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33 ピクニック2
しおりを挟む「旦那様、たまには外で召し上がるのもいいものですよね?フランカ様もそう思われますでしょう?」
「そうね。風が気持ちいいですわ。」
小高い丘の上には青々とした下草が綺麗に生え揃っており、そこから緩やかに見下ろすものは、旦那様の離宮にその周りにある林や小川。時折林道の中に走って行く馬車も見える。
のどかで自然豊かな開放的な景色が広がっている。
「シェイン、お前も気持ち良いと思うか?」
静かな旦那様の声。低く落ち着いていて、それでいて耳をくすぐる様な響きを持つ。
て、旦那様、私に話しかけるのではなくてですね!
「それは、勿論でございますとも!外は好きです。風の匂いも、自然の木々や生き物も、そして日の光も…」
最後に好きですと、言おうとして旦那様と目が合う。その赤い瞳が一層輝いて、いつもより嬉しそうに細められているでは無いか…
旦那様から目を逸らし、キュッと胸の絞まる音は風と共に流してしまえばいい…
久しぶりにゆっくりと日の光を浴びているんだ。あの方も何処かに居られるだろうか?
お二人のお茶のお代わりや、食事の取り分けをしながら、降り注ぐ太陽の光をお腹いっぱい浴びる様に上を向く。
焼け付くとまではいかない、暖かな陽光はあの大寒波の後絶えることなく地に降り注いでいる。
…………シェインリーフ
私も好きだよ…………
突然、心に響いてくる…声が…
バッと顔を巡らせて、辺りを窺うが其処にはいつもの通りののどかな風景…
「…?どうかなさったの?」
突然キョロキョロしながら辺りを窺うシェインに向かってフランカが訝しげな目を向ける。
周りに何か?見渡しても変わったものなど見て取れないが。
シェインの表情は酷く真剣で、泣きそうになるのを必死に我慢している様に見えた。
「シェイン?本当にどうなさったの?貴方、迷子になった子供みたいに今にも泣きそうに見えるわよ?」
「声が……」
「声?何方の声?私には聞こえなかったわ。」
「いえ、確かに…」
ぐっと何かを我慢しているシェインにそぅと手を伸ばす、フランカ。
「殿下、何か聞こえまして?シェイン、知っている方の声だったの?」
知っている、嫌というほど知っている。知っているで済ませられない程知っている………!
「……シェイン……殿下、どうしましょう?」
いつもツンケンしているフランカ様が酷く優しい。手に持つ上質で柔らかなハンカチで頬をそっと拭ってくれているのが分かる。
声に、私もです、と答えたいのに、ここに居ると答えたいのに、叫ぶことすらできなくて溢れた想いはハラハラと、涙となって落ちるばかりだった…
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