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「カイン…リンカの周りにはお友達が沢山いたでしょう?」

「あ、うん。この間、会ってきたよ?」

「何も言っていなかった?」

 スキャンダラスな僕の告白にも母さんは冷静で静かに話していて、こっちが帰って拍子抜け…

「特には、まだ、こんな事話せないし…」

「カインにも、好きにする権利があるな……」 

「そうね…」

「何のこと?」

「もう少し、皆んなと話してみるといいな、と母様は思うのよ。」

「話す?……姉さんについて、皆んなに話を聞けばいいって事かな?」

「そうだね…カイン、私達はね。ローニス君には申し訳ないが、リンカが幸せだったら何でもいいと思っているんだ。」

「でも、それじゃあ、ローニス義兄さんの立場も名誉もあちらの家族だって疎かにするって事じゃないか!」

「ローニス君の生前はね、それは満足そうに見えたよ?勿論リンカもね。別離後のことなら、リンカの思うようにしていいと思っている。それは、彼方のお宅も同じなんだよ。前に話したね?」

「……分かりました。父さん。周りの友達に何か知っているか聞いてみます。」

 納得は出来ないが、姉さんの幸せ……これを言われたら止めたらいいのか、止めない方がいいのか、凄く、悩む……



「カイン、お前、前々から思ってたけど、かなりのシスコンだぞ?」

 ジョン…手痛いご指摘ありがとう。だが、今に始まったわけじゃなし、これはもう、性格の一つとして、きっと僕の中に形成されちゃってる物なんだよ。治らないね、きっと。

「ま、心配なのはわかるけどなぁ~」

「分かってくれるかい?友よ!」

「やめれって!でもな~他の人の影なんて見た事も聞いた事もないけどな…」

 だって、遊びに行くのも俺達くらいだろ?

「うん。そうなんだけど、でもあの荷物は……如何しても女性用じゃ無いし、飲まない酒、買う?」

「家にはそんな余裕ないから買わんな…」

「家もだよ…今まで姉さんも買った事ないと思うよ…」

「だから、誰かいるって思ったんだろ?」

「うん…」

「しばらくさ…様子みたら?同じ街にいるんだし?知り合いなんかも沢山いるだろ?何かあれば自然と耳に入ってくるもんさ。」

「確かに……」

 姉さんからはストーカー紛いのような事言われたしな…誰か雇うか?

「おい、カイン…見守るって、じゃ無いからな?」

 またまた、手痛い指摘を的確にくれて、僕は良い友達を持ったと思う。
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