[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!

小葉石

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9 旦那様の趣味部屋は?

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 相変わらず用も無いのにムニムニと、石を押しては呼び立てる…


 旦那様にアレを渡したのは間違えだったかと少々不安になってしまう。

 今日もやっとのことで、スリスリ、サワサワ攻撃から抜け出して、以前からやろうと思っていた2階廊下の絨毯掃除!!
 腕まくり、裾まくりして気合を入れ、グァシ!グァシ!とブラシで擦り上げていく。


 普段この近辺は旦那様の趣味部屋があって、人がほとんどこない(元々人がいないお屋敷だけど)けど、その為に手を付けられずに放置してある感がある。

 やろう、と思った時にやらなければ、きっとずっと後回しだ。



 無こそ正義!無心になってグァシグァシ!!絨毯から出る埃も塵もそんなに多くは無いけれど、ブラシで擦り埃を落とせば元ある絨毯の色が生きてくる。


 うん!綺麗、これなら旦那様とて気持ち良く趣味のお部屋へ……


「あれ……?」


 直ぐそこは旦那様の趣味の部屋。全てを終わらせて午後のお茶を直ぐ様用意しようと思ったのに……体が縫い付けられた様に動かなくなった…


「何の、匂い……?」


 懐かしい……土の匂い?屋敷の中だから土の匂いなんてしないはず?

 けれど確かに土の…葉の匂いもする?



 クンクンと鼻を鳴らす犬の如く、辿っていけば、旦那様の趣味の部屋……。


 この中は、森林か森でもあるのか?と言うほど土の匂いがする。
 懐かしい、懐かしい匂い……


 ポロリ、思いもかけず涙がこぼれた……
封じ込んでいた思いが溢れてくるみたいに。



「何をしているのかな?」

 鍵がかかっている趣味部屋の扉にべったりと張り付く様に引っ付いてポロポロ涙を零しているシェインに後ろから抱きつきながらガレット王子が話しかける。


「旦那様…?!」


「いつまでもお茶がこないと思ったら、有能な執事君はここで何を?」


「いえ、廊下を掃除してたんですけど……この部屋から懐かしい匂いが……」

 何でかな?ここは入ったことがないのに、如何しても離れがたい。


「仕方のない子だね。」


 酷く優しい色を湛えたガラット王子にヒョイ、と抱え上げられてしまった。


「掃除は、ほぼ終わっている様だね。うん。見違えたな……これならここを通る時に心が沈まなくて良さそうだよ。」

 
 心が沈むのですか?グジグジと涙を拭き取っては早く泣き止もうと必死のシェイン。


「いつか……。君に見せる事ができるだろうか…。」



 優しい瞳はそのままで、けれど言ってる事はうぇ!ってなる。

 旦那様は本気なのだろうか?悍しい……趣味趣向と名高い趣味部屋の中を?
 一体何が、とあの匂いに釣られてしまった程気になるけど、ちょっと、あんまり…見たくないかも………



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