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32 お願いします
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「今日からお世話になります。」
晴はやや緊張気味に挨拶を交わす。係官スタルトの紹介で異世界転移者が多く働いている部署へ、アルバイト的な位置づけで入れてもらうことになった。
散々翔には反対されたが、俺だって籠の鳥は嫌なんだ!と突っぱねて押し通した形となった。仕事内容としては異世界旅行者のカウンセラーと言うか、相談役。突然に飛ばされてくる者が多い中、パニックに陥る人も少なく無くて同じ様な境遇の人と悩み相談をすることで落ち着きを取り戻したりもするらしい。ので、お相手をお願いします、との事だった。不思議なことにこっちの世界の字が読めるし書く事にも不便はない。まあ、男が妊娠機能貰っちゃうくらいだからもう何があってもいいんじゃない?と言う心持ちで取り組む事にする。俺の仕事は一定時間内で終わるって言うよりも、対象者が居なければ話にならないわけで、全く暇な時もある。そんな時は過去の調書を読んだり、自分の体験を(飛ばされた事限定)で書き出して書類にまとめていたりする。
「晴君、光媒体で来られたんでしょう?」
同じくバイト仲間?のユーキさん(女性・23歳)に打ち解けてきた頃、俺の調書を読んでたスタルトさんが声を掛けてきた。ユーキさんは担当しているお客様とお話中。元の世界はなんでも抗争が絶えないところらしくて、家族もいないユーキさんはこっちに来れて喜んでいるそうな。
「そうです。」
「ふ~~~ん…」
少し、難しい顔してる?
「あの、何かあります?」
「ん?いやね、少しだけ気になった所があったんだけど、どこだったかなぁ?」
何ともはっきりしない様子で何度も調書を読み直すスタルトさん…
「ん~~やっぱりだ。二回目にここにきた時って、翔さん居ました?」
「……!?」
え?あれ?あれれ?待って?一回目の時は?確か、公園で………いや、俺と翔の他にも他校の生徒がいた様な……?
「一回目…他にも周りに少なくともあと二人は確認してるんですけど……あれ?」
他校の生徒どこ行った?
「あぁ、その場に居合わせた全ての人が飛ばされるわけじゃあ無いみたいですよ。まだ研究段階みたいなんですけど…」
「へぇ…じゃあ、二回目は…」
確か、翔の家から逃げ出して走って家に帰ろうとして……あれ?翔は側にさえも居なかった……?
「あれ?側にも居なかったっていう翔も一緒に今回は飛ばされてきたって言う事ですよね?」
「そうなんだよね…珍しいなぁ。僕は一人だったから何とも言えないんだけど、複数で飛ばされてきた人って王宮に誰か居たかなぁ?」
「王宮?」
「ん?そう。取り柄がある人とかは積極的に召し上げられていてね。お城の中で活躍している人も多いよ。」
里心が出て帰っちゃう人もいるから結婚したり子供を産んだりしてないうちは要職にはつけないらしい。が、それでも異世界の知識や技術は珍しく価値が高いため、王城に雇い入れられることが多いそう。
「晴君もいつかはって勧めてあげたい気もするんだけど、う~~ん…良心が傷んで言い出せなかったんだよね…」
何でもこの国の風習は王城内にも健在らしく、王様も男女の愛人侍らせてたり、王妃も逆ハーレム作ってたりとこっちから見たらアブノーマルライフが諸所で展開しているらしく、お勧めもできなかったらしい……
「そうっすか…………」
そう答えるのがやっとだった……
晴はやや緊張気味に挨拶を交わす。係官スタルトの紹介で異世界転移者が多く働いている部署へ、アルバイト的な位置づけで入れてもらうことになった。
散々翔には反対されたが、俺だって籠の鳥は嫌なんだ!と突っぱねて押し通した形となった。仕事内容としては異世界旅行者のカウンセラーと言うか、相談役。突然に飛ばされてくる者が多い中、パニックに陥る人も少なく無くて同じ様な境遇の人と悩み相談をすることで落ち着きを取り戻したりもするらしい。ので、お相手をお願いします、との事だった。不思議なことにこっちの世界の字が読めるし書く事にも不便はない。まあ、男が妊娠機能貰っちゃうくらいだからもう何があってもいいんじゃない?と言う心持ちで取り組む事にする。俺の仕事は一定時間内で終わるって言うよりも、対象者が居なければ話にならないわけで、全く暇な時もある。そんな時は過去の調書を読んだり、自分の体験を(飛ばされた事限定)で書き出して書類にまとめていたりする。
「晴君、光媒体で来られたんでしょう?」
同じくバイト仲間?のユーキさん(女性・23歳)に打ち解けてきた頃、俺の調書を読んでたスタルトさんが声を掛けてきた。ユーキさんは担当しているお客様とお話中。元の世界はなんでも抗争が絶えないところらしくて、家族もいないユーキさんはこっちに来れて喜んでいるそうな。
「そうです。」
「ふ~~~ん…」
少し、難しい顔してる?
「あの、何かあります?」
「ん?いやね、少しだけ気になった所があったんだけど、どこだったかなぁ?」
何ともはっきりしない様子で何度も調書を読み直すスタルトさん…
「ん~~やっぱりだ。二回目にここにきた時って、翔さん居ました?」
「……!?」
え?あれ?あれれ?待って?一回目の時は?確か、公園で………いや、俺と翔の他にも他校の生徒がいた様な……?
「一回目…他にも周りに少なくともあと二人は確認してるんですけど……あれ?」
他校の生徒どこ行った?
「あぁ、その場に居合わせた全ての人が飛ばされるわけじゃあ無いみたいですよ。まだ研究段階みたいなんですけど…」
「へぇ…じゃあ、二回目は…」
確か、翔の家から逃げ出して走って家に帰ろうとして……あれ?翔は側にさえも居なかった……?
「あれ?側にも居なかったっていう翔も一緒に今回は飛ばされてきたって言う事ですよね?」
「そうなんだよね…珍しいなぁ。僕は一人だったから何とも言えないんだけど、複数で飛ばされてきた人って王宮に誰か居たかなぁ?」
「王宮?」
「ん?そう。取り柄がある人とかは積極的に召し上げられていてね。お城の中で活躍している人も多いよ。」
里心が出て帰っちゃう人もいるから結婚したり子供を産んだりしてないうちは要職にはつけないらしい。が、それでも異世界の知識や技術は珍しく価値が高いため、王城に雇い入れられることが多いそう。
「晴君もいつかはって勧めてあげたい気もするんだけど、う~~ん…良心が傷んで言い出せなかったんだよね…」
何でもこの国の風習は王城内にも健在らしく、王様も男女の愛人侍らせてたり、王妃も逆ハーレム作ってたりとこっちから見たらアブノーマルライフが諸所で展開しているらしく、お勧めもできなかったらしい……
「そうっすか…………」
そう答えるのがやっとだった……
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