33 / 88
33
しおりを挟む
「あの~~~ぅ……アールストさん?」
沈黙が痛い……ペチャクチャと楽しい話をし続けろって言っている訳じゃ無いので必要だと思われる会話位はして欲しい……
いつもの様に敬称は要りませんとか、それだけでも良いから…
朝からほぼずっとルーチェリアが多分寝入るまで部屋の入り口で見張り役の様なものをしているアールスト。必要に応じてその立ち位置を変え、それでも部屋からは出て行かない。侍女の話によると夜間ルーチェリアが寝入ると寝室にさせて貰っている控え室、と言ってもルーチェリアの隣の元々は側仕えの者の部屋に帰りそこで休んでいると言う。
これを毎日繰り返しているのだ。部屋に全くの2人だけと言うわけでは無いからまだ良いにしてもなんで話さなくなっちゃったんだろ?ドレスの事で怒っていそうなのはわかるんだけど………
仕方無しにルーチェリアは入浴の時に侍女を浴室に連れ込んでアールストの無言の理由らしきものを探ってみた。
「沈黙の礼を守っていらっしゃるのでは無いでしょうか?」
「沈黙の、礼?」
聖騎士団は聖女を護る騎士団である。能力はもちろんの事、使える者の精神面に置いてもその素質は問われるもので、騎士達を縛る戒律もそれは厳しいのだとか。
「ええ、今それをなさる方は多くはないとは思いますけれど…」
「どう言う事なんです?それ?」
沈黙の礼…主人となる聖女の不利益となる事を徹底的に沈黙を持って守り通す事。これは時には自分が拷問にかけられていても守り通す事になる、のだそうだ。
「ルーチェリア様はご記憶を無くされていますから…」
聖騎士に憧れを持つ子女達の間ではかなり有名な戒律であるそうで、沈黙の礼を貫き通す騎士の美談が絵本になっていたりする。
全くと言ってこの世界に対する記憶なんてないルーチェリアにとっては今初めて聞く内容であった。
「え、それっていつまで続くんですかね?」
「はい。貴方様が良し、と仰るまでですわ。」
聖女の不利益にって…今まで既に散々している様な気がするんですけど?今のルーチェリアは公爵家の息女であっても淑女的な要素はほぼ皆無、聖女としての嗜みが聖女の衣を着る事ならば、いつもボロのお仕着せを着ていて仕事の後には真っ黒ドロドロ……外聞云々問われれば今までのルーチェリアの様相は一切外に出してはいけないもののように思うのだが……?
沈黙が痛い……ペチャクチャと楽しい話をし続けろって言っている訳じゃ無いので必要だと思われる会話位はして欲しい……
いつもの様に敬称は要りませんとか、それだけでも良いから…
朝からほぼずっとルーチェリアが多分寝入るまで部屋の入り口で見張り役の様なものをしているアールスト。必要に応じてその立ち位置を変え、それでも部屋からは出て行かない。侍女の話によると夜間ルーチェリアが寝入ると寝室にさせて貰っている控え室、と言ってもルーチェリアの隣の元々は側仕えの者の部屋に帰りそこで休んでいると言う。
これを毎日繰り返しているのだ。部屋に全くの2人だけと言うわけでは無いからまだ良いにしてもなんで話さなくなっちゃったんだろ?ドレスの事で怒っていそうなのはわかるんだけど………
仕方無しにルーチェリアは入浴の時に侍女を浴室に連れ込んでアールストの無言の理由らしきものを探ってみた。
「沈黙の礼を守っていらっしゃるのでは無いでしょうか?」
「沈黙の、礼?」
聖騎士団は聖女を護る騎士団である。能力はもちろんの事、使える者の精神面に置いてもその素質は問われるもので、騎士達を縛る戒律もそれは厳しいのだとか。
「ええ、今それをなさる方は多くはないとは思いますけれど…」
「どう言う事なんです?それ?」
沈黙の礼…主人となる聖女の不利益となる事を徹底的に沈黙を持って守り通す事。これは時には自分が拷問にかけられていても守り通す事になる、のだそうだ。
「ルーチェリア様はご記憶を無くされていますから…」
聖騎士に憧れを持つ子女達の間ではかなり有名な戒律であるそうで、沈黙の礼を貫き通す騎士の美談が絵本になっていたりする。
全くと言ってこの世界に対する記憶なんてないルーチェリアにとっては今初めて聞く内容であった。
「え、それっていつまで続くんですかね?」
「はい。貴方様が良し、と仰るまでですわ。」
聖女の不利益にって…今まで既に散々している様な気がするんですけど?今のルーチェリアは公爵家の息女であっても淑女的な要素はほぼ皆無、聖女としての嗜みが聖女の衣を着る事ならば、いつもボロのお仕着せを着ていて仕事の後には真っ黒ドロドロ……外聞云々問われれば今までのルーチェリアの様相は一切外に出してはいけないもののように思うのだが……?
10
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
身に覚えがないのに断罪されるつもりはありません
おこめ
恋愛
シャーロット・ノックスは卒業記念パーティーで婚約者のエリオットに婚約破棄を言い渡される。
ゲームの世界に転生した悪役令嬢が婚約破棄後の断罪を回避するお話です。
さらっとハッピーエンド。
ぬるい設定なので生温かい目でお願いします。
転生令嬢、死す。
ぽんぽこ狸
恋愛
転生令嬢、死す。
聖女ファニーは暇していた。それはもう、耐えられないほど退屈であり、このままでは気が狂ってしまいそうだなんて思うほどだった。
前世から、びっくり人間と陰で呼ばれていたような、サプライズとドッキリが大好きなファニーだったが、ここ最近の退屈さと言ったら、もう堪らない。
とくに、婚約が決まってからというもの、退屈が極まっていた。
そんなファニーは、ある思い付きをして、今度、行われる身内だけの婚約パーティーでとあるドッキリを決行しようと考える。
それは、死亡ドッキリ。皆があっと驚いて、きゃあっと悲鳴を上げる様なスリルあるものにするぞ!そう、気合いを入れてファニーは、仮死魔法の開発に取り組むのだった。
五万文字ほどの短編です。さっくり書いております。個人的にミステリーといいますか、読者様にとって意外な展開で驚いてもらえるように書いたつもりです。
文章が肌に合った方は、よろしければ長編もありますのでぞいてみてくれると飛び跳ねて喜びます。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる