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71 セーランの憧れ
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ガイの事はルーシウスが保証してくれた。今どうしているか気になるが、これからのサウラとて気を抜けない。ボウシュ皇太子の生誕祭にルーシウスの番として出席しなくてはならないからだ。
ルーシウスの元を辞したのは昼を過ぎている。今から用意して間に合うのか、アミラ達が気を揉んでいる事だと思う。
急ぎサウラの宛てがわれた部屋へと急ぐ。
「きゃぁ。」
廊下の角を曲がった所で誰かとぶつかる。急いでいた為、注意を払っていなかった。
「セーラン様!」
しまった!一瞬頭が固まる。王族の居城なのだからルーシウス様以外にも王族は居られたんだ。
「申し訳ありません。急いでいたもので…お怪我はありませんか?」
急に目の前に人が出てぶつかったとあれば驚きもしましょう。暫く目をパチパチさせていたセーランも、目の前に居るのが年若い騎士で自分の事を心配そうに覗き込んでくればバッと居住まいを正した。
「大事ありません。けれど、室内をその様に急ぎ歩くのは感心しませんわ。」
お小言を頂いてしまった…
「申し訳ありません。陛下の御用で急いでいたものですから。」
「まぁ、お兄様の?では仕方ありませんわね。私もお兄様に御用が有ったのだわ。急がなくては行けなかったわ。」
「お引き留めして申し訳ありません。どうぞお行きください。」
セーランと続く侍女を見送るとソウも足早に部屋へと戻る。
居室にはオロオロと立ち動くアミラ、スザンナが待っていた。とびらが開くや否や、バッと同時に振り返る。どう見ても王族に仕える侍女にはあるまじき所作である。
「お帰りなさいませ!」
「急ぎ衣類を脱いで浴室へ!」
どちらが先か二人同時に声がかかる。2人共両手いっぱいの何かを持ってソウと共に消えていった。
「あの方は我が国の騎士よね?」
「はい、隊服は我が国の物でしたので間違えでは無いかと。」
先程ソウと対面したセーランは付き添ってきた侍女に話しかける。
でもこの国に入るまで彼の顔を見た事はない。騎士の人数だけでもかなりのものだが、セーランには秘密があるのだ。快活な性格が影響しているのか、幼い時からの無類の騎士好き。
城に居る近衞騎士以上の者ならば顔くらい押さえている自信がある。そして先程見た騎士は、王族の居城に出入り出来る身分である為相当の信頼を得ていることになる。それだけ長く勤めているにもかかわらず、見たことないとは?おかしな事だ。まさか………
「お兄様!」
無作法以外の何者ではない程、従者が止めるのを待たずにルーシウスの居室の扉を開ける。
側仕えの従者が驚いて振り返る中、スタスタと室内の執務机で書き物をしていたルーシウスの元に進み出る。
「どうしたのだ、セーラン。まだ、支度は終わっていないのだろう?」
どう見てもボウシュ皇太子が迎えに来ても大丈夫な格好ではない様だか?
「お兄様にお願いがあって参りましたの。後もう一つは確認ですわ。」
「ん?」
忙しいであろうルーシウスはその手を止めて妹の話に耳を傾ける。
「本日の祝会、最後まで出ては行けませんか?私も最後までお祝いしたいのです。」
「そうは言ってもお前はまだ成人してはいないからな。」
やや困り顔のルーシウス。
「私だけ出られないなんて、初めてボウシュ皇太子のお国に来たのに…」
「お前だけではなくてサウラもだぞ。」
「まぁ、お義姉様も?」
「サウラもまだ成人していない。だから王族への挨拶のみで下がらせるつもりだ。」
「ではその後お義姉様とお茶をしていてもいい?」
「晩餐も用意しておくから2人でゆっくりするといい。」
「まぁ、お義姉様とご一緒出来るのね?」
やった、とばかりに手を合わせ喜ぶ姿はまだまだ子供だ。サウスバーゲンにいる時でもサウラは王族とほぼ交流を持っていなかった。セーランがこんなに喜んでいる様ならばもっと早くに合わせてやるべきだったと思う。
「それで、もう一つの確認とは?」
微笑ましく妹を見るルーシウスが問いかける。
「そうでしたわ。先程この城の廊下で見た事のない騎士を見ました。ここにいる侍女も共に会いましたが、サウスバーゲンでも此方に来る時にでも見た事の無い者でした。」
「ん?先程?」
「そうですわ。もしや…どこぞの間者では?」
ヒソリ、と声を鎮めて問う妹に、嫌、それは無いだろう、と否やを唱えたくなるルーシウスであるが、一様どんな者か聞いてみよう。
「どんな者だった?」
「短めの黒髪に黒瞳、背はあまり高くはありませんでしたわね。優しそうな端正なお顔立ちの若い騎士でしたわ。厳つい方が多いのにあんな爽やかな感じの方もいますのね。」
あんな感じの人が間者なんて出来るかしら?お人好しそうだわ。
「お兄様知っておられる?」
妹からソウの事を聞くとは何とも気恥ずかしいものだが。
「大事ない、あれの事は俺が保証する。」
そう言った兄王の何とも言えないにやけた?嬉しそうな顔は何とした事?お義姉様がこのお顔を見たら何某かの勘違いをしてしまいそうよ?
愛しい妹に手痛いお小言をもらってしまった。
ルーシウスの元を辞したのは昼を過ぎている。今から用意して間に合うのか、アミラ達が気を揉んでいる事だと思う。
急ぎサウラの宛てがわれた部屋へと急ぐ。
「きゃぁ。」
廊下の角を曲がった所で誰かとぶつかる。急いでいた為、注意を払っていなかった。
「セーラン様!」
しまった!一瞬頭が固まる。王族の居城なのだからルーシウス様以外にも王族は居られたんだ。
「申し訳ありません。急いでいたもので…お怪我はありませんか?」
急に目の前に人が出てぶつかったとあれば驚きもしましょう。暫く目をパチパチさせていたセーランも、目の前に居るのが年若い騎士で自分の事を心配そうに覗き込んでくればバッと居住まいを正した。
「大事ありません。けれど、室内をその様に急ぎ歩くのは感心しませんわ。」
お小言を頂いてしまった…
「申し訳ありません。陛下の御用で急いでいたものですから。」
「まぁ、お兄様の?では仕方ありませんわね。私もお兄様に御用が有ったのだわ。急がなくては行けなかったわ。」
「お引き留めして申し訳ありません。どうぞお行きください。」
セーランと続く侍女を見送るとソウも足早に部屋へと戻る。
居室にはオロオロと立ち動くアミラ、スザンナが待っていた。とびらが開くや否や、バッと同時に振り返る。どう見ても王族に仕える侍女にはあるまじき所作である。
「お帰りなさいませ!」
「急ぎ衣類を脱いで浴室へ!」
どちらが先か二人同時に声がかかる。2人共両手いっぱいの何かを持ってソウと共に消えていった。
「あの方は我が国の騎士よね?」
「はい、隊服は我が国の物でしたので間違えでは無いかと。」
先程ソウと対面したセーランは付き添ってきた侍女に話しかける。
でもこの国に入るまで彼の顔を見た事はない。騎士の人数だけでもかなりのものだが、セーランには秘密があるのだ。快活な性格が影響しているのか、幼い時からの無類の騎士好き。
城に居る近衞騎士以上の者ならば顔くらい押さえている自信がある。そして先程見た騎士は、王族の居城に出入り出来る身分である為相当の信頼を得ていることになる。それだけ長く勤めているにもかかわらず、見たことないとは?おかしな事だ。まさか………
「お兄様!」
無作法以外の何者ではない程、従者が止めるのを待たずにルーシウスの居室の扉を開ける。
側仕えの従者が驚いて振り返る中、スタスタと室内の執務机で書き物をしていたルーシウスの元に進み出る。
「どうしたのだ、セーラン。まだ、支度は終わっていないのだろう?」
どう見てもボウシュ皇太子が迎えに来ても大丈夫な格好ではない様だか?
「お兄様にお願いがあって参りましたの。後もう一つは確認ですわ。」
「ん?」
忙しいであろうルーシウスはその手を止めて妹の話に耳を傾ける。
「本日の祝会、最後まで出ては行けませんか?私も最後までお祝いしたいのです。」
「そうは言ってもお前はまだ成人してはいないからな。」
やや困り顔のルーシウス。
「私だけ出られないなんて、初めてボウシュ皇太子のお国に来たのに…」
「お前だけではなくてサウラもだぞ。」
「まぁ、お義姉様も?」
「サウラもまだ成人していない。だから王族への挨拶のみで下がらせるつもりだ。」
「ではその後お義姉様とお茶をしていてもいい?」
「晩餐も用意しておくから2人でゆっくりするといい。」
「まぁ、お義姉様とご一緒出来るのね?」
やった、とばかりに手を合わせ喜ぶ姿はまだまだ子供だ。サウスバーゲンにいる時でもサウラは王族とほぼ交流を持っていなかった。セーランがこんなに喜んでいる様ならばもっと早くに合わせてやるべきだったと思う。
「それで、もう一つの確認とは?」
微笑ましく妹を見るルーシウスが問いかける。
「そうでしたわ。先程この城の廊下で見た事のない騎士を見ました。ここにいる侍女も共に会いましたが、サウスバーゲンでも此方に来る時にでも見た事の無い者でした。」
「ん?先程?」
「そうですわ。もしや…どこぞの間者では?」
ヒソリ、と声を鎮めて問う妹に、嫌、それは無いだろう、と否やを唱えたくなるルーシウスであるが、一様どんな者か聞いてみよう。
「どんな者だった?」
「短めの黒髪に黒瞳、背はあまり高くはありませんでしたわね。優しそうな端正なお顔立ちの若い騎士でしたわ。厳つい方が多いのにあんな爽やかな感じの方もいますのね。」
あんな感じの人が間者なんて出来るかしら?お人好しそうだわ。
「お兄様知っておられる?」
妹からソウの事を聞くとは何とも気恥ずかしいものだが。
「大事ない、あれの事は俺が保証する。」
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