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「もぅぅぅぅ…!どうしてそんなに面白いことになってたのよ?あんた達!」


 昼休み、やっとゆっくり飯を食うかと思っていた所に、何故か他クラスのみそえが俺達の所に自分の弁当をちゃっかり持って来て、当然の如くに着席してる。


「あ、ごめんね?山手君お邪魔してもいい?」


 なんて事聞いているし。何故か刀貴も、これは嬉しいんだが、当然の如くに弁当持参で俺達と食べようとしてるし。


「ううん。どうぞ宝利さん。」

「えー良いよ、みそえでも!楓も蒼梧もそう呼ぶし。」

「まだ話す様になって日が短いでしょ?みそえ。宝利さんにしておきな。」

「もう、それを蒼梧が言うの?自分は距離感メチャクチャな癖に~」



 本当同意。みそえと一緒に蒼梧には冷たい視線を送ってしまう。


「じゃ、宝利さんにしておくよ。」

「そんな事より!あんた達、朝何してたのよ?」

「登校?」

「そうなんだけど、そうじゃなくって!すっごい戯れてたじゃない?普段山手君なんて絡んでこないのに、楓にべったりでさ?蒼梧と山手君で楓を取り合ってたみたいに見えるって言い出した子もいたくらいでさ!?」

「…何それ…?」

 
 ヤバい刀貴がべったりって所でニヤけそうなのと、馬鹿馬鹿しいって思うのと、ばれちゃダメじゃんって焦るのとでとりあえず乾いた笑みを貼り付けてみた…


「ふ~~ん?俺はいつも通り。だろ?べったりだった山手君の方は良く知らんけど。」


 そう、蒼梧はこういう奴。普段から一緒にいることが多いし、往々にしてスキンシップも多い方だと思う。


「僕?僕も当たり前の事をしたまでだけどなぁ?」


 なぬ!?刀貴、何を言うつもり?

 一瞬、心拍が上がって、嫌な汗がたらりと出てくる。


「だって、ほら。宝利さん。楓矢にはここ3日程お世話になっちゃってて。僕の方も御礼をしなくちゃ申し訳なくてね。」

「看病の事?」

「そう。お礼は又後日させてもらうにしても、疲れてるだろう身体を労って荷物運びくらいはさせて貰おうかと思ってね。」

「だからあんなに引っ付いてたの?」

「そうなんだ。ほとんど寝てないと思うんだよね、楓矢は。フラフラしてると危ないかなって…」

「……そんなに楓ヘロヘロだったの?」

「寝不足なのは確かだね。」

 
 ニッコリといい笑顔でこっち見んな!それ以上はTPO!!目力に込めて刀貴に訴えてみる。


「そんなに大変だったのに、今山手君は何も無かったかの様に元気だと……」

 
 蒼梧……なかなかに勘がいい奴が更に突っ込んでくる。


「お陰様で、楓矢が一生懸命看病してくれてたからね?」


 またもやこちらを向いていい笑顔。


「ふ~~ん?蒼梧はいつもの事だけど、楓も山手君もこの手のいざこざに上がってこないじゃない?だから女子が騒いじゃって、私のクラスでもうるさいったら無かった~~!」


 みそえの感想は概ねこれだろう。事情を知らないかと友人達に囲まれたそうな。


「楓なんて人気爆上がりかもよ?いつもやる気無~~しの雰囲気がさ、めっちゃ輝いて見えたって!」

「か、がやく?」

「そうそう!女子の注目集めてるって!ど?頑張って彼女作ってみる?」

「いや、それは……」

「も~~~!生きが良くなったって、こんな草食系じゃ宝の持ち腐れじゃん!楓!あんた、素材は良いんだからね?少し女子に騒がれて女の子慣れするチャンスよ!」

「え~~~~…」


 本当に要らない…刀貴とあんな関係になるまでだって、女子とどうこうなるつもりにはなれなかったんだから…


「み~そえ、それは楓の心次第でしょ?いくら兄妹だって強制できないじゃん?楓の心が成長すればを好きな人もできるっしょ?」

「だってさ~…騒がれる様になると変な子も寄ってきそうだし…楓が女子に慣れとけば自己防衛できるでしょ?」

「ん?大丈夫なんじゃないの?その辺は?ねぇ?山手君?」

「うぐぅ…!」


 蒼梧のその一言に、食べてた卵焼きを喉に詰まらせる所だった…!何…?蒼梧、お前、何か知ってる?


「さぁ?それは楓矢が決める事だしね?」

「ん、んん、まぁね?ま、そのうち?」


 くっそ!なんで刀貴がそんなに落ち着いてるんだ!?こっちは声が裏返らない様にするのに精一杯…
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