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鍵かけていい?
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立ったまんまも何だか変な感じなので、ベッドに場所を変えて腰掛ける。空きベッドを拝借して向かい合ったものの、この微妙な距離感がなんというか……。
意を決して携の方のベッドに移ると、隣に座ってそっと腰に手を回してみた。
うん、落ち着く。
そのまま少し屈んで胸の辺りに頭を押し付けると、心得たように指で髪を梳くように撫でてくれる。
「あのさ、和明……」
んー、とまどろみながら相槌を打つと、
「和明からも、話とか……ない?」
と恐る恐るという感じで尋ねられた。
んー? 話、話かあ……。
あ、そうそう!
俺は会うのを我慢していた間に有った事、同好会のメンバーのこと、それに浩司先輩とビリヤードをしたことなんかをうきうきと話した。携もうんうんと優しい笑顔を向けてくれていて「良かったな」なんて言われて更に嬉しさ倍増だ。
けど、肝心の周のことになると、話していいものかどうか、やっぱり迷う。
それを敏感に感じ取ったのか、携の撫で撫でが止まった。
「俺だって、知っていたいって気持ち、解るよな?」
そう言われてから、心配掛けたくないとか勝手に自分一人で判断している場合じゃないってようやく気付いた。
不安そうに揺れる瞳で俺を見下ろしている携にこれ以上心配なんてさせたくねえけど。でも知らないからこその不安と、もしかしたらそれを携だって他のやつらから耳にするかもしれないわけで。
周からとは思わないけど、あの三人や讃岐に見られている以上、可能性は皆無じゃない。
そうしたら、今の俺より絶対ショックが大きい筈だ。
そっと深呼吸して、ようやく話すことを決意する。
「あのさ……男子寮にずっといるとさ、男同士でその……色々あったりするんだなって初めて知って。でさ、そういうの、なんていうか……実際されてさ。恐くて」
案の定、携の柳眉が寄せられ険しい顔つきになる。といっても他の人から見たら能面みたいに無表情になったようにも感じるだろう。
「あれ、明らかにそういう意図でされたの分かるから。その先まで付き合わされたらと思うと恐くて、最近ずっと逃げてるんだよな、俺。友達としてなら付き合いやすいし嫌いじゃないやつなんだけど、二人きりになるのは恐いよ……」
たどたどしく打ち明けると、携の白い指先が耳の後ろをくすぐるように撫でた。
「それって、具体的にはどんなことされたんだ? 言える?」
こそばゆいながらも気持ち良くて、俺はそのまま腿の上に頭を凭れさせた。
「首筋とか、キス……されて。んで、肌をまさぐられて、う……えと、ち、乳首とかこうっ、なんかいじられて」
あ、流石の携も固まってる! だよなっ、こんなの男同士でしたら気持ち悪いよなっ。聞きたくねえよな!
でも指先はそのまま撫で続けていて、促されていると感じる。
「んでさ、そのままこう、下にも手が行ってだな……あの、扱かれて──」
駄目! もう無理! 恥ずかしすぎて携にだって言えねえってば!!
顔から火が出そうだよーっ!
俺は両手で顔を覆うようにして隠した。
んだけども。
その手首を掴まれて、顔の上から退かされてしまう。
うえぇ……なんという羞恥プレイ……!
でも、もう一度携に視線を戻すと、なんというか……複雑な。一番近いのは、哀しい? って感じの表情で。泣き出すんじゃないかって、思ってしまった。
「くそ……やっぱり……」
やっぱりってなんだろう。やっぱり聞くんじゃなかった? かなあ……。
手首から離れた両手が、包み込むように俺の頬から顎にかけて添えられた。
「そんな顔すんなよ。そこまでで邪魔が入って何もなかったし」
うん、今のところは……だけど。
その後も、智洋が通りかからなかったらヤバイ感じにはなってたけど。
ずっと不安だったけど、携に話したことでちょっと解消されたというか。
勿論何も変わっちゃいないんだけど、知っててくれて心配してくれる人がいるってだけで心強いし、もう携にこんな表情させたくないから絶対に逃げ切って変な雰囲気にならないようにしようって心に決めた。
携は少し顎を引いて頷くようなジェスチャーをした後、何故か顔を上げて視線を逸らせた。それから腕時計に視線を落とし、もう一度自分の腹の辺りにある俺の顔を見下ろした。
もう結構時間経っちゃったかな? 部屋帰らなきゃ駄目か~……。もう少しゆっくりしたかったけど。
「時間? あ、勉強の続き」
「そんなの後でいい。まだ大丈夫だから」
言いかけた言葉を遮られて、またゆるゆると耳の後ろやら首筋やら柔らかく撫でられる。
あ~……極楽極楽……このまま眠れたら最高なのに。
「たずさぁ……眠くなっちゃうから、やめ……」
「じゃあ、眠くならないことする?」
「もしかしてそれって勉強とかいう?」
ギョギョッと目を見開くと、「当たってるとことか分からないトコあるんなら教えるけど、そうじゃないならやらないよ」とクスクス笑われた。
はあ、良かった。俺は携に癒し効果求めてるのに、ここに来てまで勉強なんてなあ。もしも同室だったら、毎晩寝かしつけてもらいたいほどに携の指は魔法の指だ。俺を気持ち良くする為にあるみたい。ってそりゃねえか。
自分で自分に突っ込みをやってクスリと笑っていると、携の指先がそっと唇をなぞった。
あ、今のも絶妙な力加減……って唇にはリンパ腺とかない筈だけど、やっぱ気持ちいいや。
「和明……鍵、掛けていい?」
「鍵……? なんで?」
まあ一応ここはプライベート空間であって、中に二人揃っている時とかは鍵掛けてる連中も多いらしいけど、俺と智洋は掛けたことがなかった。
けどここにおいては携の個室みたいなもんなんだから、掛けたきゃ勝手に掛ければいいのに……。
意を決して携の方のベッドに移ると、隣に座ってそっと腰に手を回してみた。
うん、落ち着く。
そのまま少し屈んで胸の辺りに頭を押し付けると、心得たように指で髪を梳くように撫でてくれる。
「あのさ、和明……」
んー、とまどろみながら相槌を打つと、
「和明からも、話とか……ない?」
と恐る恐るという感じで尋ねられた。
んー? 話、話かあ……。
あ、そうそう!
俺は会うのを我慢していた間に有った事、同好会のメンバーのこと、それに浩司先輩とビリヤードをしたことなんかをうきうきと話した。携もうんうんと優しい笑顔を向けてくれていて「良かったな」なんて言われて更に嬉しさ倍増だ。
けど、肝心の周のことになると、話していいものかどうか、やっぱり迷う。
それを敏感に感じ取ったのか、携の撫で撫でが止まった。
「俺だって、知っていたいって気持ち、解るよな?」
そう言われてから、心配掛けたくないとか勝手に自分一人で判断している場合じゃないってようやく気付いた。
不安そうに揺れる瞳で俺を見下ろしている携にこれ以上心配なんてさせたくねえけど。でも知らないからこその不安と、もしかしたらそれを携だって他のやつらから耳にするかもしれないわけで。
周からとは思わないけど、あの三人や讃岐に見られている以上、可能性は皆無じゃない。
そうしたら、今の俺より絶対ショックが大きい筈だ。
そっと深呼吸して、ようやく話すことを決意する。
「あのさ……男子寮にずっといるとさ、男同士でその……色々あったりするんだなって初めて知って。でさ、そういうの、なんていうか……実際されてさ。恐くて」
案の定、携の柳眉が寄せられ険しい顔つきになる。といっても他の人から見たら能面みたいに無表情になったようにも感じるだろう。
「あれ、明らかにそういう意図でされたの分かるから。その先まで付き合わされたらと思うと恐くて、最近ずっと逃げてるんだよな、俺。友達としてなら付き合いやすいし嫌いじゃないやつなんだけど、二人きりになるのは恐いよ……」
たどたどしく打ち明けると、携の白い指先が耳の後ろをくすぐるように撫でた。
「それって、具体的にはどんなことされたんだ? 言える?」
こそばゆいながらも気持ち良くて、俺はそのまま腿の上に頭を凭れさせた。
「首筋とか、キス……されて。んで、肌をまさぐられて、う……えと、ち、乳首とかこうっ、なんかいじられて」
あ、流石の携も固まってる! だよなっ、こんなの男同士でしたら気持ち悪いよなっ。聞きたくねえよな!
でも指先はそのまま撫で続けていて、促されていると感じる。
「んでさ、そのままこう、下にも手が行ってだな……あの、扱かれて──」
駄目! もう無理! 恥ずかしすぎて携にだって言えねえってば!!
顔から火が出そうだよーっ!
俺は両手で顔を覆うようにして隠した。
んだけども。
その手首を掴まれて、顔の上から退かされてしまう。
うえぇ……なんという羞恥プレイ……!
でも、もう一度携に視線を戻すと、なんというか……複雑な。一番近いのは、哀しい? って感じの表情で。泣き出すんじゃないかって、思ってしまった。
「くそ……やっぱり……」
やっぱりってなんだろう。やっぱり聞くんじゃなかった? かなあ……。
手首から離れた両手が、包み込むように俺の頬から顎にかけて添えられた。
「そんな顔すんなよ。そこまでで邪魔が入って何もなかったし」
うん、今のところは……だけど。
その後も、智洋が通りかからなかったらヤバイ感じにはなってたけど。
ずっと不安だったけど、携に話したことでちょっと解消されたというか。
勿論何も変わっちゃいないんだけど、知っててくれて心配してくれる人がいるってだけで心強いし、もう携にこんな表情させたくないから絶対に逃げ切って変な雰囲気にならないようにしようって心に決めた。
携は少し顎を引いて頷くようなジェスチャーをした後、何故か顔を上げて視線を逸らせた。それから腕時計に視線を落とし、もう一度自分の腹の辺りにある俺の顔を見下ろした。
もう結構時間経っちゃったかな? 部屋帰らなきゃ駄目か~……。もう少しゆっくりしたかったけど。
「時間? あ、勉強の続き」
「そんなの後でいい。まだ大丈夫だから」
言いかけた言葉を遮られて、またゆるゆると耳の後ろやら首筋やら柔らかく撫でられる。
あ~……極楽極楽……このまま眠れたら最高なのに。
「たずさぁ……眠くなっちゃうから、やめ……」
「じゃあ、眠くならないことする?」
「もしかしてそれって勉強とかいう?」
ギョギョッと目を見開くと、「当たってるとことか分からないトコあるんなら教えるけど、そうじゃないならやらないよ」とクスクス笑われた。
はあ、良かった。俺は携に癒し効果求めてるのに、ここに来てまで勉強なんてなあ。もしも同室だったら、毎晩寝かしつけてもらいたいほどに携の指は魔法の指だ。俺を気持ち良くする為にあるみたい。ってそりゃねえか。
自分で自分に突っ込みをやってクスリと笑っていると、携の指先がそっと唇をなぞった。
あ、今のも絶妙な力加減……って唇にはリンパ腺とかない筈だけど、やっぱ気持ちいいや。
「和明……鍵、掛けていい?」
「鍵……? なんで?」
まあ一応ここはプライベート空間であって、中に二人揃っている時とかは鍵掛けてる連中も多いらしいけど、俺と智洋は掛けたことがなかった。
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