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前編
48 死体の中の聖女 3
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フィスティアはある事を確かめる為に夜半地下処理場を抜け出した。月明かりの明るい夜で松明を持たずに森へと進む事ができる…この広大な森の奥には穴掘り人が物凄い速さでもって死体を埋める為に掘った穴が何箇所にも渡って並んでいた。その穴の中の古いものに用があったのだ。
ゴク……知らず、自分自身を奮い立たせようとフィスティアの喉が鳴る。掘り返した穴からはものすごい悪臭が辺りに漂って、もうこれだけで挫けそうになりながらも涙を呑みんで試してみた…………
…ダメだった………やはり、私ではラートを助ける事は出来なかった…
出来る喜びでフィスティアの胸が熱くなったかと思ったら、今はまた絶望に打ちひしがれる。
申し訳ありません……ルワン様………
もう何度本人のいない所で謝罪し続けただろうか…?もうフィスティアでさえも覚えていない。雨水で手に付いた泥を洗い落としたらずっしりと疲労で重くなった身体を引きずる様にして自分の粗布団に包まり眠りにつく…
聖女でありながら、王の為に役立た無い自分の力は一体なんの為に受け継いだろだろう………無気力に陥るフィスティアの頭からは疑問が離れない。王ルワンが望んだ様に早くにこの生が終わればいいとも思えるが、自分の意思に反して聖女の力はフィスティアを完全に癒してしまう。もう何度死にかけたか、その際に容赦なく力は発揮されてしまうのだ。
せめて、貴方の為に使いたかった……
願って止まないフィスティアの祈りは今夜も王ルワンには届かず、戦禍の色が徐々に色濃くなる事のみが伝わってくる。
ご無事で……私はここで、生涯地べたを這いずっても構いませんから、どうかルワン様……ご無事で………
城外の情勢がどうであれ、地下処理場の仕事は変わらず…来る日もくる日も同じ事の繰り返しの中でフィスティアの祈りだけが積もっていく…
「ガーナード国は……滅びるでしょう………」
ある日、薄暗い夕刻の森の中でセルンシト国の密偵だった若い騎士が言う。
「滅びる…?」
昼間の内に転んだフリをして一番上にあった若い死体を森の茂みへと落として置いたのだ。この所いきなり死体の数が増え、新しい荷運びの要員が急遽増やされた。今までならば道端で仕事中に行っていた事が人の目が多くなり出来なくなってしまった。仕方なく昼間に死体を隠し、夕刻過ぎに森へと戻ってきていたのだ。
そして生き返らせたセルンシト国の騎士の言葉。ガーナード国は聖女に愛された祝福された国のはず。現にフィスティアは聖女の力を持っている。滅びる謂れなど無いとさえ思えるのだが………
「何か、あったのですか?」
酷くバツの悪そうな騎士の表情……
「内乱を……企てている者がおります…!」
ゴク……知らず、自分自身を奮い立たせようとフィスティアの喉が鳴る。掘り返した穴からはものすごい悪臭が辺りに漂って、もうこれだけで挫けそうになりながらも涙を呑みんで試してみた…………
…ダメだった………やはり、私ではラートを助ける事は出来なかった…
出来る喜びでフィスティアの胸が熱くなったかと思ったら、今はまた絶望に打ちひしがれる。
申し訳ありません……ルワン様………
もう何度本人のいない所で謝罪し続けただろうか…?もうフィスティアでさえも覚えていない。雨水で手に付いた泥を洗い落としたらずっしりと疲労で重くなった身体を引きずる様にして自分の粗布団に包まり眠りにつく…
聖女でありながら、王の為に役立た無い自分の力は一体なんの為に受け継いだろだろう………無気力に陥るフィスティアの頭からは疑問が離れない。王ルワンが望んだ様に早くにこの生が終わればいいとも思えるが、自分の意思に反して聖女の力はフィスティアを完全に癒してしまう。もう何度死にかけたか、その際に容赦なく力は発揮されてしまうのだ。
せめて、貴方の為に使いたかった……
願って止まないフィスティアの祈りは今夜も王ルワンには届かず、戦禍の色が徐々に色濃くなる事のみが伝わってくる。
ご無事で……私はここで、生涯地べたを這いずっても構いませんから、どうかルワン様……ご無事で………
城外の情勢がどうであれ、地下処理場の仕事は変わらず…来る日もくる日も同じ事の繰り返しの中でフィスティアの祈りだけが積もっていく…
「ガーナード国は……滅びるでしょう………」
ある日、薄暗い夕刻の森の中でセルンシト国の密偵だった若い騎士が言う。
「滅びる…?」
昼間の内に転んだフリをして一番上にあった若い死体を森の茂みへと落として置いたのだ。この所いきなり死体の数が増え、新しい荷運びの要員が急遽増やされた。今までならば道端で仕事中に行っていた事が人の目が多くなり出来なくなってしまった。仕方なく昼間に死体を隠し、夕刻過ぎに森へと戻ってきていたのだ。
そして生き返らせたセルンシト国の騎士の言葉。ガーナード国は聖女に愛された祝福された国のはず。現にフィスティアは聖女の力を持っている。滅びる謂れなど無いとさえ思えるのだが………
「何か、あったのですか?」
酷くバツの悪そうな騎士の表情……
「内乱を……企てている者がおります…!」
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