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49 楽しいな
しおりを挟む森の大きな兄弟が内緒で教えてくれた。此処に来れる様にレーン様が掛け合って下さったと。
何よりも傷付いてしまった私が心配で仕方ないらしく、本来手を出すべき所でないものであるにもかかわらず、頭を下げにいらしたと。
信じられない程に、そのお心に留めてもらっていたとは……
弱ってしまったばかりに精霊である主人の心の声も十分に拾う事さえ出来ない出来損ないの様な者と一緒に生きたい、とまでおっしゃって下さったっけ…
わかりました……旦那様、レーン様がそこまで想いを注いでくださっているのでしたら答えぬ訳にはいかないでしょう!
大きな兄弟の森の中、しっかりと堪能させていただきましょう!精気に満ちるこの森は非常に美味しゅうございますから。
小さな木の実を集めながら、縄張り争いになってしまうリス達に、他の鳥に子供を育ててもらおうとする親鳥。ビッシリと古木の表面を覆うキノコ……どこも生命力に溢れている。
クルクルとついて回る小さな精霊の子達と、森の中を自在に渡る。
……楽しい!たのしいね!たのしい!………
本当に楽しい時間。旦那様に貰った休暇だと思えば、ホクホクですね。
******
「くふ、くふふふふふふ…くふふ…。」
シェインリーフが眠りに入ってから早3日…………全く出てくる気配なく、時折楽しそうな?明るい笑い声が洩れ聞こえてくるくらい…
この子は、今は人の身を取っていることを直ぐに忘れてしまうから手が焼ける…
大森林の精に一時託されたシェインだが、回復するまで手放すつもりなど毛頭無いガラット様は、3日間の僅かな時間も耐えられなくなった様だ。昨日からこうしてシェイン君の殻の前で、時折ヒタリと張り付いては中の様子を伺っている姿をメアリーは目撃している…
「ご自分でお預けになったんですからね?ガラット様。楽しそうにお過ごしになっているようですから、もう少ししてから起こして差し上げても良いのでは?」
コクリ、と肯きはするものの心此処にあらず、だ。
まだシェイン君がこの屋敷に来る前まではもっと普通の人間らしくお過ごしだったと思うのだが?如何にも堪え性が何処かへ旅立ってしまわれたご様子……
メアリーは諦めの深いため息を吐きつつ、精霊石をシッカリと押し潰している主人を見つめていた。
「うやぁあん!!!?
ザリガニ対小鮒の対決!!!!どっち?どっちが勝った?」
主人の思惑通りの可愛い反応を見せつつ、更に盛大な寝言を呟き、シェインはやっと目を覚ましたのだった。
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