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聖女の仕事はごく簡単だ。瘴気や邪気が現れたと知らせを受ければ、その地に飛んで行き実際にそこに触れて綺麗になれと願うだけ。
「ね?ルーチェリア、簡単でしょ?」
一仕事終わった後は、公爵邸内で自由時間となる。仕事が無い日は日常生活におけるマナーのうんたらを身につけたり一般教養を身につけるべく家庭教師がやってくるのでそれはそれで忙しいのだ。
ルーチェリアは余り両親に大切にされてこなかった様子。死ぬほどの病気から生還しても、あらそう、の一言でさっぱりしたものだった。流石に聖女の力があると知れると、王宮に知らせねばならず、魔術師やら神殿から侍女やらが新しくやってきてはあれこれと身の回りの環境を整えてはくれたけれど…
でも、私はルーチェリアではないのだ。
いつか本当の自分に帰るとしたら、今のこの現状にルーチェリアは混乱してしまうだろう。
だから、毎夜手紙を残す事にした。
私から、ルーチェリアに宛てて…
今日あった事で重要な仕事の内容について。一般的な生活様式ならばきっとルーチェリアの方が詳しいと思うから。
彼女は口が利けず、目もほとんど見えなかったけれど、15年間ここで生活してきたのだから生活の常識くらいは私よりも持っていると思う。けれど、聖女の仕事については全くの素人だろうと思う。混乱に混乱を与えてはいけないから、ちゃんと詳しく書いておく。
まずは、私の事か?自己紹介から?
一体いつルーチェリアと入れ替わるか分からないのだから、時間が許すまで書き連ねていった。
ルーチェリアが自分の意思を一生懸命に示そうとしても、周囲の人間は彼女の心の声を拾おうとはしなかった。まず一番彼女の味方にならなければいけなかった両親が、彼女を見放してしまう様な態度をとってしまったから使用人達もそれに追随したのだと思う。
ルーチェリアは周囲に迷惑がかからない様に、公爵家に変な噂がただ無いように、ただ黙って色々なことをやり過ごしてしまったみたいだった。
時々夢の中で見る彼女の姿は、出ない声を上げることに疲れてしまって、何もかもを諦めてしまっている様にも見えて、放って置けなかったから……
「ね?ルーチェリア、簡単でしょ?」
一仕事終わった後は、公爵邸内で自由時間となる。仕事が無い日は日常生活におけるマナーのうんたらを身につけたり一般教養を身につけるべく家庭教師がやってくるのでそれはそれで忙しいのだ。
ルーチェリアは余り両親に大切にされてこなかった様子。死ぬほどの病気から生還しても、あらそう、の一言でさっぱりしたものだった。流石に聖女の力があると知れると、王宮に知らせねばならず、魔術師やら神殿から侍女やらが新しくやってきてはあれこれと身の回りの環境を整えてはくれたけれど…
でも、私はルーチェリアではないのだ。
いつか本当の自分に帰るとしたら、今のこの現状にルーチェリアは混乱してしまうだろう。
だから、毎夜手紙を残す事にした。
私から、ルーチェリアに宛てて…
今日あった事で重要な仕事の内容について。一般的な生活様式ならばきっとルーチェリアの方が詳しいと思うから。
彼女は口が利けず、目もほとんど見えなかったけれど、15年間ここで生活してきたのだから生活の常識くらいは私よりも持っていると思う。けれど、聖女の仕事については全くの素人だろうと思う。混乱に混乱を与えてはいけないから、ちゃんと詳しく書いておく。
まずは、私の事か?自己紹介から?
一体いつルーチェリアと入れ替わるか分からないのだから、時間が許すまで書き連ねていった。
ルーチェリアが自分の意思を一生懸命に示そうとしても、周囲の人間は彼女の心の声を拾おうとはしなかった。まず一番彼女の味方にならなければいけなかった両親が、彼女を見放してしまう様な態度をとってしまったから使用人達もそれに追随したのだと思う。
ルーチェリアは周囲に迷惑がかからない様に、公爵家に変な噂がただ無いように、ただ黙って色々なことをやり過ごしてしまったみたいだった。
時々夢の中で見る彼女の姿は、出ない声を上げることに疲れてしまって、何もかもを諦めてしまっている様にも見えて、放って置けなかったから……
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