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19、初めては牢の中 1*

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「ん……」

 自分との唾液で指を濡らして、後ろの後口にゆっくり挿入して行く。いくら人間ではないと言っても、人間の身体を模倣しているから、人間の身体の許容範囲以外の事をすれば負担がかかるのだ。

「ふ…っん…」

 変な感じ…くすぐったい様な、時々ゾクリと背筋を伝う刺激がある。

「何を…している?」

「ん…だって、慣らさなきゃいけないんだろ?男の身体は不便だね?」

 少しずつ動かす範囲を増やして行く。少し奥に、少し広げて…

「っぁ………」

 ゾクリとした所があって、自分でしているのに声が出てしまう。

「男の身体で、子を産むつもりか?」

 まるで狂言者の弁だ。それをどう信じろと……

「あ…大丈夫…!僕、両方あるから…男性器と子宮…」

「は?」

「ふふ、そうだよね?そんな人間いないもんね?けどね…」

 もし、精霊の血を引いた最後の王族が女性だったら?リシュリーは男性でなければならないし、男性だったら女性だ。精霊の力が弱り切っている今、状況によってどちらかを取る方法は取れなかった。だから、両方…

「ね?人間じゃないからできる技!さ、もう良い?」

 不思議な事に、気持ちいい部分を自分で擦るだけでリシュリーの後口からは愛液らしい物が溢れてくる。
 
 お姉さん達は人口の愛液使うって言ってたっけ…良かった、僕自分で出せてるや…

 これで、子供ができる…良かった……

「よし、萎えてない…入れるよ?」

 お姉さん達が言ってた…ここぞと言う時に萎える男は、大事な所で役に立たないって…王子は有能な様だ。

「おい…正気か?」

「まだそんなこと言って…んん……!」

 王太子の上に跨って、硬くなってる陰茎を自分の後口に押し付ける。

 ゆっくり力を抜いて、息を吐いて……
 
 しっかりと濡れていたおかげか、ある程度の抵抗はあるものの然程痛みはない。

「ふっ…ぅ……ん…」

 ヌヌヌ…と、指とは比べものにならない太さの物が、リシュリーの中を圧迫して擦り上げながら押し入ってくる。

「早まるな…!」

「往生際が悪くない…?王子…入ったよ?」

 王太子の陰茎が全て収まった体内では想像以上の圧迫がリシュリーを襲ってくるので声が震える…

「おっきぃ……」

 中を擦る刺激にリシュリーの腰が震える。

「ふ………」

 王太子の顔が少し苦しそう?眉根を寄せて、でも目は野生の肉食獣の様にギラついてて…

 違うこの顔は知ってる。感じてる、て顔だ…

「王子は…気持ちいい…?」

 リシュリーはこんな感覚知らない。初めて中を抉られる苦しさと、それでも疼く様なビリビリした感覚が少しだけ、怖い…

「後悔、しないのか?」

 息が少しだけ上がってきてる王子はそんなことを聞いてくるけど、次は、動かなきゃね…王子の精を貰わなくちゃいけないから…

「後悔?まさか…僕、これで満足だよ?王子は?もっと動くんだよね?」

 お姉さん達の動きを見よう見まねでやってみる。動くたびに中で太い王子の物が、中を擦り上げてくるのがよく分かって…つい、キュウっと閉めちゃうと更に形がハッキリして…その度にゾクゾク、ゾクゾク、ゾワゾワと背中に快感が伝って…

「ぁ……んぅ……っ…」

 慣れない感覚にどうしても声が漏れる…

「んっ!」

 全くの受け身だった王太子が、下から急に腰を突き上げてきた。

「くそっ…この手を…」

「はず…す?」

 王太子の両腕にはチリっとした痛みが走った。その後フッと拘束されていた圧迫から両手が解放される。

「どうなっても知らんぞ?」

「あぁん…!」

 ガシッとリシュリーは王太子の逞しい両手に腰を掴まれ、王太子のリズムで揺さぶられ始めた。

 演技で声を上げるのよ?そうすれば、大抵の男はのってくるから……ふとリシュリーの頭の中に男をその気にさせる娼館仕込みのテクニックを話すお姉さんの声が過っていく。

 お姉さん達、演技って何?良くわからないけど、上手く、出来てるかな?王子がその気になってくれる程…

「はっぁ…うぅん……あぁ…」

 激しい王太子の腰使いは半ばやけくその様にも思えるが、リシュリーはただ王太子に揺さぶられるがまま身体を預けるしかない。

「くっそ…!出すぞ!」

「う…んっ…ちょう…だ、い…!」

 愛撫も何もない性急な交わりに、それでもリシュリーは満足そうに精一杯ニコリと微笑み、王太子の放った物を全て内に受け止めた。

「…………殿下………」
 
 隣りの牢からは力の抜けきった様な忠臣の声がする…

「お前は、誰だ?」

 タークスの声には応えず、息を整えながら王太子はリシュリーに問うた。

「ぁ……え……リシュリー…」

 惚けきった表情に、上気した滑らかな肌にはうっすらと汗が光る。リシュリーと名乗った青年は、王太子が出会った事がある誰よりも美しい輝きを放っていた。
 












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