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5 出たらそこには
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あっという間?の夜は過ぎ、森から聞こえる音で異常な緊張と翔の行動から来る脱力とを繰り返しても夜明けを迎えることができた。幸いだったのは獣らしい野生動物が出てこなかったという事だろうか…
最初居た場所からかなり歩いて来たけど、やっぱりスマホは圏外で、夜が明けるのと同時に少しずつ薄くなって来た木々の間の道なき道をとりあえずズンズン進んでいく。
体力の消耗が心配だったが、運の良い事に弁当持ってたし、食事は取れた。ただほぼ寝てないって事で睡眠不足でボゥッとしてる。だからもう、翔の行動に突っ込みも入れたくはないんだ。
「お前、ブレないな……」
もう、何回言ってもダメだった。寄ってくるな、と……気を抜けば既に隣にいるし、腰をガッチリホールドされてる。お前、他にも注意すべき事は絶対に山の様にあるこの場所で、全神経それにしか向いていないのかって言うほど、隙を逃さない。
はっきり言って防ぐこっちの体力の方が勿体なくて、かなり前から抗議する事も諦めてしまってた。
明るくなって来たから、夜の緊張も取れて来てさっさと森を出ようっていう意欲に駆られる。
「晴…おはよう。」
身体を密着させながら、翔はそれだけなら爽やかな挨拶をして来た。
「おはようも…何も…」
俺ら一睡もしてないのね?そんで何で今更挨拶を?
「朝日の中で晴に言いたかったんだ。晴が居てくれて良い朝だね?」
「………それ、森を出てから言おうか……?」
ここを脱出出来なければ、いずれ遭難……助けも呼べず、最悪餓死………なのに良く言えるな……
「大丈夫。迷ったら俺が晴を抱いてここから出るよ…」
「…いえね、翔さん。既に迷っててですね?夜通し歩き回ってたよね?そろそろ本気でここから出たいんだけど…」
「疲れちゃった?」
「お前、アホなの?徹夜で歩いて疲れない奴いるのかよ?」
ここに来た当初よりも足元にも草が少なくなって歩きやすくなって来ていて、疲労が祟っていた身体にはかなり優しい。
「ん~こっちの方行ってみる?」
腰に手を置いたまま、翔は恋人をエスコートする様にリードしようとする。俺はもうどうにでもしてくれ、という心持ち…
「あっ!…」
木の切れ目から、緑の森以外が見えている様な気がする。自然と足早になって数メートル先の景色を見ようと先を急いだ。
「おぉ!!」
見えた先には森ではなくて、畑!それも荒れ果てた奴じゃなくて、綺麗に耕されていて新芽の列が整然と並んでるやつ…!
「人がいる!」
散々夜道を歩いて、人っ子一人も見なかった俺には人の生活臭が物凄く恋しかったみたいだ。良く考えたら大勢の人が生活している所にいたんだから人はいるよな…?
「森…抜けたね?」
当然の様に翔はピッタリと今度は後ろに張り付いて、抱きしめる形で寄り添って来た。
「おんや?新婚さんかな?」
人の声だぁ!!翔以外の声を聞くの何時間振りだよ?
「珍しいねぇ?こんな所で?」
「おはようございます。」
お、あの翔が和やかに人に挨拶しとる…!?
「新婚旅行できたんでしょう?ここには何にもないけどねぇ……」
声が聞こえた方にグリッと身体を回して目をやれば、見慣れない服装の中年の男女?二人とも白いブラウスに女性は茶のロングスカート、男性は茶のズボン。お揃いのコーディネイトでも近所では見かけない着方だ。
にこやかに声をかけてもらって嬉しいんですけどね?んん??今何と言ったの?
「あの?新婚さんとは?」
俺の笑顔は引きつっていたに違いない。何しろ疲れているんだ…心から出る喜びだったら別だが、愛想笑いにもう力は注げない…
「あらあら、照れちゃって…ふふふ。可愛い奥さんねぇ?こんなに格好の良い旦那様だったら照れちゃうのもわかるわぁ!」
少し頬を染めた女性が続けて言った言葉に、横っ面を叩かれた様な気がする……
あの、新婚って……旦那って、何……??
最初居た場所からかなり歩いて来たけど、やっぱりスマホは圏外で、夜が明けるのと同時に少しずつ薄くなって来た木々の間の道なき道をとりあえずズンズン進んでいく。
体力の消耗が心配だったが、運の良い事に弁当持ってたし、食事は取れた。ただほぼ寝てないって事で睡眠不足でボゥッとしてる。だからもう、翔の行動に突っ込みも入れたくはないんだ。
「お前、ブレないな……」
もう、何回言ってもダメだった。寄ってくるな、と……気を抜けば既に隣にいるし、腰をガッチリホールドされてる。お前、他にも注意すべき事は絶対に山の様にあるこの場所で、全神経それにしか向いていないのかって言うほど、隙を逃さない。
はっきり言って防ぐこっちの体力の方が勿体なくて、かなり前から抗議する事も諦めてしまってた。
明るくなって来たから、夜の緊張も取れて来てさっさと森を出ようっていう意欲に駆られる。
「晴…おはよう。」
身体を密着させながら、翔はそれだけなら爽やかな挨拶をして来た。
「おはようも…何も…」
俺ら一睡もしてないのね?そんで何で今更挨拶を?
「朝日の中で晴に言いたかったんだ。晴が居てくれて良い朝だね?」
「………それ、森を出てから言おうか……?」
ここを脱出出来なければ、いずれ遭難……助けも呼べず、最悪餓死………なのに良く言えるな……
「大丈夫。迷ったら俺が晴を抱いてここから出るよ…」
「…いえね、翔さん。既に迷っててですね?夜通し歩き回ってたよね?そろそろ本気でここから出たいんだけど…」
「疲れちゃった?」
「お前、アホなの?徹夜で歩いて疲れない奴いるのかよ?」
ここに来た当初よりも足元にも草が少なくなって歩きやすくなって来ていて、疲労が祟っていた身体にはかなり優しい。
「ん~こっちの方行ってみる?」
腰に手を置いたまま、翔は恋人をエスコートする様にリードしようとする。俺はもうどうにでもしてくれ、という心持ち…
「あっ!…」
木の切れ目から、緑の森以外が見えている様な気がする。自然と足早になって数メートル先の景色を見ようと先を急いだ。
「おぉ!!」
見えた先には森ではなくて、畑!それも荒れ果てた奴じゃなくて、綺麗に耕されていて新芽の列が整然と並んでるやつ…!
「人がいる!」
散々夜道を歩いて、人っ子一人も見なかった俺には人の生活臭が物凄く恋しかったみたいだ。良く考えたら大勢の人が生活している所にいたんだから人はいるよな…?
「森…抜けたね?」
当然の様に翔はピッタリと今度は後ろに張り付いて、抱きしめる形で寄り添って来た。
「おんや?新婚さんかな?」
人の声だぁ!!翔以外の声を聞くの何時間振りだよ?
「珍しいねぇ?こんな所で?」
「おはようございます。」
お、あの翔が和やかに人に挨拶しとる…!?
「新婚旅行できたんでしょう?ここには何にもないけどねぇ……」
声が聞こえた方にグリッと身体を回して目をやれば、見慣れない服装の中年の男女?二人とも白いブラウスに女性は茶のロングスカート、男性は茶のズボン。お揃いのコーディネイトでも近所では見かけない着方だ。
にこやかに声をかけてもらって嬉しいんですけどね?んん??今何と言ったの?
「あの?新婚さんとは?」
俺の笑顔は引きつっていたに違いない。何しろ疲れているんだ…心から出る喜びだったら別だが、愛想笑いにもう力は注げない…
「あらあら、照れちゃって…ふふふ。可愛い奥さんねぇ?こんなに格好の良い旦那様だったら照れちゃうのもわかるわぁ!」
少し頬を染めた女性が続けて言った言葉に、横っ面を叩かれた様な気がする……
あの、新婚って……旦那って、何……??
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