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 永遠とも思える時間が経った様にも一瞬であった様にも感じる…瘴気の渦にもみくちゃにされながらアールストはただルーチェリアを吸い込んでいった穴を見つめ、そこを目指して突き進んでいった。


 聖騎士ならば聖女と運命を共にするものだ。ならば自分もあの中に……!


 グッと腹に力を入れ、足を踏ん張って手を伸ばす…


 あと少し…あと少し………あと……!


その瞬間、アールストの目の前で金の光が爆発した!!


 その金の光はルーチェリアが落ちていった瘴気が噴き出す穴から溢れ出てアールストとカナール、レストール神官長ばかりではなく、中央神殿の全てを覆い尽くして行く。そして溢れ出た金色の光は夜空をも、目も眩むほどの金の色一色に染めあげていった……








「体調は如何ですか?」

「ええ、私の方はもうすっかりと。」

「それは良かった…では、道中お気をつけて…」

「お世話になりました。」

 まとめ上げられた荷物を乗せた馬車が今日もこの中央神殿から出立して行く。
 夜空を金色に染め上げたあの日の夜から世界中に異変が起きた。瘴気という瘴気が全く現れ出なくなったのである。これには現地へ調査に入っていたあらゆる者達からの証言で確認が取れたことだ。聖女を派遣する前の前調査の時点で瘴気が消滅してしまっている状況に現場はかなりの混乱を極めたとか…この報告を受けて騒然としたのは現場の者達ばかりではない。聖女として瘴気を払う為に中央神殿に身を寄せていた多くの聖女達はやることがなくなってしまったのだから。
 
 そして金の光が溢れたあの晩、起こった事は瘴気の消滅のみでは無かった。瘴気の穢れで身体を壊し中央神殿に身を寄せていた全ての聖女達の穢れが一斉に浄化されたのである。全ての聖女が癒やされ回復した。その後世界中の瘴気が消滅している報告を受ければ長年聖女として足止められていた者達は解放される事になる。神官長を元に各国の代表者は話し合った。結果、古郷があり帰る家がある者は帰郷させる事。家がなく故郷にも帰れない者達はこのまま神殿に残り聖女の職を持続すべく世界を回る事。瘴気が消滅したからといって、数百年も続いてきた信仰とも言える拠り所を解体すべきではないと言うこれは各国一致の判断からだった。













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