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前編

1 ガーナードの聖女

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 こんな事に、なるなんて…………


 
「お前の所為で、友は死んだ!お前が偽った所為で!私はお前を生涯許さぬ!!そこで誰にも顧みられる事なく、這いつくばって死んでいくがいい!!」



 我が夫国王ルワンからの最後の言葉によって、私の行く末は決められた。

 そして兵士達の手によってへ投げ入れられ、誰からも見捨てられた私は…………今日、この国の侵略者達によってから連れ出される事になった……………




------------------




 かつて聖女が降臨せしガーナード国では代々貴族の女子の中にその血を受け継ぎ聖女の力を守ってきた。周辺国の侵略から自国を守る為に、聖女の癒しの力の継承は王家にとっても王位に預かる為には必須条件であった程に重要視されている。
 その為ガーナード国次期国王の座につくルワン・ガーナードにも漏れなくこの条件を求められ、妃候補として聖女の力が強く受け継がれていると言われたドルン侯爵家に産まれた長女フィスティア・ドルンが選出される事になった……










「おめでとうございます!ドルン侯爵!ご覧くださいませ!この輝きを!」

 家族に囲まれた一人の小さな赤ん坊の前に置かれたリング状の置き物が輝かんばかりの光を発してキラキラと光っているのが誰の目にも鮮やかに映る。

「おお!これは!」

 リング状の置物は簡素な木造りでできている様に見えるのだが、高価なものとは到底思えないのにドーム型の水晶で周りを囲まれて大事そうに守られている。これはかつて降臨せし聖女が身につけていたと言う聖女の遺品で、聖女の力を持つ者を前にすると不思議と仄かに光り出す。

 ガーナード国では貴族の女子が産まれるとこの様に聖女の力の判定を行うのが慣しだ。

「見事な……!ここまでの輝きを私はついぞ見た事がありませんぞ!ドルン侯爵!これは一大事ですぞ!」

 この聖女の遺品を管理する者は聖女の魔力を鑑定する任を受け持つ聖女の墓守の一族。今日この判定にはもう何十年とこの任に就いて大勢の子供達を見て来たイグランが請け負ったのだが、その彼とてここまでの輝きは見た事ないらしかった。

 すぐ様この事は王宮にも伝えられ、産まれて間もなくフィスティアはまだ幼い王子ルワンの婚約者筆頭となった……
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