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20 タッチリアーナ国 2
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タッチリアーナ国、通称赤の国。その名の通り、この国では赤い色が重要視される。人においても、動物においても、宝石や品物においても赤が一番貴重とされる。どうしてこんな国風になったのか、今では諸説あって土産話し用の本になった物が数種類本屋に並んでいるくらいで、誰もその真相には行きついていないらしい。
王族であれば、その象徴たる赤髪でなければ王位を継ぐことはできない、などの昔ながらの厳しい決まりも根強く残っている様な国。大きな町に入れば、必ずと言って身なりの良い者達は赤髪の者で、付き従う従者にも髪や瞳に朱色が入っている者が多い印象だ。
「本当に……赤色が貴重なんだな……」
人は皆綺麗に整えられている格好をしているので、なんとなく赤色を持つ人々が全て美男美女に見えてくる。高級商品を扱う商店のディスプレイも赤系が中心になるのでどの店が高級店か直ぐにわかる。
町中では諸所で目に着く赤い色だが、大衆食堂や居酒屋では見かけないものだった。タッチリアーナ国に入ったタロス団の傭兵達は、思い思いの居酒屋へと足を運び一日の疲れを癒やし、また情報を収集する為に各々時間を潰しているところだ。
ここはタッチリアーナ国国境付近の街、ハヤカだ。大きな町であることは確かなのだが、町に入ってしまえばタッチリアーナ王都から離れている辺境の町にでもそれなりに有力貴族達が多い事がよく分かった。辺境の町でこれなのだから、王都にでも行った時にはどれだけの赤毛の人々が目に入って来ることか、今から想像しても嫌になる程かもしれない。
「目に痛い…?」
前に置かれたコップに酒が注がれる。
「私は好きだけどね…?赤毛って情熱的で日に透けると本当に燃えている様で綺麗だよね…」
夕食と共に酒を飲みつつカーリーがそう話す。そう、クリスとて赤が嫌いなわけじゃない。嫌いなわけじゃない、から余計に引きずってしまうのかもしれないけど…
「…カーリーは、気にされるの嫌だろう?」
クリスの方からはこの国に対する不平や不満は一切言っていない。一時はもう、赤い色すら見たくもないと思っていたとしてもだ。
「…ん~それはないな…クリスにとって、ブランカ村は唯一の故郷だろう?私らみたいな傭兵は国も人種もバラバラだし……そんな中で肩を寄せ合って生きて来たのに、いきなりあんな結果だもんな。逆に気にしてない人間の方がおかしいだろう?」
「……うん…」
宙ぶらりんな心のままのクリスをそれで当たり前と言ってくれるカーリーはその言葉に嘘偽りもないという様に、いつもと同じ様に夕食を進めている。
「…うん……本当に、助かる……」
何気ないカーリーの言葉と日常がクリスの心を軽くしていく……
王族であれば、その象徴たる赤髪でなければ王位を継ぐことはできない、などの昔ながらの厳しい決まりも根強く残っている様な国。大きな町に入れば、必ずと言って身なりの良い者達は赤髪の者で、付き従う従者にも髪や瞳に朱色が入っている者が多い印象だ。
「本当に……赤色が貴重なんだな……」
人は皆綺麗に整えられている格好をしているので、なんとなく赤色を持つ人々が全て美男美女に見えてくる。高級商品を扱う商店のディスプレイも赤系が中心になるのでどの店が高級店か直ぐにわかる。
町中では諸所で目に着く赤い色だが、大衆食堂や居酒屋では見かけないものだった。タッチリアーナ国に入ったタロス団の傭兵達は、思い思いの居酒屋へと足を運び一日の疲れを癒やし、また情報を収集する為に各々時間を潰しているところだ。
ここはタッチリアーナ国国境付近の街、ハヤカだ。大きな町であることは確かなのだが、町に入ってしまえばタッチリアーナ王都から離れている辺境の町にでもそれなりに有力貴族達が多い事がよく分かった。辺境の町でこれなのだから、王都にでも行った時にはどれだけの赤毛の人々が目に入って来ることか、今から想像しても嫌になる程かもしれない。
「目に痛い…?」
前に置かれたコップに酒が注がれる。
「私は好きだけどね…?赤毛って情熱的で日に透けると本当に燃えている様で綺麗だよね…」
夕食と共に酒を飲みつつカーリーがそう話す。そう、クリスとて赤が嫌いなわけじゃない。嫌いなわけじゃない、から余計に引きずってしまうのかもしれないけど…
「…カーリーは、気にされるの嫌だろう?」
クリスの方からはこの国に対する不平や不満は一切言っていない。一時はもう、赤い色すら見たくもないと思っていたとしてもだ。
「…ん~それはないな…クリスにとって、ブランカ村は唯一の故郷だろう?私らみたいな傭兵は国も人種もバラバラだし……そんな中で肩を寄せ合って生きて来たのに、いきなりあんな結果だもんな。逆に気にしてない人間の方がおかしいだろう?」
「……うん…」
宙ぶらりんな心のままのクリスをそれで当たり前と言ってくれるカーリーはその言葉に嘘偽りもないという様に、いつもと同じ様に夕食を進めている。
「…うん……本当に、助かる……」
何気ないカーリーの言葉と日常がクリスの心を軽くしていく……
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