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139 死なせはしません
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音は無かったはず、気配も?何百年も人々を見て、ゴアラの兵も見てきたけど、こんな人物は初めて見る。
なのに、すぐ横に立つこの者は?
まだ、少年?
「兄上、この魔女も貰うよ?」
無遠慮にもアルフィスはシエラの手首を掴む。
「アルフィス、城で待機だと言いつけておいたはずだがな…」
「まさか!こんなに面白いものがゴロゴロしているのに、僕だけ仲間外れなんてそれは無い………ん?」
掴んだシエラの手が消える。手だけでなくて存在そのものが瞬時に消えた…
「へぇぇぇぇ?面白いね?初めて見るかも。」
まるで子供だ。面白いおもちゃを見つけたみたいに、瞳をキラキラとさせて喜んでいる。
手首を掴まれていたと思っていたシエラは、アルフィスの数メートル先に距離を取って転移していた。
「魔力が残っていると逃げられちゃうのかな?」
シエラの顔には表情がない…
「分かった!きっと手足を切ってもダメだね?胴を切ったら死ぬじゃん?ん~~意識を奪ったらいい?かな?」
如何やったらシエラが逃げずに自分の手の内に収まるか?を考えているのだろうが、内容は穏やかではない。
「でも、魔力あると臭うからなぁ…飼い殺しにはしたくないしなぁ。」
何やら恐ろしい事を独りごちているアルフィスは至って軽装。持っているのは剣1本のみ。そして、その身に纏いつけているのは……
「坊や、何を一人で楽しそうにしてるのかしら?」
「え?だって知らない物を知るって面白くない?毎日毎日城に篭って兄上みたいに執政ばかりに関わっていられないよ。」
「王ならば当然よ?執政の愚作は民の不幸に直結するわ。遊ぶことばかり考えないで、貴方はもう少し勉強するべきね。」
アルフィスの額に向かってシエラは指を鳴らす。
バチっと火花が散った様な音と、甘い匂いに続きアルフィスの体に痺れが走った。
「へぇ?何をしたの?」
「大丈夫。死にはしないわ。少しだけ体の自由を奪ったのよ。」
アルフィスの体に纏っていたのは、良く知っている甘痺草の粉末。その使い方を熟知しているのは…
ガッッッ!!
思いがけぬ衝撃がシエラ自身の首筋を襲う。
「……っ!!」
息も出来ない程の圧迫感に一瞬首の骨も折れたものだと思ったぐらいだ。甘痺草によって動きを封じ込めたとばかり思っていたアルフィスの左手がシエラの首を鷲掴みにしていた。
「どう?魔力練れるかな?苦しいのと、死への恐怖で集中出来ないでしょ?このままだったら死んじゃうけど、死ぬ一歩手前で離してあげるよ。あ、これを動けなくなるまで続ければ良いのか?その後に泉の下の牢に繋いであげる。」
ニッコリと屈託なく笑う様は10代の少年そのものだが、この握力に、甘痺草も効かない体とは…!
ギリギリと首が鳴る。
「シエラ様!!!」
下の洞窟に落ちた団員が慌てふためいている声が聞こえている。中には、風魔法を操って登ってこようとする者もいた。
「あ、勿論だけど下の羽虫達は動かないでよ?力が入りすぎちゃったらこれ勿体無いでしょう?」
アルフィスは半ばうっとりした表情でシエラの首を締め上げ続けている。
「あいつめ、余計な事を……」
アルフィスを見つめながら、ちっと舌打ちをするシュトラインの剣は未だサザーニャの首元だ。
「困りますね……。勝手に私の妻を手にかけないでいただきましょうか。」
下に続く洞窟の入り口付近からトランジェスの声がする…
夢の中で、何度も聞いたあの人の声……もう二度とこの世では聞くことが出来ないと思っていた…
トランジェス……声が、出ない…
シュウウウウウウ……バチバチバチバチ!!!
「…!!!!」
シエラの首を掴んでいるアルフィスの手から火花と煙が上がっている。
「……うっ…ぜぇっ…げほっ…はぁっはぁはぁ…」
「…トランジェス、そう言えばお前もしつこいよね?」
あの場で沈めたと思ったのに、まだ、生きてたんだ?温度のない瞳でアルフィスはトランジェスを振り返る。アルフィスの左手はシエラを離し、離されたシエラはそのまま岩場に頽れている。
「アルフィス卿。貴方に魔力は通じなくても、私はシエラになら何十にでも防御壁を張れるんですよ?」
魔力の効かないアルフィスに対抗し、薄い防御壁は破られても破られてもシエラを守る為に張り続けられていた。
「少し、おいたが過ぎましたね?昔、良く躾の為に使っていた技ですが…少し、入っていてもらいましょう。」
トランジェスは右掌を上に向けて手を胸の位置に持ってくる。そこからもやが出たと思えば、アルフィスの周囲を幾つもの線が結び合わさり簡易な檻が出来る。
「あ、何十にも何百十にも組んでありますから、破ろうにも破れませんよ?」
「…トラン…ジェス…?」
「はい…シエラ…。無事で何より。」
心から安堵した時のトランジェスの顔だ…目を細めて、優しく笑う……
沢山、言いたい事や、聞きたい事あったのに、その顔を見たら、何故か全部納得してしまった…
「トランジェス……様…?え?シエラ様を妻って?」
「まじか……?…建国の祖だぞ…?」
戦闘中にもあるまじき気の取られ方でやや呆然のサウスバーゲンの団員達。魔力が効かないアルフィスがあっさりと檻に捕らえられている事へのゴアラ兵の驚きにとその場はしばし時が止まったかの様な様相だ。
この場で冷静に自分のやるべき事を見つめ、まだ諦めていない諦め切れないサザーニャは、ソロソロと後退って視線を外していたシュトラインの剣先から離れ出る…!
まだ、終わってはいない……!!
なのに、すぐ横に立つこの者は?
まだ、少年?
「兄上、この魔女も貰うよ?」
無遠慮にもアルフィスはシエラの手首を掴む。
「アルフィス、城で待機だと言いつけておいたはずだがな…」
「まさか!こんなに面白いものがゴロゴロしているのに、僕だけ仲間外れなんてそれは無い………ん?」
掴んだシエラの手が消える。手だけでなくて存在そのものが瞬時に消えた…
「へぇぇぇぇ?面白いね?初めて見るかも。」
まるで子供だ。面白いおもちゃを見つけたみたいに、瞳をキラキラとさせて喜んでいる。
手首を掴まれていたと思っていたシエラは、アルフィスの数メートル先に距離を取って転移していた。
「魔力が残っていると逃げられちゃうのかな?」
シエラの顔には表情がない…
「分かった!きっと手足を切ってもダメだね?胴を切ったら死ぬじゃん?ん~~意識を奪ったらいい?かな?」
如何やったらシエラが逃げずに自分の手の内に収まるか?を考えているのだろうが、内容は穏やかではない。
「でも、魔力あると臭うからなぁ…飼い殺しにはしたくないしなぁ。」
何やら恐ろしい事を独りごちているアルフィスは至って軽装。持っているのは剣1本のみ。そして、その身に纏いつけているのは……
「坊や、何を一人で楽しそうにしてるのかしら?」
「え?だって知らない物を知るって面白くない?毎日毎日城に篭って兄上みたいに執政ばかりに関わっていられないよ。」
「王ならば当然よ?執政の愚作は民の不幸に直結するわ。遊ぶことばかり考えないで、貴方はもう少し勉強するべきね。」
アルフィスの額に向かってシエラは指を鳴らす。
バチっと火花が散った様な音と、甘い匂いに続きアルフィスの体に痺れが走った。
「へぇ?何をしたの?」
「大丈夫。死にはしないわ。少しだけ体の自由を奪ったのよ。」
アルフィスの体に纏っていたのは、良く知っている甘痺草の粉末。その使い方を熟知しているのは…
ガッッッ!!
思いがけぬ衝撃がシエラ自身の首筋を襲う。
「……っ!!」
息も出来ない程の圧迫感に一瞬首の骨も折れたものだと思ったぐらいだ。甘痺草によって動きを封じ込めたとばかり思っていたアルフィスの左手がシエラの首を鷲掴みにしていた。
「どう?魔力練れるかな?苦しいのと、死への恐怖で集中出来ないでしょ?このままだったら死んじゃうけど、死ぬ一歩手前で離してあげるよ。あ、これを動けなくなるまで続ければ良いのか?その後に泉の下の牢に繋いであげる。」
ニッコリと屈託なく笑う様は10代の少年そのものだが、この握力に、甘痺草も効かない体とは…!
ギリギリと首が鳴る。
「シエラ様!!!」
下の洞窟に落ちた団員が慌てふためいている声が聞こえている。中には、風魔法を操って登ってこようとする者もいた。
「あ、勿論だけど下の羽虫達は動かないでよ?力が入りすぎちゃったらこれ勿体無いでしょう?」
アルフィスは半ばうっとりした表情でシエラの首を締め上げ続けている。
「あいつめ、余計な事を……」
アルフィスを見つめながら、ちっと舌打ちをするシュトラインの剣は未だサザーニャの首元だ。
「困りますね……。勝手に私の妻を手にかけないでいただきましょうか。」
下に続く洞窟の入り口付近からトランジェスの声がする…
夢の中で、何度も聞いたあの人の声……もう二度とこの世では聞くことが出来ないと思っていた…
トランジェス……声が、出ない…
シュウウウウウウ……バチバチバチバチ!!!
「…!!!!」
シエラの首を掴んでいるアルフィスの手から火花と煙が上がっている。
「……うっ…ぜぇっ…げほっ…はぁっはぁはぁ…」
「…トランジェス、そう言えばお前もしつこいよね?」
あの場で沈めたと思ったのに、まだ、生きてたんだ?温度のない瞳でアルフィスはトランジェスを振り返る。アルフィスの左手はシエラを離し、離されたシエラはそのまま岩場に頽れている。
「アルフィス卿。貴方に魔力は通じなくても、私はシエラになら何十にでも防御壁を張れるんですよ?」
魔力の効かないアルフィスに対抗し、薄い防御壁は破られても破られてもシエラを守る為に張り続けられていた。
「少し、おいたが過ぎましたね?昔、良く躾の為に使っていた技ですが…少し、入っていてもらいましょう。」
トランジェスは右掌を上に向けて手を胸の位置に持ってくる。そこからもやが出たと思えば、アルフィスの周囲を幾つもの線が結び合わさり簡易な檻が出来る。
「あ、何十にも何百十にも組んでありますから、破ろうにも破れませんよ?」
「…トラン…ジェス…?」
「はい…シエラ…。無事で何より。」
心から安堵した時のトランジェスの顔だ…目を細めて、優しく笑う……
沢山、言いたい事や、聞きたい事あったのに、その顔を見たら、何故か全部納得してしまった…
「トランジェス……様…?え?シエラ様を妻って?」
「まじか……?…建国の祖だぞ…?」
戦闘中にもあるまじき気の取られ方でやや呆然のサウスバーゲンの団員達。魔力が効かないアルフィスがあっさりと檻に捕らえられている事へのゴアラ兵の驚きにとその場はしばし時が止まったかの様な様相だ。
この場で冷静に自分のやるべき事を見つめ、まだ諦めていない諦め切れないサザーニャは、ソロソロと後退って視線を外していたシュトラインの剣先から離れ出る…!
まだ、終わってはいない……!!
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