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しかしアールストは屈み込もうとするルーチェリアを止めようとしていた侍女を止めたのである。ルーチェリアに悟られないようにそっと、手だけでそれを制した。
本来ならば聖女を土の汚れやどの様な物の穢れからも護るのが本来の仕事である聖騎士が、である。
プーッとしていた頬を緩ませて自然の花の瑞々しい手触りに花の香り、少し表面が乾いた土の感触…それらを堪能していたルーチェリアにとって、この瞬間は本当に今生きていると言う実感を胸一杯に吸い込んでいる様な、そんな変な解放感も味合わせてくれる大切な一時となった。
ねぇ、ルーチェリア?貴方、こんな感触知っていた?花の香りに、葉の柔らかさ…ほら、葉はただツルツルだけじゃなくて細かい毛が生えていて、少しフワッと温かい感じもするの…
これは緋香子にとっては随分と身近で見知った感覚だ。目を瞑れば気温や湿度の違いがあるけれど、あの日の家の庭を思い出せる懐かしい土と草の香り……
ジワリと目頭に込み上げてくるものがあって、ルーチェリアは急いでパチパチと瞬きをするけれど目を開ければ、見える風景は緋香子の見知ったものではない…
ふぅっと短くため息をついて、ルーチェリアは想いを振り切る様にヨイショと勢いをつけて立ち上がる。
「あ…………」
見事な立ちくらみに襲われてしまった。こんな所は緋香子ではなくてルーチェリアなのだ…
「ルーチェリア様!!」
側に控えていた侍女からもキャッと悲鳴が上がった様に思う。次の瞬間にはルーチェリアはアールストの腕に抱えられていた。
「あれ?私、どうし…?」
「すみませんでした。体調はまだ完全に回復しておりませんでしたね?」
ルーチェリアの瞳は少し潤んでいる。もしかしたら熱がぶり返したのかもしれない。
「誰か!医師を!それに薬湯の準備を!」
「はい!」
アールストの声を受けて神殿侍女は邸内に走っていく。
「アールスト…!大丈夫です!立ちくらみがしただけですから!」
折角外に出られた自由時間だったのに…!
「何を言われます!御身大事と言ったでしょう?貴方様以外にここで大切な者などおりませんよ!」
アールストがそう言うと有無を言わさずルーチェリアは部屋へと強制送還され行く……
本来ならば聖女を土の汚れやどの様な物の穢れからも護るのが本来の仕事である聖騎士が、である。
プーッとしていた頬を緩ませて自然の花の瑞々しい手触りに花の香り、少し表面が乾いた土の感触…それらを堪能していたルーチェリアにとって、この瞬間は本当に今生きていると言う実感を胸一杯に吸い込んでいる様な、そんな変な解放感も味合わせてくれる大切な一時となった。
ねぇ、ルーチェリア?貴方、こんな感触知っていた?花の香りに、葉の柔らかさ…ほら、葉はただツルツルだけじゃなくて細かい毛が生えていて、少しフワッと温かい感じもするの…
これは緋香子にとっては随分と身近で見知った感覚だ。目を瞑れば気温や湿度の違いがあるけれど、あの日の家の庭を思い出せる懐かしい土と草の香り……
ジワリと目頭に込み上げてくるものがあって、ルーチェリアは急いでパチパチと瞬きをするけれど目を開ければ、見える風景は緋香子の見知ったものではない…
ふぅっと短くため息をついて、ルーチェリアは想いを振り切る様にヨイショと勢いをつけて立ち上がる。
「あ…………」
見事な立ちくらみに襲われてしまった。こんな所は緋香子ではなくてルーチェリアなのだ…
「ルーチェリア様!!」
側に控えていた侍女からもキャッと悲鳴が上がった様に思う。次の瞬間にはルーチェリアはアールストの腕に抱えられていた。
「あれ?私、どうし…?」
「すみませんでした。体調はまだ完全に回復しておりませんでしたね?」
ルーチェリアの瞳は少し潤んでいる。もしかしたら熱がぶり返したのかもしれない。
「誰か!医師を!それに薬湯の準備を!」
「はい!」
アールストの声を受けて神殿侍女は邸内に走っていく。
「アールスト…!大丈夫です!立ちくらみがしただけですから!」
折角外に出られた自由時間だったのに…!
「何を言われます!御身大事と言ったでしょう?貴方様以外にここで大切な者などおりませんよ!」
アールストがそう言うと有無を言わさずルーチェリアは部屋へと強制送還され行く……
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