83 / 144
83.ヤキモチ 3 *
しおりを挟む
「馬鹿……」
「リリー?」
我慢できないと言わんばかりに触れてくるのに、アーキンは決定権をリリーに渡そうとする。もっと本能のまま動いていいのに…一番大事な所は明け渡せないけど、それ以外ならば既にリリーは手放しているのだから。
「欲しく、無かったら…ここには、来ないだろう?」
実際、もう真面に話すことすら辛いのだ。本格的に発情の兆しがあるリリーに理屈や常識なんて通用しない。目の前に番がいてお互いに求め合っているのに与えられないなんてただただ地獄でしか無い。
「リリー…他の、αに触らせた…!」
あの男の匂いも勿論そうだが、以前から噂のあった騎士団長達との関係性も今になってアーキンを苦しめる。
「…不可、効力…」
「匂いがする…!」
「だから…あっん……っ…けしてっ…」
限界…アーキンの声で達してしまった…
耳元で低音の声を惜しげもなく嫉妬で震わせながら話すものだから、耳からの刺激とアーキンは自分の物という優越感でズドンと腰に響いてしまった…
「消して…嫌だって、言った…だろ?アーキン…アーキ……」
全てを言う前にまたアーキンに唇を塞がれる。深く、深く吸い尽くされるかと思う位に執拗に、念入りにリリーの口腔内をアーキンは責め上げて行く。
嫌なんだよ…アーキン…本当はずっと嫌だった。この身体を誰かに慰めて貰わなくてはならない事の浅ましさに消えてしまいたいと思っていた時期だってある。
けど、けれど……今は…
「んん…っ………っ!」
いつの間にか全裸になっているアーキンの昂りがリリーの後口を穿つ。充分に愛液を垂らして柔らかくヒクついていたそこはまだアーキンを受け入れた回数は少ないと言うのにすんなりとアーキンを奥まで導き入れていく。
「~~~~~!!」
キスで口を塞がれていて良かったと思う…でなければリリーはあられもない嬌声をあげていたことだろう。
「はっ……達った…?リリー?」
身体中きっとどこに触れてもビクビクと反応を返すリリーの頬に優しく手を這わせながらアーキンは紫金色のリリーの瞳を覗き込む。
「ぁっ…ぁっ…」
ユラユラと動きを止めないアーキンに合わせてリリーの切なそうな声が響く。
「リリー…」
グッと深く挿し入れながら、アーキンはリリーの頬を舐める。
あいつが触れた所…!
一つとしても他の誰かが触れたのが許せない。リリーの身体は爪先から髪の先まで自分の物なのに!
「んぁっ……ぁあ…!」
触れた!!
リリーに触れた者がいると言う事だけで訳も分からない程に怒りで頭が沸騰しそうになる。その度にリリーの中に深くアーキンは己を埋め込んでいく。もっと深く、もっと奥まで…!誰もまだ触れていない所までこれは自分の物なのだと誰に対しても牽制できる様に!
これは、俺のものなのに!!
ガジリ!!
ギリギリとリリーの首筋のガードにアーキンは齧り付く…何度も何度も…
アーキンは気が済むまで何度もリリーの中に精を放ちリリーが気を失うまでアーキンはリリーを攻め立てていく……
「…う………」
乾いた藁の匂いが目が開かないうちから鼻腔を擽る……
「目が覚めたか?」
あったかい………
スリッとリリーは子供の様に温かいものに擦り寄っていく。ギュウッと抱きしめ返されてリリーは自分がまだアーキンの腕の中にいる事を知った。
「起きれるか?」
ガサッと軽い音を立てながらアーキンが身じろぎをする。やっと瞳を開けてみれば厩舎の外は既に明るい…あの後きっと一晩中……
「………起きれると思うか…?」
Ωにしてみたら桁違いに体力を維持できるリリーからしても、しばらく直ぐには動けない程まだ疲労困憊だ。
「そうだな…悪い。無理をさせた…」
決定権を委ねようとするこの優しい番は、それでも嫉妬には勝てなかったらしい。リリーも人の事を言えない。正体を無くす程二人とも夢中だったから。
「管理小屋に、荷物がある…」
きっと昨夜のうちにヤリスが管理小屋に諸々を運び込んでいるはずだ。だから動けるならばそっちに移った方がいい。外は明るいのだからもう夜は明けている。ならばそろそろ騎士団の面々が馬を出しにここに来るはずだ。
「取ってこよう。」
下履きだけ身につけたアーキンはザッと起き上がる。
「…アーキン、第2がここに来る。」
ここは対魔法第2騎士団の厩舎であるから騎士がいつきてもおかしくは無いのだ。
「世話ならば俺がやったが?」
「違うよ…」
キョトンとしたアーキンが可愛く見える。リリーは甘える様にアーキンに両手を伸ばす。Ωの番にそんな事をされたら断れるαはいないだろう。誘われるままにアーキンはゆっくりとリリーに覆いかぶさって柔らかく甘い唇を堪能した。
「今日、第2が出発するんだ…」
「え、聞いてないぞ?」
「ふ…そうだろうな。アーキンが厩舎掃除を言いつかった後に決まった事だ。一週間、時間をもらった…」
実際に国境までの移動時間を考えると丸々一週間のゆとりはない。が、例え数日であろうとも一緒に居られる時間があるのは二人には喜ばしいものだ。
「一週間後に私とアーキンは第1、第2、第3の本体と合流することになる。」
「任務か。それまで…一緒に居ていいのか…?」
アーキンの香りに昨日の熱をちらつかせる赤い瞳、一緒に居たいのはアーキンだけじゃない。
リリーだってまだ、足りない…
「リリー?」
我慢できないと言わんばかりに触れてくるのに、アーキンは決定権をリリーに渡そうとする。もっと本能のまま動いていいのに…一番大事な所は明け渡せないけど、それ以外ならば既にリリーは手放しているのだから。
「欲しく、無かったら…ここには、来ないだろう?」
実際、もう真面に話すことすら辛いのだ。本格的に発情の兆しがあるリリーに理屈や常識なんて通用しない。目の前に番がいてお互いに求め合っているのに与えられないなんてただただ地獄でしか無い。
「リリー…他の、αに触らせた…!」
あの男の匂いも勿論そうだが、以前から噂のあった騎士団長達との関係性も今になってアーキンを苦しめる。
「…不可、効力…」
「匂いがする…!」
「だから…あっん……っ…けしてっ…」
限界…アーキンの声で達してしまった…
耳元で低音の声を惜しげもなく嫉妬で震わせながら話すものだから、耳からの刺激とアーキンは自分の物という優越感でズドンと腰に響いてしまった…
「消して…嫌だって、言った…だろ?アーキン…アーキ……」
全てを言う前にまたアーキンに唇を塞がれる。深く、深く吸い尽くされるかと思う位に執拗に、念入りにリリーの口腔内をアーキンは責め上げて行く。
嫌なんだよ…アーキン…本当はずっと嫌だった。この身体を誰かに慰めて貰わなくてはならない事の浅ましさに消えてしまいたいと思っていた時期だってある。
けど、けれど……今は…
「んん…っ………っ!」
いつの間にか全裸になっているアーキンの昂りがリリーの後口を穿つ。充分に愛液を垂らして柔らかくヒクついていたそこはまだアーキンを受け入れた回数は少ないと言うのにすんなりとアーキンを奥まで導き入れていく。
「~~~~~!!」
キスで口を塞がれていて良かったと思う…でなければリリーはあられもない嬌声をあげていたことだろう。
「はっ……達った…?リリー?」
身体中きっとどこに触れてもビクビクと反応を返すリリーの頬に優しく手を這わせながらアーキンは紫金色のリリーの瞳を覗き込む。
「ぁっ…ぁっ…」
ユラユラと動きを止めないアーキンに合わせてリリーの切なそうな声が響く。
「リリー…」
グッと深く挿し入れながら、アーキンはリリーの頬を舐める。
あいつが触れた所…!
一つとしても他の誰かが触れたのが許せない。リリーの身体は爪先から髪の先まで自分の物なのに!
「んぁっ……ぁあ…!」
触れた!!
リリーに触れた者がいると言う事だけで訳も分からない程に怒りで頭が沸騰しそうになる。その度にリリーの中に深くアーキンは己を埋め込んでいく。もっと深く、もっと奥まで…!誰もまだ触れていない所までこれは自分の物なのだと誰に対しても牽制できる様に!
これは、俺のものなのに!!
ガジリ!!
ギリギリとリリーの首筋のガードにアーキンは齧り付く…何度も何度も…
アーキンは気が済むまで何度もリリーの中に精を放ちリリーが気を失うまでアーキンはリリーを攻め立てていく……
「…う………」
乾いた藁の匂いが目が開かないうちから鼻腔を擽る……
「目が覚めたか?」
あったかい………
スリッとリリーは子供の様に温かいものに擦り寄っていく。ギュウッと抱きしめ返されてリリーは自分がまだアーキンの腕の中にいる事を知った。
「起きれるか?」
ガサッと軽い音を立てながらアーキンが身じろぎをする。やっと瞳を開けてみれば厩舎の外は既に明るい…あの後きっと一晩中……
「………起きれると思うか…?」
Ωにしてみたら桁違いに体力を維持できるリリーからしても、しばらく直ぐには動けない程まだ疲労困憊だ。
「そうだな…悪い。無理をさせた…」
決定権を委ねようとするこの優しい番は、それでも嫉妬には勝てなかったらしい。リリーも人の事を言えない。正体を無くす程二人とも夢中だったから。
「管理小屋に、荷物がある…」
きっと昨夜のうちにヤリスが管理小屋に諸々を運び込んでいるはずだ。だから動けるならばそっちに移った方がいい。外は明るいのだからもう夜は明けている。ならばそろそろ騎士団の面々が馬を出しにここに来るはずだ。
「取ってこよう。」
下履きだけ身につけたアーキンはザッと起き上がる。
「…アーキン、第2がここに来る。」
ここは対魔法第2騎士団の厩舎であるから騎士がいつきてもおかしくは無いのだ。
「世話ならば俺がやったが?」
「違うよ…」
キョトンとしたアーキンが可愛く見える。リリーは甘える様にアーキンに両手を伸ばす。Ωの番にそんな事をされたら断れるαはいないだろう。誘われるままにアーキンはゆっくりとリリーに覆いかぶさって柔らかく甘い唇を堪能した。
「今日、第2が出発するんだ…」
「え、聞いてないぞ?」
「ふ…そうだろうな。アーキンが厩舎掃除を言いつかった後に決まった事だ。一週間、時間をもらった…」
実際に国境までの移動時間を考えると丸々一週間のゆとりはない。が、例え数日であろうとも一緒に居られる時間があるのは二人には喜ばしいものだ。
「一週間後に私とアーキンは第1、第2、第3の本体と合流することになる。」
「任務か。それまで…一緒に居ていいのか…?」
アーキンの香りに昨日の熱をちらつかせる赤い瞳、一緒に居たいのはアーキンだけじゃない。
リリーだってまだ、足りない…
16
お気に入りに追加
376
あなたにおすすめの小説
完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
BLゲームのモブに転生したので壁になろうと思います
雪
BL
前世の記憶を持ったまま異世界に転生!
しかも転生先が前世で死ぬ直前に買ったBLゲームの世界で....!?
モブだったので安心して壁になろうとしたのだが....?
ゆっくり更新です。
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う
hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。
それはビッチングによるものだった。
幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。
国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。
※不定期更新になります。
【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?
MEIKO
BL
【完結】そのうち番外編更新予定。伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷うだけだ┉。僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げた。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなの何で!?
※R対象話には『*』マーク付けますが、後半付近まで出て来ない予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる