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はは~~ん?そう来るわけですね?わかりました。ではこの手に持っているお仕着せを着ようとするのならばあなたはここから動かない、と…?
ニッコリ、と笑うルーチェリアに、アールストもこれまたニッコリといい笑顔で答えてきた。
「目を…瞑っていてくださいね?」
「こちらの衣を着てくださるなら。」
「……………………お庭で花を触りたいのです…!」
「どうぞご自由に?」
「……………それでは汚れた時に落ちません!」
「替えは沢山ございます。」
「……疲れたら地面に座り込むかもしれませんし!」
「騎士のマントを下に敷きますからそちらにどうぞ?」
「~~~~~!!いい加減にして下さい!アールスト!!」
「はい。やっとそう呼んでくださいましたね?聖女ルーチェリア様。」
満足そうに微笑むアールストの笑顔が今までで1番輝いて見えた。
「ふえ?」
「さ、お着替えでしたね?」
パンパン!!
どこぞの執事を呼び寄せる様にアールストが手を打てば、スススッと音もなく神殿侍女達が衣装部屋に入ってきた。
「お手伝いいたします。聖女ルーチェリア様。」
あれよあれよと言う間にルーチェリアの着替えは済んでいく。元々複雑な衣装では無いのだからものの数分で終わるのだ。そして気がついた時にはもうアールストの姿は衣装部屋には無かった。
いつもの事ながら侍女と聖騎士の連携は見事であった…………
む~~~~~~
麗かな日差しと爽やかな風…素晴らしい散歩日和ではあるが、ただ一人ルーチェリアだけがムスッと頬を膨らませているではないか…
「さ、ルーチェリア様。彼方の花々が見頃です。」
「さ、こちらにお座りください。」
ルーチェリアがこうしよう、ああしようと思う前にアールストが完璧にエスコートして見せる。これが本来の聖騎士の姿だろうか、紳士のスマートさを容易く体現して見せるとは……
聖騎士、恐るべし…
それにしても、邸の外の風は本当に気持ちがよかった…暑すぎず頬を撫でる風が何とも言えず心地良い……それはプーーッと膨れていたルーチェリアの頬を緩ませるほどに良い刺激になって、その上で完璧すぎるアールストのエスコートのフルコースでルーチェリアも臍を曲げている隙がなくなってしまうほどだった。
「綺麗だなぁ…」
ルーチェリアは庭園の花々の中では華やかなものよりも足元に咲く様な小さくて力強さを感じる小花が特に好きな様であった。
休み休み散策している中、丈の大きく無い花の花壇の前に腰を落として屈み込み、ルーチェリアは花を触って愛で始めた。
本来ならば聖女の手を汚す様な事はお付きである聖騎士や神殿侍女達がさせないはずである。花が欲しいのならば一言言えば侍女が手折り聖女の前に差し出すもので、それが聖女にとっても仕える者達にとっても正しい理なのだから。
ニッコリ、と笑うルーチェリアに、アールストもこれまたニッコリといい笑顔で答えてきた。
「目を…瞑っていてくださいね?」
「こちらの衣を着てくださるなら。」
「……………………お庭で花を触りたいのです…!」
「どうぞご自由に?」
「……………それでは汚れた時に落ちません!」
「替えは沢山ございます。」
「……疲れたら地面に座り込むかもしれませんし!」
「騎士のマントを下に敷きますからそちらにどうぞ?」
「~~~~~!!いい加減にして下さい!アールスト!!」
「はい。やっとそう呼んでくださいましたね?聖女ルーチェリア様。」
満足そうに微笑むアールストの笑顔が今までで1番輝いて見えた。
「ふえ?」
「さ、お着替えでしたね?」
パンパン!!
どこぞの執事を呼び寄せる様にアールストが手を打てば、スススッと音もなく神殿侍女達が衣装部屋に入ってきた。
「お手伝いいたします。聖女ルーチェリア様。」
あれよあれよと言う間にルーチェリアの着替えは済んでいく。元々複雑な衣装では無いのだからものの数分で終わるのだ。そして気がついた時にはもうアールストの姿は衣装部屋には無かった。
いつもの事ながら侍女と聖騎士の連携は見事であった…………
む~~~~~~
麗かな日差しと爽やかな風…素晴らしい散歩日和ではあるが、ただ一人ルーチェリアだけがムスッと頬を膨らませているではないか…
「さ、ルーチェリア様。彼方の花々が見頃です。」
「さ、こちらにお座りください。」
ルーチェリアがこうしよう、ああしようと思う前にアールストが完璧にエスコートして見せる。これが本来の聖騎士の姿だろうか、紳士のスマートさを容易く体現して見せるとは……
聖騎士、恐るべし…
それにしても、邸の外の風は本当に気持ちがよかった…暑すぎず頬を撫でる風が何とも言えず心地良い……それはプーーッと膨れていたルーチェリアの頬を緩ませるほどに良い刺激になって、その上で完璧すぎるアールストのエスコートのフルコースでルーチェリアも臍を曲げている隙がなくなってしまうほどだった。
「綺麗だなぁ…」
ルーチェリアは庭園の花々の中では華やかなものよりも足元に咲く様な小さくて力強さを感じる小花が特に好きな様であった。
休み休み散策している中、丈の大きく無い花の花壇の前に腰を落として屈み込み、ルーチェリアは花を触って愛で始めた。
本来ならば聖女の手を汚す様な事はお付きである聖騎士や神殿侍女達がさせないはずである。花が欲しいのならば一言言えば侍女が手折り聖女の前に差し出すもので、それが聖女にとっても仕える者達にとっても正しい理なのだから。
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