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後編
94 市中の噂
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ハンガの皇太子がガーナード城へ入城した。
白馬に乗って堂々と入城するハンガ国皇太子の姿は流石は王族、気品と自信に溢れていて優しい面影が更に神々しく見えた者も居ただろう。
「ねぇ、聞いた?」
「あれだろう?」
「本当なのかね?」
熱狂的とは言い難い、冷めた目つきのガーナード国国民の視線に気が付いたのか付かないのか、ハンガ国皇太子一行は粛々とガーナード城へと吸い込まれて行く。他国の皇太子一行の噂に負けず、現在ガーナード城下ではまことしやかにある噂が飛びかっていた。
「だって!城から帰って来た者がそう言ってたんだって!」
「なら、おかしいじゃ無いか!王様達は聖女様を無下に扱っていたって事かい?」
「だって、死人の様だったって?」
「まさか……そんな…あの国王陛下が?」
「だからかも知れない!だから、反乱なんか起こったのでは?」
「……聖女様の、怒りだ………」
「なんて事…ガーナードはどうなってしまうの?」
「そ、その聖女様は今どこに?」
「それが…話してはならないと言われているらしくて…」
「でも、城のどこかにはいるんだろうさ!こんな所まで話が漏れているんだ!今更だろう?」
「そうだよねぇ…何とかして助けられないもんかね?」
「私の親戚も、騎士様に楯突いて連れて行かれたんだよ。もうダメかと思ってたら、ある日ひょっこり戻って来てさ…今は田舎に引っ込んでいるけど、このままにはしとかないって…!」
「ハンガの王子はどうなんだろうね?」
「聖女様を助けてくれないかね?」
「……助けてくれるとしても、誰がそんな事を言いに行くんだよ?」
「………ガーナードを乗っ取った敵にさ!」
城に連れて行かれた者が帰って来た。又は、城で働いていた者達で連絡が取れなくなっていた者が帰ってきた。そして、それら皆一様にガーナード城にいる聖女様に助けていただいたと話ているという事だ。その聖女が城のどこにいるのか誰も口を開こうとはせずに…どこの誰なのかも分からない…聖女なのだから貴族には違いがないが、到底貴族になんて見えなかったと口を揃えて言っていた。
「なぁ、こんなのは知っているか?」
不思議な事はもう一つ…聖女に助けられて帰って来た者達が次々に姿を消していっている。勿論全員という訳では無い。けれど不自然に姿を消している者は多いという…
白馬に乗って堂々と入城するハンガ国皇太子の姿は流石は王族、気品と自信に溢れていて優しい面影が更に神々しく見えた者も居ただろう。
「ねぇ、聞いた?」
「あれだろう?」
「本当なのかね?」
熱狂的とは言い難い、冷めた目つきのガーナード国国民の視線に気が付いたのか付かないのか、ハンガ国皇太子一行は粛々とガーナード城へと吸い込まれて行く。他国の皇太子一行の噂に負けず、現在ガーナード城下ではまことしやかにある噂が飛びかっていた。
「だって!城から帰って来た者がそう言ってたんだって!」
「なら、おかしいじゃ無いか!王様達は聖女様を無下に扱っていたって事かい?」
「だって、死人の様だったって?」
「まさか……そんな…あの国王陛下が?」
「だからかも知れない!だから、反乱なんか起こったのでは?」
「……聖女様の、怒りだ………」
「なんて事…ガーナードはどうなってしまうの?」
「そ、その聖女様は今どこに?」
「それが…話してはならないと言われているらしくて…」
「でも、城のどこかにはいるんだろうさ!こんな所まで話が漏れているんだ!今更だろう?」
「そうだよねぇ…何とかして助けられないもんかね?」
「私の親戚も、騎士様に楯突いて連れて行かれたんだよ。もうダメかと思ってたら、ある日ひょっこり戻って来てさ…今は田舎に引っ込んでいるけど、このままにはしとかないって…!」
「ハンガの王子はどうなんだろうね?」
「聖女様を助けてくれないかね?」
「……助けてくれるとしても、誰がそんな事を言いに行くんだよ?」
「………ガーナードを乗っ取った敵にさ!」
城に連れて行かれた者が帰って来た。又は、城で働いていた者達で連絡が取れなくなっていた者が帰ってきた。そして、それら皆一様にガーナード城にいる聖女様に助けていただいたと話ているという事だ。その聖女が城のどこにいるのか誰も口を開こうとはせずに…どこの誰なのかも分からない…聖女なのだから貴族には違いがないが、到底貴族になんて見えなかったと口を揃えて言っていた。
「なぁ、こんなのは知っているか?」
不思議な事はもう一つ…聖女に助けられて帰って来た者達が次々に姿を消していっている。勿論全員という訳では無い。けれど不自然に姿を消している者は多いという…
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