[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!

小葉石

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72 頂いてしまいました

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「そう。其方の中に私がいる……」


 私が、いる?……旦那様が、いる?


「私の、中に?」

「正しくは、シェインリーフに私の精気を直接注ぎ込んでいる。」


 え?旦那様の?レーン様の?  



 ガバ!!それを聞いて一気に頭が覚めたシェインは寝台の上で勢い良く跳ね起きる。

「そんな事をしては!レーン様が!!」


 苦しめたくないと、先程私は言わなかったでしょうか?貴方と一緒に居たいけど、命を代償にするなんて…受け入れられません!


「代償ではないのよ。シェイン君。」

「メアリーさん?」


 寝台の側に来てシェインにそっとガウンを掛けてくれる。如何やら食事を運んできたらしく、部屋の中は良い匂いが漂っていた。


 私、裸だった!


 掛けてくれたガウンを急いで手繰り寄せて、シェインもガラット王子の後を追い寝台から降りて来た。


「座りなさい。」

 同じくガウンを羽織って食事の席に着く主人の命に、シェインは大人しく従う。

 でも、主人の寝室で、裸にガウンだけで更に主人の食卓に着くなんて異様すぎる…
 我儘を、ここに居て欲しいと心を吐露した記憶はあるが、此処まで乱れた事になろうとは思わなかった……

 
「シェイン君?なんだか深妙な顔をしているけど、大丈夫?」

「いえ、大丈夫も何も明らかに分不相応なこの状況に頭がついていきません…」

「分不相応?人間の身分の事かしら?私達の眷属になったのに?」


「!?????」

 機械的に食事を運んでいた手が止まって、ポロリとイチゴが転がり落ちた。

 
 なんと、おっしゃいましたか?メアリーさん?今、なんと?


「我が眷属に其方を迎え入れた…」

 優しい、大好きな低い声…心を解かすほどの威力があるこの方の声が、死刑判決を伝えるみたいに衝撃的な事を紡ぎ出した。


「ぬぁ…!何ですってー!!」

 
 思わず叫び、立ち上がっても無作法と怒らないでいただきたい…旦那様、今なんとおっしゃいましたか?!


 クスクス、クスクスとガラット王子は声を抑えず笑っている。
 
 楽しくてしょうがないって顔に書いてありますね、旦那様…


「其方の精霊石を貰ったろう?」

「はい、確かに…」

 私の精霊石は旦那様に吸い込まれて…行きましたが…


「それよ、シェイン君。それで私達と貴方が繋がったのよ。」


「私とレーン様が…?」

「これを返しておこうか?シェインリーフ?」


 コロン、と旦那様の手から手渡された物は私の精霊石のはずで……で?深緑であった石から黄金色のが所々出て来ている…

 
 今まではシェインリーフの精霊石は力無く石の様に固まったままであったが、シェインが夢の中で見た光の色と同じ芽が、目の前で芽吹いていた。
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