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59 大事な話し合いですから
しおりを挟む「で、何の夢を見ていたのだ?」
夢の中でのシェインは何やら小難しい顔で眉を顰めて唸ってもいたのだ。
「はい!それがですね。これからの時期の醍醐味と言いますか、木々の花粉飛散順争いの話し合いが加熱していてですね。」
仕事がない日が数日続いて居たからか、シェインの執事の気構えも薄れて、共に晩餐の席に着く事も嫌がらずに、先程見ていた夢の内容を話し出す。
「花粉?」
「そうなのです!花が綻ぶ前のこの時期になると、大木達の話し合いが白熱しますからね。木々の長老達は、どの種がいつ花粉を飛ばすかで連日連夜小難しい話を飛び交わすのです……」
「そんなに大事なのか?」
「勿論です!子孫を残せるかどうかの儀式ですからね、皆さん意外と命がけですよ?」
天候と風に恵まれなければ、花粉を遠くまで飛ばす事が出来ない。飛ばすタイミングによって種子の出来に差が出来る。
穏やかな森の裏にそんなギスギスとした関わりがあろうとは…
「命あるものは力強いな…」
「はい!そうなのです。」
いつか、レーン様とも見上げてみたい…一緒に行ってくれるかな?
「ああ。いつか共にいこう、シェインリーフ。」
真っ直ぐ見つめてくる赤い瞳が限りなく優しい。その目を正面から見つめ返せる今が奇跡の様にも感じる。
幸せ、だなぁ…目の前にはレーン様……一時は諦めもした方が、一緒に私のテリトリーに来てくださるって…ふふ、ふふふこれを幸せと言わずになんと言おう。
「私は其方が一緒ならば何処でも良いのだ。其方が笑顔であればいい。」
更に嬉しい事を言ってくれる。私は何をしてレーン様に答えられるかな?レーン様が望まれる事は私も叶えて差し上げたい。
「私が望む物は一つだよ。シェインリーフ…」
「はて?それはなんでしょう?」
「前に言った事を覚えているか?」
前?伴侶は要らないと、私の事が好きと、欲しい物が、あると…あの事?
真摯に見詰めるレーン様の赤い瞳が輝きを増す。
「私の精霊石が欲しい、と?」
フワリと微笑むレーン様の笑顔…実に幸せそうに見えるのは嘘ではないと思う。
欲しい、と言われた時何も考えずにコクリと肯いたように記憶している。
そもそも精霊同士が他者の石を取り込むのって聞かないんだけど……?それでもいいならって、肯いたんだっけ?
どうして力無くしたこんな物が欲しいのかと訊こうとした時、旦那様のお部屋のドアノックが鳴った。
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