[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!

小葉石

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29 旦那様とフランカ様

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 これは、どう考えたら良いのでしょう?


 図書室から、男女の恋愛あれそれを借りて読んでみようと思うほどに、室内には異様な空気が漂っている。


 フランカ様は今日も可愛らしい美人で、旦那様には今日も心惹かれる趣が濃厚で…

 そんな素敵なお二人の、会食だか、歓談だかの場なのだろうけれど…


「…………」

「…………」


 カチャカチャと、僅かな音だけが室内に響いている…
 離宮だから、ダイニングもそれなりに大きいのだけど、それでも聞こえて来るのは食器の音だけ。

 隣に控えるメアリーさんも目を伏せてただじっとしている。



「殿下、明日の予定はどうなっていますの?」

「…執事にでも聞いてくれ……」

「シェイン、教えてくださる?」

「はい、明日は~」


 と、始終会話はこの様な感じ…
にこりともしない旦那様に、それに倣っている様に、旦那様に甘えようとも、寄り添おうともしないお二人で………会話中と言うか食事中、目も合わせていないのがこちらにも分かる。


 これ、心休まる?寂しさとか、癒しとか、愛情とか満たされる?

 え~~と、伴侶の意味合いからして、自分の知っている物とは違わないかな?
 旦那様はフランカ様から心からの好きって言ってもらえるんだろうか?

 
 ふと、旦那様の今後が心配になってきてしまった。


「シェイン、あなた執事でしょう?」

「はい!」

「ガラット殿下のグラスが空いてしまっているわよ?」


「失礼しました。」

 本当だ。お二人の異様?な雰囲気に飲まれてしまっていた。


「旦那様、おつぎ致します。」

「シェイン、お前も座るか?」

 いとも素敵なお顔で何を仰いました?許嫁である方の目の前で、執事を席に誘うとはなんたる暴挙…


「いえ、私は…」

「フランカ構わんだろう?」

 
 いえいえいえ、構います!構いすぎます!!


「シェイン、貴方執事の分際で、立場を弁えていないの?」


 ぐっふっ……そうですよね?それが普通の反応ですよね?逢瀬に他人が入ってはいけませんよね?


「シェインをただの執事と思った事などないぞ?」

 少し眉をお寄せになって不快を現しながら、なっにっを…話出されてます?旦那様?


「どう言うこと?」


 あぁ、フランカ様のふわふわ部分が、全てトゲトゲに……目が非常に冷たく感じます……


「いいえ!フランカ様、私はただの執事でございます。旦那様と席を共にするなど滅相も御座いません。この離宮は人が少なく、旦那様の話し相手もおりません故、話し相手に時折私を呼ばれておりました。」

「そうね、本当に人が少ないものね…殿下は外にはあまり出られないし。貴方位の者しかお相手する方が居ないのよね。」

「作用にございます。出来ましたらフランカ様、足繁くお通いくださいますと宜しいかと。」

 ニッコリと笑顔をつけて、フランカ様の立場をお護りしなければ!


 
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