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後編
108 仮初の王の拘束
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「ご同行願いましょう…オレオン皇太子殿下。」
しかし、去っていった騎士の姿をいつまでも追いかける様に、ハンガ国皇太子オレオンは森から視線をはずさない。
「で、殿下………」
皇太子妃サーランは側に居た騎士に助け起こされ、支えられている。
「………其方達は何処の者だ……」
「我らはヒルシュ国王の名の元に集まりし、同盟軍…ガーナード国を取り戻しに参りました。」
「…ヒルシュか……!」
「無駄な抵抗はなさらぬ様に願います。もう既に本隊が城を占拠いたしますでしょう。」
「何を、馬鹿な事を…ここにはまだハンガの騎士もガーナードの騎士もいる!」
「では、あの声をお聞きくださいませ。全てのガーナードの騎士が貴方様に寝返っていたわけではありますまい…」
皇太子オレオンの後方、ガーナード国城内から微かに鬨の声とも取れる叫びが上がってきている。確かにハンガ国の騎士もかなりの数をガーナード国へと入れてはいるが、その騎士達も国内に居るガーナード国の騎士達からの突然の不意打ちに混乱に混乱を極めているのだろう。そして自ら守らねばならない主君の行方も分からないのでは指揮系統も直ぐに崩れ去る。
「馬鹿な!!ガーナードを取り戻すだと?一体、誰がだ!!もうこの国には跡を継ぐ者など居らぬ!!」
そうだ!その筈だ!!しっかりと息の根を止めたと報告も受けている…!なのに何故!?今頃になって!
「勝手に…亡き者にしないでもらおう…ハンガ国の皇太子殿?」
騎士に食ってかかる皇太子オレオンの後方から、一際低い声がかけられた。
「誰だ!!」
勢い良く振り返ったその先には、ガーナード国国王ルワンが剣を引き抜きながら、静かに立っていた。
「…貴様か……?ハンガ国皇太子オレオン……全て、貴様が仕組んだのだな……?」
ガーナード国王ルワンの声がいっそう低く、地を這う如くに響いてくる…
「…ふっ…何のことだ…?私はガーナード国の王代理でしかない……!」
「ふん…王代理が、城を護れぬのでは聞いて呆れるな…」
「…その城を最初に取られた方が何を言う?」
「……それもそうだ…では、其方も蘇ってから取り返しに来ればいいだろう…」
ガーナード国王ルワンは言い終わるのよりも早く愛刀を振り下ろした…!
ガギィィィィン!!!
その剣を受け止めたのは国王ルワンの護衛騎士だ。
「陛下!!お気持ちは分かりますが、オレオン皇太子殿下のお身柄はヒルシュ国王に引き渡すお約束です!!」
「ちっ……」
気持ち的には直ぐにでも皇太子オレオンを切り捨ててしまいたかった。ガーナード前国王の毒殺に始まり、多国間との諍いの激化に親友の死、そして自分は愚かにも聖女たる王妃を切り捨てる愚行に及び、遂には国内の反乱だ。その全ての鍵を裏で操っていただろう者がハンガ国皇太子オレオンだった。
皇太子オレオンは、ガーナード国王ルワンにとっては切っても切っても切り刻んでも許し難い相手であった。
しかし、去っていった騎士の姿をいつまでも追いかける様に、ハンガ国皇太子オレオンは森から視線をはずさない。
「で、殿下………」
皇太子妃サーランは側に居た騎士に助け起こされ、支えられている。
「………其方達は何処の者だ……」
「我らはヒルシュ国王の名の元に集まりし、同盟軍…ガーナード国を取り戻しに参りました。」
「…ヒルシュか……!」
「無駄な抵抗はなさらぬ様に願います。もう既に本隊が城を占拠いたしますでしょう。」
「何を、馬鹿な事を…ここにはまだハンガの騎士もガーナードの騎士もいる!」
「では、あの声をお聞きくださいませ。全てのガーナードの騎士が貴方様に寝返っていたわけではありますまい…」
皇太子オレオンの後方、ガーナード国城内から微かに鬨の声とも取れる叫びが上がってきている。確かにハンガ国の騎士もかなりの数をガーナード国へと入れてはいるが、その騎士達も国内に居るガーナード国の騎士達からの突然の不意打ちに混乱に混乱を極めているのだろう。そして自ら守らねばならない主君の行方も分からないのでは指揮系統も直ぐに崩れ去る。
「馬鹿な!!ガーナードを取り戻すだと?一体、誰がだ!!もうこの国には跡を継ぐ者など居らぬ!!」
そうだ!その筈だ!!しっかりと息の根を止めたと報告も受けている…!なのに何故!?今頃になって!
「勝手に…亡き者にしないでもらおう…ハンガ国の皇太子殿?」
騎士に食ってかかる皇太子オレオンの後方から、一際低い声がかけられた。
「誰だ!!」
勢い良く振り返ったその先には、ガーナード国国王ルワンが剣を引き抜きながら、静かに立っていた。
「…貴様か……?ハンガ国皇太子オレオン……全て、貴様が仕組んだのだな……?」
ガーナード国王ルワンの声がいっそう低く、地を這う如くに響いてくる…
「…ふっ…何のことだ…?私はガーナード国の王代理でしかない……!」
「ふん…王代理が、城を護れぬのでは聞いて呆れるな…」
「…その城を最初に取られた方が何を言う?」
「……それもそうだ…では、其方も蘇ってから取り返しに来ればいいだろう…」
ガーナード国王ルワンは言い終わるのよりも早く愛刀を振り下ろした…!
ガギィィィィン!!!
その剣を受け止めたのは国王ルワンの護衛騎士だ。
「陛下!!お気持ちは分かりますが、オレオン皇太子殿下のお身柄はヒルシュ国王に引き渡すお約束です!!」
「ちっ……」
気持ち的には直ぐにでも皇太子オレオンを切り捨ててしまいたかった。ガーナード前国王の毒殺に始まり、多国間との諍いの激化に親友の死、そして自分は愚かにも聖女たる王妃を切り捨てる愚行に及び、遂には国内の反乱だ。その全ての鍵を裏で操っていただろう者がハンガ国皇太子オレオンだった。
皇太子オレオンは、ガーナード国王ルワンにとっては切っても切っても切り刻んでも許し難い相手であった。
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