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「その花の色だよ?」 


 花の色がどうしたって?
 今貴方のご実家の店を飾ろうとしている
 花の事でしょ?
 どうしてそれがプロポーズに直結するの?
 
 
 おじ様の好みに合わせた、お店の雰囲気を壊さない色合いをチョイスした物を私が用意すれば、ローニスは可愛らしい、如何にも女の子が好きそうな小花やら、彩り鮮やかな数種類の花やら統一性がない。ま、お花に罪はないし可愛いのだけど、お店の雰囲気?何処行った?と小首を傾げたくなるものだった。


「この花?おじ様のお店にはぴったりでしょう?落ち着いているし、ケバケバしくないし、上品に見えるから年配のお客様にも受けること間違いなしよ?」

 なのにローニスの花ったら…
  
 それを飾りたいのなら、自宅にすれば良いのにそれさえにも首を横に振って頑として受け入れてくれない。


 なのに….意地悪なのに…


「その花、僕の好きな花でしょう?リンカ。君が好きなのは、僕が持ってきた花。」


 なのに………ちっとも仲良くなんて
 なかったのに、私の好きな物を
 すんなりチョイスして、用意してくる……

 
「……そうだけど、でもお店に合わせないとお花だけ浮いちゃうじゃない!?」 


「それでも良いんだ、リンカ。この店のデザインはさ、父が僕にやらせてくれたんだよ。いずれ自分の店になるからって…」


 え?おじ様のお店でしょ?
 いずれはローニスのっていうのは
 分かるけど。


「それに、リンカいつも僕の好きなものとか選んでるの知ってるよ?」



 ~~~~~~~!!!!!!
 ばれてる!ばれてたの?いつから?!!


「ね、リンカ。僕達似たもの夫婦になると思わない?」


 楽しそうにクスクス笑いながら、ローニスはそんな事を言う。




 それから6ヶ月間、どちらかの命が尽きるその時まで続くと信じていた結婚生活は、ローニスの突然の事故死で幕を閉じる………
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