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42 終わらない夢 2

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 でも、後数日……
 ルシーの結婚式が終われば、王城から出てトラトに帰れる…今、サラータは本当に疲れてしまっていて、他のことをあれこれ考えるよりも、リンデルや他の侍女達の素晴らしい腕前に身も心も任せてしまいたいのが本心だ。国王が命じた事はサラータにとっては天の助けだったのかもしれない。舞踏会の終わった翌日である今日、サラータをお茶の席にお誘いしたいというご機嫌伺いの手紙が山の様にきていたのだから…
 その手紙を一部づつ確認しては、代筆という形でお断りの旨を認めているのはカーラだ。先程から何十通もの手紙の山を相手にしているのだが、顔色一つ変えずに黙々と書き終えていっている。

「様子は如何か?」

 本人は来られない様だが、国王の罰を乗り切ったハダートン卿がサラータの部屋に訪室すれば、サラータは午睡中。

「お疲れになられたみたいでした。先程から仮眠をとっておられます。」

「そうか……」

「はい。やはり、多くの家が動き出しておられますね。」

 そっとカーラは手紙の山をハダートン卿の前に押し出した。

「ふん…分かりきった事だったろう?それでも強行なさるというから…国王が折れたのだろう?」

「十分、理に叶う選択だと思いますわ。」

「……まぁ、それは確かに…」

「ハダートン卿にとっては面白くはないかもしれませんけど。」

「それは関係ないな。あの方の心は初めから分かっていたからな。」

「卿……報われませんわね。」

「そんな事はない。そばに居られればそれで良い。」

 飄々としているハダートン卿の顔からはその言葉が果たして本心なのか虚勢なのか、長い付き合いのカーラであっても読み取る事はできなかった。

「私には理解できませんわ。好きになったら、きっと自分だけを見て欲しいと思ってしまいますもの…」

「それは違いない……が、それを超えるものと出会ったらそうは言っていられないだろうな。」

「やっぱり分かりません。男の方と、女の感じ方は違うのかも知れませんわ。」

「ふっ…そうかもしれん。さ、私はもう行く。報告を待っておられるだろうからな。」

「お疲れ様です。後ほど、いつもの物をお届けいたしますので、そうお伝えください。」

「了解した。」
 
 サラータの居室のすぐ隣。侍女が控える控えの間にて、通例の連絡交換が終わる。
この分だと王太子ルシュルトは政務をこなすので手一杯で身体が空かないのだろう。式までもう少し、抜けの無い様に、準備万端整えなければならないのだ。

(殿下……今が踏ん張り時ですわよ?あれだけ望んでいた事ですものね…)
 







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