本篇完結 光に巻き込まれて目醒めてみれば、めちゃめちゃ甘くなった幼馴染みとお城がある国に飛ばされてました 硬派なあいつはどこいった！？

42 別れていること

　サマンサの瞳が明るくなったような気がする…？目の錯覚…か？

「ふ～～ん、ずいぶん厄介な転移をしてるなぁ…君は巻き込まれだね…」

「「巻き込まれ？」」
　
　翔と俺、同時に聞き返してた…

「そう、本来転移って大体一人が普通なんだけど、時々オマケみたいにくっつくことがある。」

「…どうして…ですか？」

　何となく敬語にしてみた……

「理由は分からん。ここに飛ばされる事自体ここの国の者はなぜかまだ突き止められてはいないからね。」

　サマンサが言うには、転移にもいろいろな理があるらしく翔はそれに巻き込まれただけなそうな。

「砂山から砂を少しでも手前に取れば周りの砂が崩れ落ちてそれも手前に移動するだろう？」

「ええ、そうですね。」

　うん、確かに…

「それと同じ。こっちに引っ張られた晴君か？に翔君が引っ張られた…それも……」

　ここでサマンサはこっちにチラリと視線を送って来る。

「晴君と密接に関わる様な部分を中心にしてね…」

「え…？俺、に関わる部分？」

　何だろ？それ……

「……」

「晴君は分からないか？翔君はどう？」

「……晴を、好きな部分…？」

「そう！正解！良い感してるね！」

「え…？」

　俺はどうやら飲み込めず…？

「ふふ、君達夫夫なんだろ？そこだよ。」

「……」

　夫夫なんて改めて言われたら、昨日のあれそれを思い出してつい赤面してしまう…

「晴君が引っ張られた時、翔くんは側に居たね？」

「あ、はい！居ました！」

　サマンサはうんうんと肯きながら聞いてくれる。

「きっと君が消える瞬間、翔くんは君と共にいる事を強く望んだのさ。離れたくないってね…」

「え、そうなの？」

「いや、覚えてないな…」

「これは意図的には出来ないよ。ほぼ無意識…だから本人は混乱する。」

「へぇなるほど…」

　凄いな、鑑定士…ちゃんと納得できるわ…

「あ…！じゃあ、俺のせい？」

　ふと、俺は重大な事に気がついてしまう。

「はは！それこそ、違うよ！」

「え？」

「元々召喚自体、された方には責任なんてないんだから。」

　一瞬気持ちがダークサイドに落ちそうだった俺は心底ホッとした…サマンサの明るい声には救われる様な気がする。

「で！翔を、翔を元に戻す方法は？」

　安心したら、本来の目的である、翔が元に戻るのかって言うのがズシッと乗っかって来る。俺は身を乗り出す様にしてサマンサに聞いてた。

「そう！大事なのはそこだよ。ここからがややこしくなる。」

「…そんなに？」

　俺は不安な顔をしてたんだと思う…凄く……

「晴…大丈夫だよ。何があってもお前の側からは離れないし…」

　うんうん、と聞いているサマンサ…

「ふん。定型的な巻き込まれだな。ここまで来ると、清々しいわ。」

　翔は俺と一緒にいたいと言う気持ちがほとんどで、ここにいる。その他は？あっちに置いて来た？

「わ、別れてても今後大丈夫なんですか？」

　もし、もし戻れなかったら？ここで普通に暮らせるのか？

「そう思う？」

　サマンサが逆に問いかけて来た。俺がどう思うかって？……もしかしたら、もしかしたら何かいけないことが起こるかもって不安ではある……

「人間はさ、バラバラじゃダメだろ？」

　これがサマンサの答え…具体的にどうなるとか今後の見通しみたいなものは言ってくれなかったけど、多角的な面があって人間なんだって……少しだけ持っていれば良いってもんじゃないそうで、何処かで歪みが起こるそう…それが問題ないと言うのなら生きていけるのだろうね…淡々と言ったサマンサの言葉が、それ以上にズシッと来た……