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37、精霊婚 1
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「厄介な事?」
「そう!消えないんだ…」
「印がか?」
「うん。魂同士を強引に結んじゃうから…」
だって、サージェは嫌だろう?好きでもない相手に魂まで縛られるような事があったらさ?
ガツン、とサージェスは頭を殴られた様な気持ちがした。リシュリーはサージェスがリシュリーの事を厄介者だと思っていると思っている。それは大いに誤解なのだがサージェスはリシュリーに自分の胸の内を吐露したことがない。
「結ばれると、どうなる?」
「精霊の、加護が貰えるよ。今の身体が滅びてもその魂が存在する限り、その魂と精霊は共に存在することになる。」
「では、初代も……」
精霊王から精霊婚を受けた初代国王。その魂もまた精霊王と共に悠久の時を共にして……?
「うん、ま~ねぇ……あそこはちょっと特殊かな?」
「特殊?」
「ん~~爺ちゃんが離さなかったんだ。」
「国王を?」
「そう。普通は肉体が滅びたらまた何かに生まれ変わることもある。けど、それを待ってられないんだってさ…」
リシュリーは困った様に笑った。
「だから初代国王の魂は今も精霊界にいる。爺ちゃんも僕らも力が極限まで落ちてるから、一緒にいるだけなんだけど、それでもいいみたい。」
「魂が……共に…?」
「そう。だから僕もまだ話したことはないな…」
人間からしたら想像もつかない事である。死んでから尚、共にいられる?
「だから、嫌だろう?精霊が加護を与えるのって相当な事なんだよ。自分のお気に入りで、誰にも渡したく無いの。対象者の意見なんてこれっぽっちも考えない時もあるんじゃない?それで、爺ちゃんは今も離せないでいる。」
嫌だろう?死んでからも縛られるのはさ?
全く気に入らない者にそんな事をされたらただの呪いとしか思えない。けれども、本当に欲しいと思った者からだったら?
「ほら、僕はサージェがどんな人間だって番うつもりだったから、僕はいいんだけどね。サージェは無理しない方がいいよ!」
「私が、どんな人間でも良かったのか?」
「そりゃそうでしょ?サージェしかいないんだし、サージェが女性でも、男性でも、ヨボヨボのお爺ちゃんでも、僕にはサージェしかいないしね…!」
それは熱烈な告白とも言えないか?
そっとサージェスはリシュリーに手を伸ばす。サージェスがどんな相手であっても、リシュリーは絶対に見捨てず、身体を重ねて子を設けてくれると言う。
まるで、世界中で愛する者はお前一人だ、と面と向かって言われている様な気さえする。
「リシュリー、」
「だからサージェは無理しな「受けよう、その精霊婚を…!」」
「ふぇ!?」
リシュリーの言葉に被せる様にして回答したサージェスの言葉にリシュリーの方が変な声を出す。
「だから、受けようと思う。その精霊婚とやらを…」
「は…?何言ってるの!?生きてる間だけじゃ無いんだよ?サージェが死んで、また生まれ変わっても僕、付いてくるんだよ?いいの!?」
「……それがいいと思ったから、そう言った。」
「ふぇぇぇ………?」
「なんだ?何かまずいのか?」
「え、えぇ?え~~~!?だって、だって、だってさぁ!いきなり押しかけて、子供作ろうなんて、強引も良いところな事してるの、よく分かってるし、いや、これやらないと、うちもここも本当に危ないんだけど、それでも、まさか………受け入れて貰えるなんて思わなかったし……だから、子種だけもらおうと……」
思っているよりもリシュリーが動揺し出す。ワタワタと慌てふためきながら言い訳の様なものを並び立てて言い募る。
「リシュリーは私とは不服か?」
どちらにしても、精霊婚に関してはリシュリーに決定権があるのだ。嫌だと思われれば成されることはない。
「不服?不服!?不服だったら、人間と子供なんて作ろうとさえ思わないだろ?ただ、サージェは最初僕を疑ってたし、子供なんて冗談じゃないってそんな雰囲気だったし……」
「最初は、な?だってそうだろう?初めて出会ったのが牢の中では…」
ククッとサージェスが珍しく笑いを堪えて肩を揺らしている。
「……いいの…?本当に?」
人間は厄介な所があるとも聞いていた。心に決めた者ではないと中々了承は得られないとも…
リシュリーはずっと憧れていた。産まれいでてより、精霊王から聞かされていた人間との逢瀬の素晴らしさを…その者が愛しくて離れがたくて、生まれ変わるのを待てないと今も共にいる。
自分もそうなれたらと、憧れはあった…
「そう!消えないんだ…」
「印がか?」
「うん。魂同士を強引に結んじゃうから…」
だって、サージェは嫌だろう?好きでもない相手に魂まで縛られるような事があったらさ?
ガツン、とサージェスは頭を殴られた様な気持ちがした。リシュリーはサージェスがリシュリーの事を厄介者だと思っていると思っている。それは大いに誤解なのだがサージェスはリシュリーに自分の胸の内を吐露したことがない。
「結ばれると、どうなる?」
「精霊の、加護が貰えるよ。今の身体が滅びてもその魂が存在する限り、その魂と精霊は共に存在することになる。」
「では、初代も……」
精霊王から精霊婚を受けた初代国王。その魂もまた精霊王と共に悠久の時を共にして……?
「うん、ま~ねぇ……あそこはちょっと特殊かな?」
「特殊?」
「ん~~爺ちゃんが離さなかったんだ。」
「国王を?」
「そう。普通は肉体が滅びたらまた何かに生まれ変わることもある。けど、それを待ってられないんだってさ…」
リシュリーは困った様に笑った。
「だから初代国王の魂は今も精霊界にいる。爺ちゃんも僕らも力が極限まで落ちてるから、一緒にいるだけなんだけど、それでもいいみたい。」
「魂が……共に…?」
「そう。だから僕もまだ話したことはないな…」
人間からしたら想像もつかない事である。死んでから尚、共にいられる?
「だから、嫌だろう?精霊が加護を与えるのって相当な事なんだよ。自分のお気に入りで、誰にも渡したく無いの。対象者の意見なんてこれっぽっちも考えない時もあるんじゃない?それで、爺ちゃんは今も離せないでいる。」
嫌だろう?死んでからも縛られるのはさ?
全く気に入らない者にそんな事をされたらただの呪いとしか思えない。けれども、本当に欲しいと思った者からだったら?
「ほら、僕はサージェがどんな人間だって番うつもりだったから、僕はいいんだけどね。サージェは無理しない方がいいよ!」
「私が、どんな人間でも良かったのか?」
「そりゃそうでしょ?サージェしかいないんだし、サージェが女性でも、男性でも、ヨボヨボのお爺ちゃんでも、僕にはサージェしかいないしね…!」
それは熱烈な告白とも言えないか?
そっとサージェスはリシュリーに手を伸ばす。サージェスがどんな相手であっても、リシュリーは絶対に見捨てず、身体を重ねて子を設けてくれると言う。
まるで、世界中で愛する者はお前一人だ、と面と向かって言われている様な気さえする。
「リシュリー、」
「だからサージェは無理しな「受けよう、その精霊婚を…!」」
「ふぇ!?」
リシュリーの言葉に被せる様にして回答したサージェスの言葉にリシュリーの方が変な声を出す。
「だから、受けようと思う。その精霊婚とやらを…」
「は…?何言ってるの!?生きてる間だけじゃ無いんだよ?サージェが死んで、また生まれ変わっても僕、付いてくるんだよ?いいの!?」
「……それがいいと思ったから、そう言った。」
「ふぇぇぇ………?」
「なんだ?何かまずいのか?」
「え、えぇ?え~~~!?だって、だって、だってさぁ!いきなり押しかけて、子供作ろうなんて、強引も良いところな事してるの、よく分かってるし、いや、これやらないと、うちもここも本当に危ないんだけど、それでも、まさか………受け入れて貰えるなんて思わなかったし……だから、子種だけもらおうと……」
思っているよりもリシュリーが動揺し出す。ワタワタと慌てふためきながら言い訳の様なものを並び立てて言い募る。
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「最初は、な?だってそうだろう?初めて出会ったのが牢の中では…」
ククッとサージェスが珍しく笑いを堪えて肩を揺らしている。
「……いいの…?本当に?」
人間は厄介な所があるとも聞いていた。心に決めた者ではないと中々了承は得られないとも…
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