［完結］ひきこもり執事のオンオフスイッチ！あ、今それ押さないでくださいね！

52 お城に行く様です

　ガラット王子のお仕事という事で、お城のお供を言いつかりました。


　毎度思うのですが、私を起こす時に精霊石を押すのやめて下さい。

　あの日は、ロングスネークの跳躍大会が開かれていましたが、それは縄張り争いにも匹敵するもので、かなりの盛り上がりを見せて興奮して来た蛇の精に身体中巻きつかれている最中に、旦那様は石をポチッと押して下さった。


「やぁぁん！」


　体に巻きつく蛇の感覚と、旦那様が教えてくれた湧き上がる感覚が重なって混じりあってしまって、此方としては酷く困惑しております……


　と、いう事を旦那様に話したところ、何時も暖かい旦那様の周囲が数度スッと下がった様に感じました。


「メアリー、後で大森林の所に使いを…」

　あの、旦那様…赤く輝く瞳は物凄く綺麗なのですが、目、笑っていませんね？


「メアリー、入浴の準備を…」

「心得ています。」


　なぜ？夢の話から入浴へ？


「シェイン、君は私の執事だろう？表向きはだがね？王城へ行ったら外で水浴びはできない。使用人は専用のメイドが運ぶ湯を使う。今から湯に慣れておかねばな？」

　スクッと立てば、スタスタと有無を言わさず私を抱えて浴室に向かいました…



「旦那様…！？自分で！自分で洗いますから！」

　まだ、湯に入る前にはかなりの勇気がいる。脱ぎ渋り、どうしても浴室のドアまで後退ってしまう…


「また、最初の頃の様に服のまま入りたいか？」

　フルフルフル…そんな事言われても苦手なものは苦手なのです。しばし、森の中へ入って行っていたからか、慣れて来たと思われるものにも身が竦む…


「い、あ…」　

　ですから、複雑な感覚に襲われるから今はやめて…！


「あの蛇の感覚が残っているのだろう？お前は私の物で、私しか知らなくて良いんだ…」

　言い方は優しいけど、旦那様目が真剣ですよ？

　旦那様は私を抱え込みながら器用に石を押しつつ、シャツのボタンを外して一枚ずつ脱がして行く。


「……っ」


　思い出される感覚と新しく旦那様が与える刺激に、抗議の声も出せないで抵抗出来ずに湯にも浸かる…

　うぅ……私は植物の精なのです…旦那様は好きですけど、湯は嫌い…


「シェイン、私に集中していろ。私の手と、唇に……」

　深く口付けを落としながら、旦那様から新しく与えられる刺激を必死に追う。息が詰まる様な快感を、何度も何度も与えられながら、湯に落ちない様にただ必死に旦那様にしがみ付く。

　
　蛇の事など頭の中に無いことが分かっていても、旦那様は中々離してはくださらなかった。