[完]人嫌いの消失スキル持ちの転移男子は己の運命に歓喜する

小葉石

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「忘れないよ…何度同じ事が起ころうとも、俺は絶対に忘れない…俺の全ては、アリーでできているんだからな……」

 爆ける閃光と悲鳴と怒声の中、底抜けに優しく悲しい騎士はそう、笑ったのだ………


  




------------------



 早く、終われ……………

  
 平日の学校の授業程、胡古有都に今煩わしく感じられるものはない。集中したくても内容なんて入って来なかった……

 チャイムと同時に、殆ど何も入っていない鞄を手に持って急いで教室を出た。ホームルームが残っていたが今はそんなものに構ってなていられない。気を抜けば歪みそうになる表情になんとか平静さを装って、足早に移動することだけに集中する。

 上がってくる息遣いは早足だけの所為じゃない。昼食後からずっと、下半身を圧迫しているものの所為だった。


 あと、もう少し…………

 
 約束を守れば解放してもらえる。本当かどうかわからないが、今はそれにかけるしか自分の身を守る術がないのだから…

「へ~~~早い、早い!偉いじゃん!」

 約束の場所まで来た有都は突然後ろから腰を掴まれた。

「…!?」

 ただでさえ、先程から伝わってくる振動が強くなって、目的地に着く前にしゃがみ込みそうになっていたのに、突然与えられた刺激で身体が跳ねる。

「何…?可愛い反応してるじゃん?そんなに良かった?」

「……っ…ふっ………」

 力が抜け座り込んでしまっている有都を覗き込んでくる学生服の生徒。高校ニ年の有都よりも学年が上の三年の先輩だ。

「おーい!来たぞ~!」

 有都が必死になってやってきた所は、今は使われていない音楽室。若干素行の悪い生徒達の溜まり場として使われているところだ。

 細身の有都の腕を摘み、ひょいと立たせて支える様に音楽室へと入っていく。そこには既に六名ほどの生徒が待ち構えている。どの生徒も制服は着崩していて髪も染め、素行はよろしくない様に見える生徒達。

「おつ~~~どうよ?アリちゃん感想は?」

 息も絶え絶えになっている様な有都にはそれに答えられる気力も無いかも知れない。

「可哀想だろ~早く、楽にしてやれよ~」

 そんな有都を見てゲラゲラと下品な笑いを漏らしながら、どこから持ってきたのか床の上に敷いてあるマットをパンパンと手で叩く者もいる。

 有都を支えていた生徒はそのマットの上に有都を下ろす。

「よし!じゃ、見てみっか?」

「OK」

 それを合図に数人がかりで有都の服に手をかけた。

「やっ…だ…!」

 身体は自由にならないが、抵抗する気力はまだあるらしい。

「暴れんなよ?取らなきゃそのまま帰ることになるんだぞ?」

 いかにも有都のためである様に言うのだが、そもそも有都がこんな目に遭っているのもこの生徒達が原因だ。


 有都は普通の男子学生のつもりだった。入学してから一年間は平穏無事にら過ごせていたはず。幼い頃からの経験で、人と深く関わらない様にしてきたし、有都にはそうする事ができる力もあった。

 なのに………

 今下半身の衣類は全て剥ぎ取られて、同じ学生に両足を抑えられると言う恥ずかしい格好にされている。そんな現実に目を背けたくて、必死に顔を横に背けるのが有都のできる精一杯だ。


 瞳さえ見れば………


 まだ、チャンスはあるかも知れない。だが、ニヤニヤといやらしい笑顔を有都に向けて見下ろしている先輩達と、今顔を合わせようとはどうしても思えないのだ………

「へぇ~~~アリちゃん達っちゃったの?」

 降ろされたズボンを見れば、有都がどんな状態か一目瞭然だろう。

「気持ち良かった?可愛いな~~~」

 足を抑えている先輩は、有都の大腿をつつつ、と撫で上げてくる。

 達したばかりで過敏になっている有都はそれだけの刺激でビクッと悔しいほどに反応してしまう。

「約……束…守って……!」

 先輩達との約束は、放課後までだった。

 運悪く、素行の悪い生徒達に目をつけられた有都は、いつにも増して声をかけられちょっかいを出され、今日の昼休みにとうとう押し倒された。
 一人だったら…なんとか対処できたかも知れないのに、複数人で抑え込まれ脱がされ、写真を撮られて、………

「ふ~~~ん?なんの約束だったかな?」

「あれじゃね?我慢できたらって?」

「これ、我慢できてんの?」

 有都のズボンの中には吐き出したものがはっきりと残っている。

「ダメじゃね?だって一人で気持ち良くなっちゃったんだろ?我慢してないじゃん?」

 つつつ、と手が有都の双丘の奥に周った。

「やっ…!さわ…んなっ!」

 有都は必死に抵抗する。には望まない物が無理やりに突っ込まれていたからだ。

「ふふふ。触られるのやなんだ?まだまだ気持ちよさそうだけどね?ほら…まだ元気じゃん?」

「やっ…あっ……っや…」

 生徒の一人は躊躇なく有都の立ち上がりを優しく掴むと刺激し出した。

 かろうじて睨みつけていた有都の表情は驚愕と快感に徐々に歪んでくる。

「ははっ流石にまだいけるよな?」

「アリちゃんマジに可愛いなぁ…」

「いやっ……だ…やくそ…くっ……ちがっ…」

「約束ったってさ、アリちゃんが守ってなかったんだろ?だから、だ~~め。」

「く…っ…そ…!」

 最初から、守る気なんて無かったんだ!最初から、このままオモチャにする気で……!

 抑えられてて自由にならない身体で、反応したくないのに、刺激には逆らえなくて……悔しくて、悔しくて……歯を食いしばっても、涙が溢れてくる………





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