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32 王城の舞踏会と亡国の姫君 1
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王主催の夜会であれば、王都に居る貴族達が出席しないわけには行かない。勿論、高位貴族から下位貴族に至るまで全てである。
ここ、イリュアナ国には過去の歴史にまつわる王家の血統が存在している。それは、イリュアナ国建国前にあったベストク帝国王家の血筋である。その王家の血筋を引き継いだ家は現在もイリュアナ国にその名を掲げて存在しているのだ。
それがベストク公爵家。現在の公爵は今年30歳になる長男のエルモンド・ベストクが継いでいる。公爵家には子供が二人おり、長男のエルモンドとその妹でベストク皇国最後の姫君シェリン嬢だ。シェリン嬢は今年17歳になる。成人しており婚約者を決めていても良い年齢であるが、産まれがベストク帝国の血を引くというだけで家の勝手では婚約者を決められない決まりになっていた。イリュアナ国が建国した際には国内の貴族に嫁す事が許されたが、その血筋の貴重性を重んじている王の重鎮等からは次期国王である王太子との婚姻をと推されており、現在王太子妃候補筆頭に上がってもいる。
この王太子妃候補に対して現国王は是非を出してはいない。現国王の代の時にもこの様な話はあったのだ。少なくなったとはいえベストク帝国の名を掲げて反乱を企てようとする者は皆無では無いからだ。しかし、国王は隣国カコール皇国から前妃ミュリョン王妃を選んだ。この事実もあり、国王は王太子にも選び取る選択を与えている。その王太子も現在未だにはっきりと答えを出してはいない。
痺れを切らしそうな重鎮達に、無言の王族。王太子が成人した現在直ぐにでも王太子妃を決めてしまいたい王の側近達……
この度、国王主催の夜会が開かれる。王都にいる貴族の令嬢も集まるわけで、勿論この機会には王太子もこの夜会に出席すると思われる。ただでさえ広い城内では、偶然を装って王太子と令嬢とを巡り合わせる場を作るのでさえ難しい為、次期王太子妃の席が空いたままの今回の夜会がどの貴族家にとってもチャンスとなるだろう。
ベストク公爵家は直系の家のみ王都での滞在が許されているが、分家やそれに連なるベストク公爵家筋は王都に家を持つ事は許されていない。しかし王の招待ならば、ベストク家に連なる貴族達も王都に入る事ができるために、きっとこの機会を使ってベストク家のご令嬢シェリン嬢を強く勧めてくるのだろう。
ベストク帝国の血筋を押し進める貴族側と、我こそは自分の家の娘を次期王太子妃にと言う貴族家における気の抜けない攻防戦が繰り広げられようとは夢にも思わず、サラータは今、彼女の専属侍女達によって全身隈無く磨かれている。サラータは貴族の令嬢達が夜会に向ける意気込みを、これでもかと言う程に身を持って体験したのだった。
ここ、イリュアナ国には過去の歴史にまつわる王家の血統が存在している。それは、イリュアナ国建国前にあったベストク帝国王家の血筋である。その王家の血筋を引き継いだ家は現在もイリュアナ国にその名を掲げて存在しているのだ。
それがベストク公爵家。現在の公爵は今年30歳になる長男のエルモンド・ベストクが継いでいる。公爵家には子供が二人おり、長男のエルモンドとその妹でベストク皇国最後の姫君シェリン嬢だ。シェリン嬢は今年17歳になる。成人しており婚約者を決めていても良い年齢であるが、産まれがベストク帝国の血を引くというだけで家の勝手では婚約者を決められない決まりになっていた。イリュアナ国が建国した際には国内の貴族に嫁す事が許されたが、その血筋の貴重性を重んじている王の重鎮等からは次期国王である王太子との婚姻をと推されており、現在王太子妃候補筆頭に上がってもいる。
この王太子妃候補に対して現国王は是非を出してはいない。現国王の代の時にもこの様な話はあったのだ。少なくなったとはいえベストク帝国の名を掲げて反乱を企てようとする者は皆無では無いからだ。しかし、国王は隣国カコール皇国から前妃ミュリョン王妃を選んだ。この事実もあり、国王は王太子にも選び取る選択を与えている。その王太子も現在未だにはっきりと答えを出してはいない。
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この度、国王主催の夜会が開かれる。王都にいる貴族の令嬢も集まるわけで、勿論この機会には王太子もこの夜会に出席すると思われる。ただでさえ広い城内では、偶然を装って王太子と令嬢とを巡り合わせる場を作るのでさえ難しい為、次期王太子妃の席が空いたままの今回の夜会がどの貴族家にとってもチャンスとなるだろう。
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