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赤茶の瞳が見下ろしてくれている。私のす好きな、アクサードの瞳…
「スロウ、分かっているのか?俺の好意は、この様な好意だ……」
アクサードの瞳が揺れる…
「充分に分かっています。私だとて無垢な娘ではありませんよ?分かっていて、貴方にそう伝えました。逆に、私で良いんですか?」
聞く内容が余りにも羞恥を誘って…スロウルは視線を合わせていられず、目を伏せてしまう。
「俺は最初から、お前と共に生きたいと言っている。」
屈んだアクサードの、低い声が、すぐ耳元で響き頭の中に染み込んでくる。
チュ…耳元にキスを落とされる…
チュッチュッチュッ…
耳から、首筋にかけて細かい口付けを落とされながらくすぐったさに耐えれば、耳朶を舐められ、ピクッと肩が震えた…
「スロウ……」
キスは頬へ移動し、アクサードはスロウルの名前を呼ぶ。
上気した頬に手が添えられてアクサードの方に顔を向けられ、熱い唇に口を塞がれた。
「んっ…」
柔らかく、そっと触れた唇は次にゆっくりと深く合わさって来る。
初めて、好きだと思った人にこうして触れる…ただ自分の恥を強引に晒されるのではない、違う種類の羞恥にスロウルは戸惑う。
「っ…やっ…」
執拗に唇を求めては優しく、強く吸い付いて来るアクサードを見ることが出来なくて、目を閉じたまま体の中から湧き上がる熱に翻弄される。
見なくても、多分自分は真っ赤になっているに違いない。体が…顔が熱くて仕方ない……
「…スロウ……スロウル…?嫌か?」
少し、掠れたアクサードの低い声が心配そうな声色を見せた。
フルフルと首を振っては嫌じゃない事を伝えるが、恥かし過ぎて、熱の逃げ場が無くて、スロウルもどうしたら良いのか分からず、ただギュッと目を瞑ってアクサードに自分から抱きついて行く。
こんな事、自分からするなんて思わなかった…
少し冷静な自分が、今自分で何をしているのか観察している様で、居た堪れない…
チュッチュ、と優しく宥める様にスロウルの髪に口付けを落として行くアクサード。
フゥゥゥゥゥ…という熱くて深いため息が髪にかかり、アクサードも何かに耐えていることが分かる。優しいキスとは反対にギュウと抱きしめる手には力が篭った。
「アク…サード?」
「ん?」
抱きしめたまま動かなくなったアクサードに声をかける。
自分から、何かした方がいいのだろうか?
今までの者達は、触らせたりとか、そういう事を望んできたし…喜んでいた様だし…
「私が…あの、何か、した方が良いですか?」
アクサードが何を求めているのか大体わかる様な気がしている…のだが、
「………俺が、する………」
今までじっと抱きしめたまま動かなかったアクサードが身を起こしたと思ったら、じっとスロウルのシルバーブロンドの瞳を覗き込んでくる。
怒っている?何か、不快な事をしたか、言ったか?真剣な目つきの整ったアクサードの顔は些か違った迫力がある。
「……怒ってはいない…ただ、お前にそんな事を言わせた奴らに、焼いている……」
そんな事を言われても、今まで触れた者達は、スロウルをこんな表情にはしなかったし、スロウルの身体をこんなに熱くもしなかった……
アクサード、貴方だけなのに……
それでも、貴方は焼くという…
喜んでいいのか、恥かしがればいいのか、泣けばいいのかわよく分からない感情にスロウルはもみくちゃにされて、自分の心に驚くばかりだ。
「アクサード、私は貴方だけ、それだけでいいです。」
合わせていた瞳をやっとの思いで外して、自分の心を口にする。それだけでも苦しいから早く楽にして欲しい…
「スロウル、頼むから、そんなことは言うな…」
耐えがたい何かを耐えるような表情でアクサードが深く口付ける…
優しく舌を絡めて、時折強く吸い上げられれば、知らずピクリと背が跳ねる…
「んぅっ…ふっ……」
力の抜けた体からは、吐息とともに声が洩れて更にそれすらも吸い取るみたいにアクサードはスロウルを吸い尽くしていく。
アクサードの房事など聞いた事もないが、公爵家の教育の一環に、この手のこともあったのかも知れない…
経験ならスロウルにだってあるし、アクサードを責めることはできないが、それでもアクサードだけが良いと、逆にアクサードで無くては嫌だと心が叫んでいる。
アクサードも…?私だけが良い?
「当たり前だろうが!こっちの経験は知識だけだ…」
口に……出てた………
ぶっきら棒に言い切ったアクサードに、また強く口を塞がれる。手が、何時もより、力が入っている様な、しっかりとしたアクサードの手が全身を摩り始める…
如何しても、身体が反応する場所はあるもので、摩り上げる手に合わせて塞がれた口からはくぐもった声と、少しはねる体が事細かにアクサードにそれを示している。
先程着替えた服は脱がされ、スロウルの白い肌がアクサードの目の前に晒された。
脱がした後も手は止まらず、反応を示す場所をゆっくりと丁寧に撫でるものだから、スロウルは声を殺しながら、目に涙を溜めていく…
「スロウ、分かっているのか?俺の好意は、この様な好意だ……」
アクサードの瞳が揺れる…
「充分に分かっています。私だとて無垢な娘ではありませんよ?分かっていて、貴方にそう伝えました。逆に、私で良いんですか?」
聞く内容が余りにも羞恥を誘って…スロウルは視線を合わせていられず、目を伏せてしまう。
「俺は最初から、お前と共に生きたいと言っている。」
屈んだアクサードの、低い声が、すぐ耳元で響き頭の中に染み込んでくる。
チュ…耳元にキスを落とされる…
チュッチュッチュッ…
耳から、首筋にかけて細かい口付けを落とされながらくすぐったさに耐えれば、耳朶を舐められ、ピクッと肩が震えた…
「スロウ……」
キスは頬へ移動し、アクサードはスロウルの名前を呼ぶ。
上気した頬に手が添えられてアクサードの方に顔を向けられ、熱い唇に口を塞がれた。
「んっ…」
柔らかく、そっと触れた唇は次にゆっくりと深く合わさって来る。
初めて、好きだと思った人にこうして触れる…ただ自分の恥を強引に晒されるのではない、違う種類の羞恥にスロウルは戸惑う。
「っ…やっ…」
執拗に唇を求めては優しく、強く吸い付いて来るアクサードを見ることが出来なくて、目を閉じたまま体の中から湧き上がる熱に翻弄される。
見なくても、多分自分は真っ赤になっているに違いない。体が…顔が熱くて仕方ない……
「…スロウ……スロウル…?嫌か?」
少し、掠れたアクサードの低い声が心配そうな声色を見せた。
フルフルと首を振っては嫌じゃない事を伝えるが、恥かし過ぎて、熱の逃げ場が無くて、スロウルもどうしたら良いのか分からず、ただギュッと目を瞑ってアクサードに自分から抱きついて行く。
こんな事、自分からするなんて思わなかった…
少し冷静な自分が、今自分で何をしているのか観察している様で、居た堪れない…
チュッチュ、と優しく宥める様にスロウルの髪に口付けを落として行くアクサード。
フゥゥゥゥゥ…という熱くて深いため息が髪にかかり、アクサードも何かに耐えていることが分かる。優しいキスとは反対にギュウと抱きしめる手には力が篭った。
「アク…サード?」
「ん?」
抱きしめたまま動かなくなったアクサードに声をかける。
自分から、何かした方がいいのだろうか?
今までの者達は、触らせたりとか、そういう事を望んできたし…喜んでいた様だし…
「私が…あの、何か、した方が良いですか?」
アクサードが何を求めているのか大体わかる様な気がしている…のだが、
「………俺が、する………」
今までじっと抱きしめたまま動かなかったアクサードが身を起こしたと思ったら、じっとスロウルのシルバーブロンドの瞳を覗き込んでくる。
怒っている?何か、不快な事をしたか、言ったか?真剣な目つきの整ったアクサードの顔は些か違った迫力がある。
「……怒ってはいない…ただ、お前にそんな事を言わせた奴らに、焼いている……」
そんな事を言われても、今まで触れた者達は、スロウルをこんな表情にはしなかったし、スロウルの身体をこんなに熱くもしなかった……
アクサード、貴方だけなのに……
それでも、貴方は焼くという…
喜んでいいのか、恥かしがればいいのか、泣けばいいのかわよく分からない感情にスロウルはもみくちゃにされて、自分の心に驚くばかりだ。
「アクサード、私は貴方だけ、それだけでいいです。」
合わせていた瞳をやっとの思いで外して、自分の心を口にする。それだけでも苦しいから早く楽にして欲しい…
「スロウル、頼むから、そんなことは言うな…」
耐えがたい何かを耐えるような表情でアクサードが深く口付ける…
優しく舌を絡めて、時折強く吸い上げられれば、知らずピクリと背が跳ねる…
「んぅっ…ふっ……」
力の抜けた体からは、吐息とともに声が洩れて更にそれすらも吸い取るみたいにアクサードはスロウルを吸い尽くしていく。
アクサードの房事など聞いた事もないが、公爵家の教育の一環に、この手のこともあったのかも知れない…
経験ならスロウルにだってあるし、アクサードを責めることはできないが、それでもアクサードだけが良いと、逆にアクサードで無くては嫌だと心が叫んでいる。
アクサードも…?私だけが良い?
「当たり前だろうが!こっちの経験は知識だけだ…」
口に……出てた………
ぶっきら棒に言い切ったアクサードに、また強く口を塞がれる。手が、何時もより、力が入っている様な、しっかりとしたアクサードの手が全身を摩り始める…
如何しても、身体が反応する場所はあるもので、摩り上げる手に合わせて塞がれた口からはくぐもった声と、少しはねる体が事細かにアクサードにそれを示している。
先程着替えた服は脱がされ、スロウルの白い肌がアクサードの目の前に晒された。
脱がした後も手は止まらず、反応を示す場所をゆっくりと丁寧に撫でるものだから、スロウルは声を殺しながら、目に涙を溜めていく…
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