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74.初めての発情 3 *

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「何を、しておられるのですか?」

 一瞬ノルーには時が止まった様に見えた。ただベッドに2人して座っているのならば体調不良の弟と見舞いに来た兄の図が出来上がる。

 けれど……これは…

「見て、分からないか?」

 後ろからリリーを抱きしめる王太子の片手はリリーの顎をガッチリと固定して、そして王太子の唇はリリーの口を塞いでいた…

「は……ぁ……っん…」

 唇を離されたリリーは苦しそうに息継ぎをする。漏れ出る声は苦しそうなのに、リリーは自分からまたキスをねだる様に口を開ける。

「何を……して……?」

 嫌がるどころかリリーは王太子の半分脱げかけているシャツをしっかりと握りしめて縋りついている。

「あぅっ…ゃあ……あっ」

「暴れるなリーシュレイト…これはいけない事じゃない。お前にとっては必要なものだ。ただ快感を追ってなさい…」

 リリーの声が上がる。王太子の反対の手がリリーの中心をしっかりと握りしめていて妖しく動く度にリリーの身体がピクリと反応した。

 何が…起きてる?リリーが……

 リリーもほぼ衣類を剥がれ、下半身はかろうじて下衣が片足にまだかかっている程度。上半身はシャツのボタン全てが外され胸元がはだけて見えてしまっていた。

 一気にノルーの顔面が火がついた様に熱くなる。バッと勢いよく顔を背けては自分の声が漏れない様に口を手で塞いだ。主人のあられも無い姿なんて見て良いはずがないのだ…なのになんで……

「ノルー、目を逸らすな!」

 リリーの身体を弄りながら王太子はノルーに視線を流した。

「あぁん…!」

 ビクッと身体を震わせてリリーが精を放つ…荒く休まる事を知らない、部屋中に響くリリーの息遣いがいつしか自分の物と重なって、そこでノルーは自分が今までに無いほど動揺しているのを知った…

「しっかり見ておきなさい。Ωの主人を持つと言う事はこう言う事だ…」

 精を放ってもリリーの昂りは治らない。王太子はリリーの足を開きノルーの目の前でリリーの一番柔らかい最奥が見える様な姿勢を取らせる。そこはまだ綺麗な薄紅色で何度も放っただろうリリーの精と後口から溢れ出してる愛液で濡れそぼって、キラキラと光を放ち時折ピクリと小さく絞まる……

 ツプリ……

 今まで秘められていたその蕾に王太子の男らしい長い指がゆっくりと吸い込まれて行く。

「あ…ぁ……あっ!」

 リリーには初めての感覚だろう。ビックリした様に肩が跳ね背をしならせて下から上がってくる感覚を逃がそうとしているかの様に身をよじる。
 
「力を抜けリーシュレイト…その方がお前も良くなる筈だ…」

「ひっ…ぁ……っん!」

 何度も抜き差しされる指が増えるたびにリリーの声が上がって行く。嫌々をする様に首を振っているのにリリー自身が自分で腰を揺らしながら快感を追い求めている様にも見えた。  

「あ……にっ…ぅえ?」

「どうした?足りないか?」

 コクコクコク……涙を流しながらリリーは頷く。王太子の手はリリーの昂りを扱き、そしてもう一方は後口へと3本の指を深く差し入れている。けれどリリーはこれでも足りないと実の兄に縋り付く。

「…仕方ない子だ…」

 王太子はリリーをそのまま押し倒して足を大きく開かせた。

「や……っ…」

「そのまま力を抜いていろ…」

 開かれたリリーの足の間に王太子が伏せて行く。室内には響き渡る水音にリリーの嬌声。目の前に広がっているのはリリーの昂りを握りしめながらリリーの後口に舌を這わせる王太子の姿………

 Ωの発情を収めるためには、αの体液を摂取させる事が有効である。

 いつぞや授業で習った文言がノルーの頭に浮かんでくる。きっとこれは治療なのだろう。抑制剤が一切効かないリリーの体質に対してこれしか方法が無いと王太子自らがこの治療を買って出てくれたに過ぎない。その証拠に王太子はリリーのフェロモンに当てられる事は無く平静を保ちながらリリーの反応をしっかりと見定めてリリーに触れている。
 
 一体、何を見ているんだろう……この部屋の熱気のせいでは無い熱にノルーの頭もぼんやりとしてきた。
 ノルーは王太子の髪の毛に手を絡ませてもっともっとせがむ様なリリーの姿を夢の中の事の様に見つめ続けていた。

「ノルー。Ωの主人に仕えることはこう言う事だ。これからリーシュレイトは月に一度発情する。抑制剤の効かないこれにはαから体液を摂取しなければならない。」

「ですが………」

「やらねば地獄の様に苦しむか、手当たり次第に誰にでも身体を開く様になるぞ?」

 ゾク………ノルーの背筋に冷たいものが走る。

 気がつけばリリーは満足したのか気を失ってぐったりと身を横たえていた。

「誰かあてがえる者を探す事だ。それにノルーは耐えられるか?」

 汚れを拭い身なりを整えた王太子はそっとノルーの顎を持ち上げ顔を覗き込んできた。

「誰か……」

「そうだ…これに耐えられなければノルー…私の所に来るか?」

 王太子は乱暴なことはせず絶えず優しくリリーに触れていた。普段素気ない関わりだと言えるほどにもリリーとの関係を持ってこなかったにも拘らず、王太子には王太子なりにリリーやノルーを心配しているのがわかった…
 
 だからこそ……



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