顔が標準装備だから本当に食えない感じなんだけど、短い付き合いながらも少しは見抜けるようになってきた……と自分では思ってるんだけども。
「伴美ちゃんの弟くんは、見掛けに依らず抱き方が優しいみたいだねえ」
唐突に言われた言葉に、ぽかんと口を開けてしまった。
「なんかいっつも『寄るな! 噛み付くぞ!』って風な表情してるから、てっきり体中に所有印残すものだと」
「ままま待ってください! 俺たちそんなっ」
あまりにもしゃらっと言われたもんだから呆けてしまったけど、手の平を向けて抗議した。
「うっそ。カズくんの雰囲気でばればれだよ~? 少なくともなにかはあったでしょ。肉体的な接触」
はうっ! 気持ちを確認した時もばれてたのに、今度はそんなことまで筒抜けなんですか!?
ヤバくね? 俺、そんなに顔とかに出てんの……。
見事なまでに泡を食って挙動不審になってしまった俺に、ここぞとばかりに先輩が詰め寄ってくる。
「教えてよ、言わないなら下もチェックしちゃうよ」
腰を両手で掴まれてしまいもう逃げられない。その手を必死で引き止めながら、「言いますからやめてください~っ」と懇願していた。
洗いざらい白状させられた俺は、ぐったりしていた。
何この拷問。心の中をレイプされた気がするんですけどっ!
鬼畜っ! 悪魔っ! 絶対この人俺の事おもちゃだと思ってる!
たどたどしく説明する俺をたまにせっつきながら話を聞き終えた先輩は、心底楽しそうだった。
あなたの娯楽を提供してるわけじゃあないんですけど……。
「大丈夫、浩司以外には他言しないから」
にっこり笑い掛けられても、浩司先輩にはバラしちゃうつもりなんですねっ。
昨日は勉強が途中で放りっぱなしになっていたから、続きをするために一人で勉強机に向かう。いっぱい抜いてすっきりしたからか、今度は集中してこなすことが出来た。
ちなみに昨夜は机の蛍光灯とかも、後で智洋が消してくれたようだった。かろうじて体に付いた分を拭いたところまでは記憶があるんだけど、多分そのまま智洋のベッドで眠っちゃったんだよね。点呼の記憶すらねえ……。
勉強道具を片付け、明日の授業の用意をしてから時計を見ると十一時を回っている。そろそろ食堂に行こうかなと迷いながら座ったままの椅子をクルクル回していると、コンコンとノックの音がした。
「はい?」
誰だろ……今日はちゃんと鍵を掛けたけど、一瞬心臓が飛び跳ねた。
「お・れ」
──聞き間違えようもないこの麗しい美声は金髪王子ですね!
「は、はいっ! ちょっと待ってください~」
なんで先輩がと慌てたけど、手早く開錠してウォルター先輩を招き入れた。
お邪魔しまーすと言いながら入って来た先輩は、両手をスラックスのポケットに突っ込んでご機嫌な様子で部屋の中を見回している。
一通り見て気が済んだのかようやく俺の顔に視線を落とすと、
「ちゃんと片付けてるね、感心感心」
なんて微笑まれてしまった。
「ありがとうございます」
査察? 視察? なわけでもないよな。
用向きは言わないまま勝手知ったるという風に何故かベッドに腰を下ろし、おいでおいでと手招きされるに至っては心臓バクバクもんなんですけど。
偶然かもしれないけど、俺のベッドで良かったよ……。流石に智洋の方を勝手に使わせちゃったら、いい気がしないだろう。
キシ、と軽く音を立てて二人分の体重を預かるシングルベッドのマットレスが沈んだ。
「あのー……?」
お互いに斜めに向き合うように隣に腰を下ろすと、綺麗に微笑んだままのウォルター先輩がそっと手の平を俺の首に当てた。そのまま撫で擦られてくすぐったさに首を竦めると、ふむと息をついて今度はTシャツの裾から手を差し込まれる。
「っひゃ、」
思わず体を捩ってその手を両手で握ると、「まあまあ」なんてよく判らないことを言いながら俺の手ごと服を捲り上げられた。
色めいた視線じゃあないのは解ったけど、舐めるようにじっくりと肌の上を彷徨う視線に身が竦む。恥ずかしくて上気してきた顔へと視線を戻し、鼻を鳴らしてからようやく先輩は服を戻してくれた。
「あ、あのっなんだったんでしょうか……」
ドキドキが止まらないんですけど!
ウォルター先輩の笑みの種類が、ちょっと変わっているような気がする。笑顔が標準装備だから本当に食えない感じなんだけど、短い付き合いながらも少しは見抜けるようになってきた……と自分では思ってるんだけども。
「伴美ちゃんの弟くんは、見掛けに依らず抱き方が優しいみたいだねえ」
唐突に言われた言葉に、ぽかんと口を開けてしまった。
「なんかいっつも『寄るな! 噛み付くぞ!』って風な表情してるから、てっきり体中に所有印残すものだと」
「ままま待ってください! 俺たちそんなっ」
あまりにもしゃらっと言われたもんだから呆けてしまったけど、手の平を向けて抗議した。
「うっそ。カズくんの雰囲気でばればれだよ~? 少なくともなにかはあったでしょ。肉体的な接触」
はうっ! 気持ちを確認した時もばれてたのに、今度はそんなことまで筒抜けなんですか!?
ヤバくね? 俺、そんなに顔とかに出てんの……。
見事なまでに泡を食って挙動不審になってしまった俺に、ここぞとばかりに先輩が詰め寄ってくる。
「教えてよ、言わないなら下もチェックしちゃうよ」
腰を両手で掴まれてしまいもう逃げられない。その手を必死で引き止めながら、「言いますからやめてください~っ」と懇願していた。
洗いざらい白状させられた俺は、ぐったりしていた。
何この拷問。心の中をレイプされた気がするんですけどっ!
鬼畜っ! 悪魔っ! 絶対この人俺の事おもちゃだと思ってる!
たどたどしく説明する俺をたまにせっつきながら話を聞き終えた先輩は、心底楽しそうだった。
あなたの娯楽を提供してるわけじゃあないんですけど……。
「大丈夫、浩司以外には他言しないから」
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