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14 部隊長 *
しおりを挟む「それが話したかったことか?」
討伐報告から帰ってみれば宿舎がやや騒めき立っている。どうしたものかと残っていた兵の一人を捕まえて確認を取る間も無く、スレントル公爵家の次男坊に話があると声をかけられ今に至る。
「はい。了承頂きたいです。」
赤茶の瞳には嘘偽りはないだろう。元よりアクサードは冗談で軽々しくこんな事を口にするような男ではない。
まだ大人の目から見たら十分に青いガキだが、任せた仕事に対してはアクサードは信頼がおける男でもある。
そのアクサードがスロウル・ガザインバークを預かりたいと申し出てきた。
国の安泰を左右する事も出来る反乱因子のトップに立てる人物をだ。
「あれに権力を持つ者は必要ないだろう?」
何をしなくても公爵家の人間だ。後ろ盾は必要ないし、そもそも親である公爵が望んではいない。
「ご存知の通り私は次男です。この先私が持てるのは自分の腕のみです。」
スロウルをあれ呼ばわりした瞬間、ピクリとアクサードの眉が動く。
「この先お前が武功を立てて爵位を賜る事も考えられる。お前は出自が公爵家だからな。それに群がる者も多いだろうさ。」
「部隊長ならば良いというので?」
明らかにアクサードの眉根が寄った。自分の感情を抑える事に長けていない、だからガキだというのだ。
「俺は元は平民だぞ?腕が少し立つと言うだけでこの地位にいるに過ぎない。簡単に切り捨てられるさ。」
お前は違うだろう?お前を簡単に切り捨てられたら他の貴族が黙ってはいない。
「悪魔でも権力の有無が重要になるのでしたら今すぐ父に勘当してもらってきますが?」
「は?」
勘当だと?自分に何かあった時はスレントル公爵家は指一本も動かさないという事だぞ?
「貴方にも後ろ盾は無いのでしょう?それなのにスロウルの保護ができる立場に居られる。私も同じ条件ならば手元に置いても良いと言ういう事になります。」
「理屈ではな……そしてもう一つ裏で消されても文句は言えないという事だ。」
権力も後ろ盾もないのなら後は上の匙加減一つ。
公には勿論なってはいないが、テドルフ公爵は公爵なりの方法で我が子を守っている。
全く関心も寄せず酷い接し方をしているが、長い目で見たら野心ある者に利用されないように、スロウルには利用価値が無いと思わせているのだ。
「果たしてどれだけの者が気が付いている事やら…」
もし、なんらかの野心の踏み台として利用しよう者なら間違いなく消される。
「お前、それに耐えられるか?」
「勿論。想像に難しく無いので。野心はありませんし、欲しいのはスロウル自身です。」
「はっ!言い切るねぇ。」
だが、悪く無い。余りにも弱々しくて、つい自分が手を伸ばした部隊長だが、実は妻子がいる。公爵の怒りを買ってまだ消されたくは無い。
「後は本人の気持ち次第。上手くやるんだな。」
「アッ……やっ……だ…」
暗い部屋に、まだ少し甲高い声が響く…
「こら、逃げるな。」
いつまでも慣れる事はないというくらい、スロウルはこの行為を嫌がる。
まあ、好きでも無い奴と睦み合うのは嫌だと言うのは当たり前と言えば当たり前だ。
「嫌じゃなくてどうして欲しいかちゃんと言うんだぞ?」
嫌だと言うには刺激を受けることを知った身体はしっかりと反応している。
ゆっくりとスロウルの中心を数回撫であげれば直ぐに固さを持ち始める。
……まさか、妻子持ちの自分がこんな子供に手を出すとはね……
自分の部屋にスロウルを連れ込んでは、伸ばした手を止めることない、そんな自分の姿に部隊長は自嘲した。
しなやかな手足に細い身体。白い肌に絶世の美貌とくれば、子供や男なんて事吹き飛ばしてクラリと来る者も多いだろう。
「ンゥ……ン!」
「声を我慢しなくていい。聞きたいからな。」
「やっ…知ら…な……アァン!」
スロウルを触る手に力をすこし込める。片手は胸を弄って…
「くすぐっ…た…い、から…や、め…」
くすぐったいと言う割にはいい声で鳴いている。
耳の裏辺り、首筋に沿って舌を這わせ吸い付いて行く。
ビクンと、スロウルの腰が跳ねる。
「ヤ……アッ……」
後から抱え込むようにして、力の抜けてきている身体を受け止める。
首筋が弱い様で舐める様に口付けすると、ピクピクと背が跳ねる。
「フゥ……ンッ……アッ……ァァッ」
最後まで行かせないようにして、出来るだけスロウルが感じている所を丹念に攻めて行く。
まだ子供のスロウルに抗う事などできようはずもない。はっきり言って部隊長のやりたい放題である。
言葉も出ず、喘ぐばかりのスロウルの目に涙が溜まる。
「いっ!…やっ!……そ、れ……やっ!…」
香油をつけた指で後ろを探れば、スロウルの顔が一気に恐怖に変わった。
「最後までしない。力を抜いてろ……」
スロウルの姿にいい加減自分も煽られる。
ここに入れたのは最初の一度きりだ。自分の物にするからにはそれなりの証拠もいる。たった一度だけ、欲望のままに抱いた。
異物感に首を振って逃げようとするスロウルを抱え込み直して、スロウル自身を握る手に力を入れてやる。中に入った指からは、中の柔らかさとキツさ、暖かさが伝わって流されそうになるのを、部隊長はグッと堪えた。
「アン……アッアッアッアッ……ッッアァッッ」
手を早くしてやれば、それに答えて声が上がる。
スロウルは弱い首も攻められながら、前と後ろの刺激に耐えれずに精を放った…
ぼんやりとした意識の向こうで、スロウル死ぬなよ、と呟く部隊長の声を聞いたような気がした。
********
部隊長が最後に触れた、もう忘れてしまっても良さそうな昔の記憶だ。
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