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53 お城に行く様です2

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 離宮よりは遥かに大きく荘厳な雰囲気を漂わせている王城。晴れ渡る青空の下、国内各地から王家に関わる人々が続々と王城に到着して来た。

 王家と言っても直系でない王族は王城に住んでいないし、ガラット王子の様に離宮や他に邸宅を構えて住んでいる方もいるらしいのでそんな方々が続々と到着してくる。

 のを、旦那様と一緒に乗っている馬車の中から見物中。

 豪華な馬車に、王家伝統の色を使った衣装やら王家縁のアクセサリーを着けたご婦人やらで、見るものに事欠かない。

 よくよく見てると、以前働いていた家のご主人達が王族をお迎えする者として立ち働いている。皆様其れなりの身分ある方達のお家だった様ですね。


「シェイン、貴方王城にはいらした事ないの?」

 余りにもキョロキョロとしていたものだから見かねてフランカが声をかけた。

「ええ、初めて来ました。王族の方にお会いするのも旦那様の他にはスディール第一王子殿下だけですから。」

「あぁ、お会いになったのね?全く知らない人ばかりだと緊張するでしょう?見知った方が居られるのは良い事だわ。」

「スディールは関係ない。来ても会う必要はないからな。」

「殿下……お兄上ですわよ?大事になさいませ。」

「……」


 本日のフランカ様は旦那様のパートナーとして登城なさる。私は執事。相変わらずお二人の距離は縮まらないご様子…少しお心を砕いてお話ししてくださると、この狭い空間が快適なものに成るのですが、ご検討頂けないでしょうかね?


「殿下は陛下にお会いになるのでしょう?」

「そのつもりだ。面倒だがな。」

「ふぅ。では此度の事を申し上げねばなりませんわね?」


「そのつもりではある。」

「??」

 フランカ様がどこか真剣な表情をして窓の外をじっと見るともなしに見つめている。


 順次馬車から降車した方々は、挨拶したり、会釈したりしてそれぞれ城内に入っていかれた。

 
 旦那様の馬車の番。先に私が降車して足場を整える。


 旦那様が降りて来て……
 ここで、場の空気が変わった。


…………さわり…………


 空気が一気に動いたみたいに、人々の視線が此方に集まった。


「何時もの事ですのよ?」


 旦那様の堂々とした優雅なエスコートで何も無かったかの様に優雅にフワリと見事な所作でフランカ様も馬車から降車してくる。 

 お二人とも、流石の貫禄?でもって好機とも畏怖とも取れる絡みついてくる視線を薙ぎ払って、城内へ進み行く。

 ただでさえ、旦那様もフランカ様も外見で言えば天上人の様に美しいので注目を浴びるとこは分かるのだが、畏怖とも取れるものはやはり精霊付きだからでしょうか?

 そんな方と対等に口を効き、時にはしっかりと苦情を言えるフランカ様の存在はいとも稀少で、一目置かれて然るべき方だと改めて思いました。


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