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25 お一人様 *

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 シャワーを浴びながら、今日のことを考える。沢山の人に会ったし、変な風習はあるし…ここで暮らす事、も考えた。でも帰れるなら帰ったほうがいい事も良く理解してる。
両親は?心配してるか?友達は?翔の家だって心配してるだろ?

 バシャバシャと流れ出る熱い湯で汗は流れるけど、悩みは流されない。

 翔だけでも返す?それとも一緒に?でも……また……無理やりにあんな事があったら人生投げてしまいそうだ…

 どうしよう……グルグル回る思考は回る…

 体を洗いながら、翔が触った手の感触をどうしても思い出す…際どい所も触られた…あいつ……あの時よりも優しい手つきで……忘れようと思っても、結局は忘れることなんて出来ないんだ。どんなに否定しても、自分が感じていたのだって忘れる事なんて、出来ない…本当に、なんて事をしてくれてんだ…
 
 嫌だったけど、気持ちは良かった…クッソ!反発する感情がグルグルしてる。

 そう言えば……あの日以来、自分でしてない……最後があいつの口………ぶわっと顔に熱が上がる。さっき見た男前の奴の口で……

 もう、ヤダ……リアルに感覚を思い出しただけで息子さんが反応する。

 あいつの、口……

「ふっ…うっ……」
 
 久しぶりに触るもんだから…感覚が強すぎて…声が…

「ん…ぅん……んんぅっっ.…」

 呆気なく、果てた理由があいつの口の感覚なんて………終わってる……

「はぁぁぁぁぁぁ……」

 風呂場で一人盛大なため息が出た……

 翔を思いっきり殴り飛ばした手前、罪悪感がハンパない…

 どうしたらいい………?ここには、相談なんてできる相手いないしな……

 シャワーを止めて、バスローブを羽織る。
まだ、夜は明けない…

 着替えがわからないから、このまま寝る?ペタペタとベッドルームに戻ってきたら、翔が起きてこっち見てた……

 うわぁ………………………

 罪悪感…で顔が見れない。ふぃっと視線を外して翔に聞く。

「着替え、どこ?俺、分からん……」

「シャワーするなら起こしてくれて良かったのに…」

 翔もわざわざベッドから出て来た。

「う……ん……」

 居た堪れない……

「早くこっちにおいで?冷えちゃうから…」

「や、着替え……」

 ふあぁ、と欠伸をしながら翔が来て、ヒョイと抱き上げられてしまった…

「ちょ…」

 ここの所抱き上げられる事が多くて気が緩んでたけど、そのままベッドへ連れ戻された。

「重いだろ…?」

 何となく今は身体に触れてもらいたくなくて、全く関係無いことを言ってみる。

「重くないよ、晴は…逆に減ったから…少し心配してる…」

 そうか?ちゃんと食べられない時もあったから?

「服は朝出してあげるよ?だから今は寝よう?昨日沢山歩いたんだから疲れたろ?」

「ん……」

 わしゃわしゃとタオルで髪の水分をしっかりとって翔は俺ごとベッドに戻る。
 
 翔?寝ぼけてるのか?いつもだったらベッドの端に行くのに、俺を抱えたまま横になってそのまま寝始めた。

「翔……ちょっと…」

 ぐっと腕で押し返す…けど、翔は引かない…

「晴…今日一緒でも大丈夫そうだった…街でもここでも、だからもう少しだけ…くっつかせて……」

 何時もだったら無い懇願…言わないのにやるって言うのがこいつのスタイルみたいになってたけど、ちゃんと反省してるみたいだ。

 触れさせてってまずは言うべきだった…
 翔の言葉が胸を過ぎる….
 
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