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52 ルシーの結婚式 7
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「あ~~……おほん!」
頭上から司祭の咳払いが聞こえてきても、サラータはルシュルト王太子の腕の中にいた。
「司祭、このまま進めてくれ。私は今、念願の姫君をこの腕に抱きしめられたのだ。この幸福感を噛み締めたまま誓いたい。」
ルシュルト王太子のこの一言で一瞬ざわつきはした会場内は打って変わってしんと静まり返る。
「……素敵……」
「…ロマンスだわ……」
会場内のあちこちから、二人を崇拝する様な声までが聞こえてきて…
サラータの頭上では司祭とルシュルト王太子の声がする。サラータの頭の中は混乱と大勢の人前で思わず王太子に抱きついてしまったという羞恥と緊張で、ガンガンと鐘が鳴るように鼓動が響いてきてうるさくて…
「サラ…誓いの言葉は?」
「え?」
「私と共に生きてくれる?なら、誓いますと一言、私にくれないか?」
(ルシュルト王太子と共に生きる……?いいえ…)
幸せそうに微笑んで、けれど薄紫の瞳には少しの不安が揺れ動くルシュルト王太子。
(ルシーの瞳…何か不安な事があったら、いつもこんな瞳で見上げてきていた…)
時間が経っているのに、まだ鮮明に覚えているそれは、今も昔も変わらない。更には知っているルシーの性別まで違うと言うのに、サラータを覗き込んでくる瞳はどこまでも変わらない。
(あぁ、私……一緒に居たいんだわ…離れ離れになるなんて、こんな顔をさせるなんて、もう、嫌だ…)
きっとトラトから出て行かなければならなかったルシーはもっと不安を抑えつけた様な悲しい瞳だったに違いない。一人で寂しくて苦しかったに違いないから……
「貴方と…共に、生きると誓います…!」
気がついたらそう、サラータは宣言していた。
「ここに集まった全会衆と、国王と司祭とを証人とし、ルシュルト・クル・イリュアナ王太子、サラータ・カコール令嬢との婚姻を認める!」
宣言と同時に会衆からの拍手と歓声が上がった。サラータは感極まったルシュルト王太子から額に口付けを受けていて、司祭の放った名前に疑問を投げかける間もなかった……
「お疲れ様でございました。王太子妃殿下。」
昨日と今日とでは侍女の呼び名が全く違う…
「王太子妃……」
「左様でございます。妃殿下は先程、王太子殿下と婚姻を挙げられましたゆえ。」
その通りで、城内ではまだまだ宴が続いているだろう。ルシュルト王太子とサラータ王太子妃の両名は今後に差し支えると早めの退室を許されたのだ。
「これからも我ら一同更に新しい侍女共々、妃殿下にお仕えしお守りしていく所存です故、お心にお止め置き下さいませ。」
何故か誇らしげな侍女カーラを始め、最初に城に来た時に仕えていた三人に加え、ざっと並んだ侍女達の数の多さにサラータは既に及び腰だ。
「お前達、サラを困らせてどうするのだ。」
たっぷりと固まっているサラータの元へとルシュルト王太子が来るまで、侍女達はそこから動かなかったという。
頭上から司祭の咳払いが聞こえてきても、サラータはルシュルト王太子の腕の中にいた。
「司祭、このまま進めてくれ。私は今、念願の姫君をこの腕に抱きしめられたのだ。この幸福感を噛み締めたまま誓いたい。」
ルシュルト王太子のこの一言で一瞬ざわつきはした会場内は打って変わってしんと静まり返る。
「……素敵……」
「…ロマンスだわ……」
会場内のあちこちから、二人を崇拝する様な声までが聞こえてきて…
サラータの頭上では司祭とルシュルト王太子の声がする。サラータの頭の中は混乱と大勢の人前で思わず王太子に抱きついてしまったという羞恥と緊張で、ガンガンと鐘が鳴るように鼓動が響いてきてうるさくて…
「サラ…誓いの言葉は?」
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「私と共に生きてくれる?なら、誓いますと一言、私にくれないか?」
(ルシュルト王太子と共に生きる……?いいえ…)
幸せそうに微笑んで、けれど薄紫の瞳には少しの不安が揺れ動くルシュルト王太子。
(ルシーの瞳…何か不安な事があったら、いつもこんな瞳で見上げてきていた…)
時間が経っているのに、まだ鮮明に覚えているそれは、今も昔も変わらない。更には知っているルシーの性別まで違うと言うのに、サラータを覗き込んでくる瞳はどこまでも変わらない。
(あぁ、私……一緒に居たいんだわ…離れ離れになるなんて、こんな顔をさせるなんて、もう、嫌だ…)
きっとトラトから出て行かなければならなかったルシーはもっと不安を抑えつけた様な悲しい瞳だったに違いない。一人で寂しくて苦しかったに違いないから……
「貴方と…共に、生きると誓います…!」
気がついたらそう、サラータは宣言していた。
「ここに集まった全会衆と、国王と司祭とを証人とし、ルシュルト・クル・イリュアナ王太子、サラータ・カコール令嬢との婚姻を認める!」
宣言と同時に会衆からの拍手と歓声が上がった。サラータは感極まったルシュルト王太子から額に口付けを受けていて、司祭の放った名前に疑問を投げかける間もなかった……
「お疲れ様でございました。王太子妃殿下。」
昨日と今日とでは侍女の呼び名が全く違う…
「王太子妃……」
「左様でございます。妃殿下は先程、王太子殿下と婚姻を挙げられましたゆえ。」
その通りで、城内ではまだまだ宴が続いているだろう。ルシュルト王太子とサラータ王太子妃の両名は今後に差し支えると早めの退室を許されたのだ。
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たっぷりと固まっているサラータの元へとルシュルト王太子が来るまで、侍女達はそこから動かなかったという。
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