[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!

小葉石

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46 寝ても寝ても眠いです

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 おかしい。この私としたことが………


「申し訳ありません!メアリーさん!」

 寝坊とはなんたる事か!?執事として働く事になって初めてのこと!


「あら?起きてきていいの?貴方また、少し痩せたんじゃ無い?良く寝なさいってガラット様も言っていたでしょう?」

 確かに眠りが深くなりつつある今日この頃。自分の一部が他の森に取り込まれたようなものだから力は減ってる…

 そして、夢が楽しくて。

 あの深い森はすこぶる居心地が良かった。皆を受け入れる大きな船みたいで、いたる部屋に色々な精霊が収まっている。けれど喧嘩なんてなくて混じりあったり離れたり、色々な色や匂いや気配を感じて全く飽きなかった。 

 それを夢に見るのだ。自分の体も力の一部もあの森に取り込まれていくのだから、自分もつながっているようなもの。それで毎日見ていても飽きないような違う顔が次から次に見れてしまうので、ついつい夢中になってしまうと言うもの。

 
「今日は良く寝て来ました!だから仕事をします!」


 求めていた物を一つ得て、心残りをスッキリさせて、気分はものすごく充実している。後は一生懸命働くだけ。


「気合が入っているのは十分分かったわ。ん~では、まずこれが貴方の朝一番の仕事ね。」

 そう言ったメアリーさんは、目にも鮮やかな手際を見せて下さって、次から次へと目の前には朝食の山……


「あの、これは旦那様の?」

 こんなに朝から召し上がっていたっけ?全く記憶に無いのだが…


「いーえ!これは貴方の分ですよ、シェイン君。精気が少し失われた分、栄養をつけなければ、あの太古の森へと吸収されてしまいますよ?」

 
 自然の摂理としては、きっとそれで良い。自分の体が朽ちてしまったら新たな命の苗床になるのは本望だ。だからちっとも悲しくは無い。

 想い精霊びとと想いが通じたし、自分の体は苗床となった。

 シェインは森の精霊なのだからもうこれ以上言うことなし。ニコニコとしながら取り分けてくれた料理にちょっとずつフォークを付ける。


「何を言っているのかしら?この子は…森の本能のままに今突っ走っているわね?悔いが無いような良い顔しちゃって……貴方、約束したんじゃ無いの?ガラット様と今を一緒に生きるって?」


 パチ!!!!!

 
 パチパチ、瞬き数回。そうだった……メアリーさんの一言で今更ながらに目が覚めた…今まで白昼夢みたいにフワフワとただ本能が促すままに幸せを噛み締めていたようだ…


 旦那様、レーン様と共に生きるって、それに答えるって決めたじゃ無いか。 
 本能は捨てられない…けれど、それ以上にレーン様を捨てるなんて出来ない!
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