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123.不穏な気配 5 *
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だからと言って、これは無い…火がついた身体をどうせよと……
「あ………っ…」
「声…出して良いのか…?」
良いも悪いも…ここは公共の通路である。柱の向こう側には今も通行している侍女達の足音さえ響いてくる。
「アー…キン…」
こんなにされたら…
「良い匂いだ…リリー…俺の…」
アーキンの深いキスがリリーの首筋を伝い下へと降りてくる。僅かどころではなく漏れてくるリリーの香りがアーキンを更に煽って行く。
「やっ……ぁっ」
「嫌じゃないだろう?」
嫌であったら身体は反応しないだろう。その証拠にリリーの中心は痛い程主張しているのだから…
匂いが…
リリーの香りに釣られてアーキンのフェロモンも更に溢れてくる。
「あ……ぁ…っ…ん…」
柱に寄り掛かるように立たされて下衣に手をかけられた時にはもうリリーの力は抜けきっていた。
目の前のαが欲しい……
要らないと言っててもこんな時には腹の底から湧き上がる情動に抗う術など無きに等しい。
「俺が…欲しい?」
荒く弾んできているお互いの息使いの間に、上目遣いのアーキンがリリーに問う。先程からリリーは縋るように、リリーの中心を口腔に加えているアーキンの髪に震える指を必死に絡めてきているから…
「…………っ…!」
声を押し殺してリリーは精を放ち、崩折れそうになるリリーをアーキンはしっかりと抱えなおした。
「なぁ…リリー。俺が欲しい?」
「あ……ぅ…も…ぅ…」
スルリと、濡れたアーキンの指先がリリーの後ろへと回されて待ちきれないと雄弁に語る窪みを探る。
「リリー…答えてくれ…」
聞かなくたって分かるはずだ。リリーの熱い身体もフェロモンも必死にアーキンを誘っているのに…こんな、人目につくかもしれない城の廊下で、思いもよらない場所でこんな無体を働かれているのに怒るどころか……
「もぅ……アー…キン…」
何度も与えられる喜びを知ってしまったらお預けなんてお互いにまっぴらごめんだろう?
「聞きたい…リリー…」
これしか……俺には…
何度も深いキスと後ろを深く抉る指先に翻弄されながらも1番欲しい物が与えられなくて、リリーはただギュウっとアーキンに縋り付く…
「アーキン…!」
お互いのフェロモンに包まれてしまえばもうお互いの事しか見えなくて、限界に近いリリーは涙目でアーキンの首筋に歯を立てる。これ以上は拷問にも等しいのに…!
普段なら涙を流すなんて絶対に見られないリリーの姿だ。リリーにしつこい程のキスを落としながらゾクゾクと背筋を上がってくる快感に翻弄されてアーキンも限界に近かった。
「リリー…言ってくれ…」
頼む………
「これしか、俺にはないから………」
全身全霊で番いたいとリリーを欲しているのに番えない…リリーしか要らないのに番えない。将来も何も諦める気はさらさら無いが、自分達の関係ではただこの身体に少しの痕跡を残す事しかできない。だから言って欲しい…この瞬間も自分が欲しいと…自分だけが欲しいと…!
「ん…っ。」
どこを触られてもリリーの身体はピクリと反応してアーキンに全身で答えているのに…
「お願いだ…リリー……」
好きな様に触られて泣かされているのはリリーなのに、今そのリリーの前で心底泣きそうなのはアーキンだ。
「馬鹿…だな…っ…お前…馬鹿だ……!」
精一杯の力でアーキンを引き寄せてリリーは自分から思い切りキスをする。相手が欲しくて欲しくて、仕方がない…噛み付く様な激しいキス…
「早く…お前、を…寄越せ…!」
何がこんなにアーキンを不安にさせている?こんなに、自分から求める者などお前以外にいないのに……!!
「ぁっ…あ……ぅあっ…!」
アーキンの大きな手で口を塞がれててもリリーから漏れ出る声は止められない。
泣き縋りたいほど気持ちがよくて、触れてもらえるのが嬉しくて、思い切り噛み付かれないのが身を捩るほどもどかしくて、頭がどうにかなりそうになるのはアーキンにだけなのに……
「は…っ…リリー…!」
弾む呼吸全て飲み込むつもりでお互いにキスを貪る。漏れ出る吐息一つ残らず自分のものだから……!
「ひっ…ぁ…っ…あ…やだ…!」
出て行こうとするアーキンをまだ引き止めようとリリーはギュウっと締め上げる。
「くっ……」
足りない…まだ、足りない……
どちらから求めているのか、どちらの方が多く求めているのかそれさえも分から無くなるほど、どうしても互いを欲して…………
「リリー………」
リリーが執務室に帰ってみれば、すでに待機していたノルーの苦笑に迎えられた。
「こちらを…置いておきますね。」
全て知っているノルーだからこそ用意周到だ。ノルーは質素な素焼きの小瓶をそっと執務机の上に置く。
「……要らない……」
「!?」
いつもの様に小瓶の中にある物を一飲みで飲み切るものだと思っていた主人は思いもかけない返答をノルーに寄越した。
「……リリー…?」
ビックリ眼とはこの事を言うのだろう。白の邸宅に居る者達にも見せてやりたいと思ったほど、目をまん丸にしてノルーは驚く。
「どうやっても不安が取れない様だ。口さがない者達の言いなりになる様で口惜しいが、こちらとて本気を見せてやるさ。」
愛している、と言った言葉に嘘はないのだから…
「あ………っ…」
「声…出して良いのか…?」
良いも悪いも…ここは公共の通路である。柱の向こう側には今も通行している侍女達の足音さえ響いてくる。
「アー…キン…」
こんなにされたら…
「良い匂いだ…リリー…俺の…」
アーキンの深いキスがリリーの首筋を伝い下へと降りてくる。僅かどころではなく漏れてくるリリーの香りがアーキンを更に煽って行く。
「やっ……ぁっ」
「嫌じゃないだろう?」
嫌であったら身体は反応しないだろう。その証拠にリリーの中心は痛い程主張しているのだから…
匂いが…
リリーの香りに釣られてアーキンのフェロモンも更に溢れてくる。
「あ……ぁ…っ…ん…」
柱に寄り掛かるように立たされて下衣に手をかけられた時にはもうリリーの力は抜けきっていた。
目の前のαが欲しい……
要らないと言っててもこんな時には腹の底から湧き上がる情動に抗う術など無きに等しい。
「俺が…欲しい?」
荒く弾んできているお互いの息使いの間に、上目遣いのアーキンがリリーに問う。先程からリリーは縋るように、リリーの中心を口腔に加えているアーキンの髪に震える指を必死に絡めてきているから…
「…………っ…!」
声を押し殺してリリーは精を放ち、崩折れそうになるリリーをアーキンはしっかりと抱えなおした。
「なぁ…リリー。俺が欲しい?」
「あ……ぅ…も…ぅ…」
スルリと、濡れたアーキンの指先がリリーの後ろへと回されて待ちきれないと雄弁に語る窪みを探る。
「リリー…答えてくれ…」
聞かなくたって分かるはずだ。リリーの熱い身体もフェロモンも必死にアーキンを誘っているのに…こんな、人目につくかもしれない城の廊下で、思いもよらない場所でこんな無体を働かれているのに怒るどころか……
「もぅ……アー…キン…」
何度も与えられる喜びを知ってしまったらお預けなんてお互いにまっぴらごめんだろう?
「聞きたい…リリー…」
これしか……俺には…
何度も深いキスと後ろを深く抉る指先に翻弄されながらも1番欲しい物が与えられなくて、リリーはただギュウっとアーキンに縋り付く…
「アーキン…!」
お互いのフェロモンに包まれてしまえばもうお互いの事しか見えなくて、限界に近いリリーは涙目でアーキンの首筋に歯を立てる。これ以上は拷問にも等しいのに…!
普段なら涙を流すなんて絶対に見られないリリーの姿だ。リリーにしつこい程のキスを落としながらゾクゾクと背筋を上がってくる快感に翻弄されてアーキンも限界に近かった。
「リリー…言ってくれ…」
頼む………
「これしか、俺にはないから………」
全身全霊で番いたいとリリーを欲しているのに番えない…リリーしか要らないのに番えない。将来も何も諦める気はさらさら無いが、自分達の関係ではただこの身体に少しの痕跡を残す事しかできない。だから言って欲しい…この瞬間も自分が欲しいと…自分だけが欲しいと…!
「ん…っ。」
どこを触られてもリリーの身体はピクリと反応してアーキンに全身で答えているのに…
「お願いだ…リリー……」
好きな様に触られて泣かされているのはリリーなのに、今そのリリーの前で心底泣きそうなのはアーキンだ。
「馬鹿…だな…っ…お前…馬鹿だ……!」
精一杯の力でアーキンを引き寄せてリリーは自分から思い切りキスをする。相手が欲しくて欲しくて、仕方がない…噛み付く様な激しいキス…
「早く…お前、を…寄越せ…!」
何がこんなにアーキンを不安にさせている?こんなに、自分から求める者などお前以外にいないのに……!!
「ぁっ…あ……ぅあっ…!」
アーキンの大きな手で口を塞がれててもリリーから漏れ出る声は止められない。
泣き縋りたいほど気持ちがよくて、触れてもらえるのが嬉しくて、思い切り噛み付かれないのが身を捩るほどもどかしくて、頭がどうにかなりそうになるのはアーキンにだけなのに……
「は…っ…リリー…!」
弾む呼吸全て飲み込むつもりでお互いにキスを貪る。漏れ出る吐息一つ残らず自分のものだから……!
「ひっ…ぁ…っ…あ…やだ…!」
出て行こうとするアーキンをまだ引き止めようとリリーはギュウっと締め上げる。
「くっ……」
足りない…まだ、足りない……
どちらから求めているのか、どちらの方が多く求めているのかそれさえも分から無くなるほど、どうしても互いを欲して…………
「リリー………」
リリーが執務室に帰ってみれば、すでに待機していたノルーの苦笑に迎えられた。
「こちらを…置いておきますね。」
全て知っているノルーだからこそ用意周到だ。ノルーは質素な素焼きの小瓶をそっと執務机の上に置く。
「……要らない……」
「!?」
いつもの様に小瓶の中にある物を一飲みで飲み切るものだと思っていた主人は思いもかけない返答をノルーに寄越した。
「……リリー…?」
ビックリ眼とはこの事を言うのだろう。白の邸宅に居る者達にも見せてやりたいと思ったほど、目をまん丸にしてノルーは驚く。
「どうやっても不安が取れない様だ。口さがない者達の言いなりになる様で口惜しいが、こちらとて本気を見せてやるさ。」
愛している、と言った言葉に嘘はないのだから…
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