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51 ルシーの結婚式 6
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「……わぁ……」
なんとも色気も品位も無い正直な感想がサラータから漏れ出てしまった…
「気に入った?」
クスクスと満足そうに微笑みながらルシュルト王太子はそっとサラータの手を取る。
「どうして私にこんな素敵な物を?」
そのネックレスはルシュルト王太子が言うように、サラータの趣味にピッタリと合う物だった。
「大切な人には良いものを贈りたいものだろう?」
大切な……?ほわっとしてきたサラータの頭の端で入場を告げる係官の声がする。
「でも、それはルシーの事で…!」
ルシュルト王太子はルシーの婚約者で今日二人は結婚にて夫婦になるのだ。だからルシュルト王太子の大切な人はルシーのはずで……
(そう…なのね…!)
ルシーはルシュルト王太子の大切な婚約者、そしてサラータはそのルシーの大切な友人だ。だから、ルシュルト王太子はサラータの事も大切な人として話してくれたのだ…!
なんだか少しスッキリとしたサラータは、ルシュルト王太子に手を引かれ腰を抱かれるままに進み出し、入場した会場内にも目を向ける余裕が出てきた。荘厳な調べが鳴り響く中、人々の視線がルシュルト王太子とサラータに集まっている事に嫌でも気がつく。
「ご覧になって?なんて可憐な姫君でしょうね?」
「あら、貴方、ご存知ないの?ずっと大切にお隠しになっていらっしゃったんですってよ?」
「まぁ!なんでそんなに物知りですの?羨ましいですわ!」
「ふふふ…それは秘密でしてよ?それよりも、殿下の嬉しそうな顔ったら…!」
引かれるままに歩いているサラータの耳にも、参列者だろう左右にいる人々の声は入ってくる。
「サラ…短いようで長い付き合いの君のことだからね?なんとなく今、何を考えているのか分かるよ。」
ゆっくりと歩を進めながら、ルシュルト王太子は話出す。
「小さな小花のハンカチに、刺繍入りのリボン…あぁ、そういえば、ブローチも花柄が好きだったっけ?」
「え……?」
「素足で花畑を走り回るのも好きだった…ドレスの裾が汚れるのなんて君にはなんて事もないようで…ずっと私は手を引かれていた。」
一歩……一歩、歩は進む……
「あの色素が薄い感じが、前王妃を思い出させますわね…」
「あんな事さえ無ければ…今頃は殿下だって堂々と…」
「しっ!お辞めなさいな!こんな晴れの日に!良いではありませんの?ご覧なさいませ。お二人のお幸せそうな事!」
「ええ、念願の姫君のお手を引かれて…あんなお顔、近年どなたも見た事がないんじゃないのかしら?」
「ルシュルト…殿下?」
サラータの耳に入ってくる人々の声…
「二人で、日が暮れるまで飽く事なく花摘みもしたっけ…」
サラータに降り注ぐ、ルシュルト王太子の独り言…
「サラは、いつも私に似合う物を探してくれていた。」
「殿下…!」
そうここは、式場だ。ルシーの、結婚式が執り行われるはずの…けれど……
「それが、嬉しくて…自分のことよりも、私の事をいつも一番に考えてくれるサラが隣にいる事が、どれだけ私の支えだったか。」
祭壇の前まで来てしまった…
「ルシー……?」
サラータはまさか、と思った。いや、今でもまさかと思っている。
「サラ………私が居なくなってから、寂しかった?」
居なくなってから…?
ルシーが居なくなってから?
ある日、突然に居なくなってしまった大好きな人。その人にどんな理由があったとしても、それがどんなに正当な理由であったとしても、寂しくないはず、なかった…
「さび、寂しかった…」
思わず本音と共に、何故だか涙が溢れてくる。せっかく綺麗に化粧をして貰ったのに、そんな事を考える余裕もないまま、サラータはポロポロとこぼれ落ちる涙をそのままに、ルシュルト王太子の胸に飛び込んでいった……
なんとも色気も品位も無い正直な感想がサラータから漏れ出てしまった…
「気に入った?」
クスクスと満足そうに微笑みながらルシュルト王太子はそっとサラータの手を取る。
「どうして私にこんな素敵な物を?」
そのネックレスはルシュルト王太子が言うように、サラータの趣味にピッタリと合う物だった。
「大切な人には良いものを贈りたいものだろう?」
大切な……?ほわっとしてきたサラータの頭の端で入場を告げる係官の声がする。
「でも、それはルシーの事で…!」
ルシュルト王太子はルシーの婚約者で今日二人は結婚にて夫婦になるのだ。だからルシュルト王太子の大切な人はルシーのはずで……
(そう…なのね…!)
ルシーはルシュルト王太子の大切な婚約者、そしてサラータはそのルシーの大切な友人だ。だから、ルシュルト王太子はサラータの事も大切な人として話してくれたのだ…!
なんだか少しスッキリとしたサラータは、ルシュルト王太子に手を引かれ腰を抱かれるままに進み出し、入場した会場内にも目を向ける余裕が出てきた。荘厳な調べが鳴り響く中、人々の視線がルシュルト王太子とサラータに集まっている事に嫌でも気がつく。
「ご覧になって?なんて可憐な姫君でしょうね?」
「あら、貴方、ご存知ないの?ずっと大切にお隠しになっていらっしゃったんですってよ?」
「まぁ!なんでそんなに物知りですの?羨ましいですわ!」
「ふふふ…それは秘密でしてよ?それよりも、殿下の嬉しそうな顔ったら…!」
引かれるままに歩いているサラータの耳にも、参列者だろう左右にいる人々の声は入ってくる。
「サラ…短いようで長い付き合いの君のことだからね?なんとなく今、何を考えているのか分かるよ。」
ゆっくりと歩を進めながら、ルシュルト王太子は話出す。
「小さな小花のハンカチに、刺繍入りのリボン…あぁ、そういえば、ブローチも花柄が好きだったっけ?」
「え……?」
「素足で花畑を走り回るのも好きだった…ドレスの裾が汚れるのなんて君にはなんて事もないようで…ずっと私は手を引かれていた。」
一歩……一歩、歩は進む……
「あの色素が薄い感じが、前王妃を思い出させますわね…」
「あんな事さえ無ければ…今頃は殿下だって堂々と…」
「しっ!お辞めなさいな!こんな晴れの日に!良いではありませんの?ご覧なさいませ。お二人のお幸せそうな事!」
「ええ、念願の姫君のお手を引かれて…あんなお顔、近年どなたも見た事がないんじゃないのかしら?」
「ルシュルト…殿下?」
サラータの耳に入ってくる人々の声…
「二人で、日が暮れるまで飽く事なく花摘みもしたっけ…」
サラータに降り注ぐ、ルシュルト王太子の独り言…
「サラは、いつも私に似合う物を探してくれていた。」
「殿下…!」
そうここは、式場だ。ルシーの、結婚式が執り行われるはずの…けれど……
「それが、嬉しくて…自分のことよりも、私の事をいつも一番に考えてくれるサラが隣にいる事が、どれだけ私の支えだったか。」
祭壇の前まで来てしまった…
「ルシー……?」
サラータはまさか、と思った。いや、今でもまさかと思っている。
「サラ………私が居なくなってから、寂しかった?」
居なくなってから…?
ルシーが居なくなってから?
ある日、突然に居なくなってしまった大好きな人。その人にどんな理由があったとしても、それがどんなに正当な理由であったとしても、寂しくないはず、なかった…
「さび、寂しかった…」
思わず本音と共に、何故だか涙が溢れてくる。せっかく綺麗に化粧をして貰ったのに、そんな事を考える余裕もないまま、サラータはポロポロとこぼれ落ちる涙をそのままに、ルシュルト王太子の胸に飛び込んでいった……
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