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「先輩!おはようございます!」
蒼梧と刀貴に両脇を固められて歩く中、考え事をしていた俺達の所に女子の声がかかった。聞き知った1年の上条だ。
「おう……」
蒼梧が重いやら、刀貴に掴まれて歩き難いやらで一言で答える。
(そう言えばこいつ、蒼梧狙いだよな?)
そんなどうしようもない事を思われてるとも知らずに上条も元気よく纏わりついてきた。
「先輩達、朝から仲良しですね!」
物おじせずにニコニコと話し出す。
「そ、い~でしょ?」
どこまでもチャラい蒼梧が上条に乗ってきた。
「おい、これ見て仲良しって思うの?」
今、非常に歩き難い状況にある身としては嫌がらせの一つを受けているとしか思えないんだよ。
「え!仲良しじゃないですか!?カッコイイ先輩達が仲良くわちゃわちゃしてるの見て、女子が結構騒いでましたよ?」
「え~なんて~?気になる~」
「えっと……桐矢先輩はいつもと同じくカッコイイし、山手先輩もはしゃぐことあるんだ~とか、宝利先輩もいつも以上にというか、こんなにカッコイイというか元から整った顔立ちしてますけど、生き生きとしてて美貌が増してるとか何とか言われてます!」
(へーーそんな風に評価されてんの?俺達…)
美貌云々は捨てておいて、生き生きねぇ?今までが夢の影響で睡眠がガタガタに崩れてたから、朝からダルいし眠いしやる気はないし…休まず登校はしているけど、生き生きはしてなかったもんな~
「そ、うちの楓は綺麗でしょ?自覚がなくって困りもんなのよね?」
どこのおかん?蒼梧よ、お前の家の子になった覚えは未だかつてありませんが?
「え…わかります!宝利先輩、瞳の色もすごい綺麗ですもんね?綺麗って表現ぴったりですよね?」
最初はオドオド緊張しながら蒼梧と話していた上条だったのに、何俺の話題で蒼梧と意気投合してんのよ…
「そうそう、君わかる子だねぇ?もっと自覚を持って貰わなくちゃ、あっという間にどこぞの誰かに攫われそうだよねぇ?」
俺、話の通じる子大好き、なんて満面な笑顔と共に上条に振り向いてやるもんだから、あぁ、ほら、固まっちゃったよ…
「お前、本当に女たらしだな……」
今まで何人の女の子がこいつの笑顔に騙されてきたんだか。上条だって蒼梧に近づきたくて俺と友達になりたいなんて言ってたくらい健気な子なんだぞ?
「それを楓に言われたくないなぁ。」
「何でよ?」
「別に~~」
俺別に女子を唆したりしてないだろ?
「ふぅん。上条さん、桐矢君と話が合いそうだね?僕達は遠慮するから二人で行ったら?」
「え!?……え!…えぇ!?」
グィッと刀貴は俺を引き寄せて、上条に頑張って、と手を振ったりなんかしてる。上条はまんざらでもなさそう。
「山手君、ひど~い!」
蒼梧…ぶうたれた表情作ってるけど、あれ、わざとだな…くっそ、モテる奴はいいですね?どんなことしてもどんな顔してもほら見ろ、上条の目がハートだよ…
「行こう、楓矢。荷物はこのまま持ったげる。」
「山手先輩…誤解してたけど、いい人…」
「………」
蒼梧と離れていく背後で上条のそんな声が聞こえた様な気がする。そんなことより、自分の荷物は自分で持とうと刀貴から荷物奪還に燃えていた身としては、なんとなくそんな気がするかも程度で聞き流す。上条と強制的にペアにされた蒼梧はどう思っているのか分からんけど、グイグイと進んでいく刀貴に物理的に立ち向かってしまうと、ただでさえゴリゴリ削られてた体力が危険値に達してしまう。なのでそのままに流されるまま、校舎の中に入るしか無かった。
蒼梧と刀貴に両脇を固められて歩く中、考え事をしていた俺達の所に女子の声がかかった。聞き知った1年の上条だ。
「おう……」
蒼梧が重いやら、刀貴に掴まれて歩き難いやらで一言で答える。
(そう言えばこいつ、蒼梧狙いだよな?)
そんなどうしようもない事を思われてるとも知らずに上条も元気よく纏わりついてきた。
「先輩達、朝から仲良しですね!」
物おじせずにニコニコと話し出す。
「そ、い~でしょ?」
どこまでもチャラい蒼梧が上条に乗ってきた。
「おい、これ見て仲良しって思うの?」
今、非常に歩き難い状況にある身としては嫌がらせの一つを受けているとしか思えないんだよ。
「え!仲良しじゃないですか!?カッコイイ先輩達が仲良くわちゃわちゃしてるの見て、女子が結構騒いでましたよ?」
「え~なんて~?気になる~」
「えっと……桐矢先輩はいつもと同じくカッコイイし、山手先輩もはしゃぐことあるんだ~とか、宝利先輩もいつも以上にというか、こんなにカッコイイというか元から整った顔立ちしてますけど、生き生きとしてて美貌が増してるとか何とか言われてます!」
(へーーそんな風に評価されてんの?俺達…)
美貌云々は捨てておいて、生き生きねぇ?今までが夢の影響で睡眠がガタガタに崩れてたから、朝からダルいし眠いしやる気はないし…休まず登校はしているけど、生き生きはしてなかったもんな~
「そ、うちの楓は綺麗でしょ?自覚がなくって困りもんなのよね?」
どこのおかん?蒼梧よ、お前の家の子になった覚えは未だかつてありませんが?
「え…わかります!宝利先輩、瞳の色もすごい綺麗ですもんね?綺麗って表現ぴったりですよね?」
最初はオドオド緊張しながら蒼梧と話していた上条だったのに、何俺の話題で蒼梧と意気投合してんのよ…
「そうそう、君わかる子だねぇ?もっと自覚を持って貰わなくちゃ、あっという間にどこぞの誰かに攫われそうだよねぇ?」
俺、話の通じる子大好き、なんて満面な笑顔と共に上条に振り向いてやるもんだから、あぁ、ほら、固まっちゃったよ…
「お前、本当に女たらしだな……」
今まで何人の女の子がこいつの笑顔に騙されてきたんだか。上条だって蒼梧に近づきたくて俺と友達になりたいなんて言ってたくらい健気な子なんだぞ?
「それを楓に言われたくないなぁ。」
「何でよ?」
「別に~~」
俺別に女子を唆したりしてないだろ?
「ふぅん。上条さん、桐矢君と話が合いそうだね?僕達は遠慮するから二人で行ったら?」
「え!?……え!…えぇ!?」
グィッと刀貴は俺を引き寄せて、上条に頑張って、と手を振ったりなんかしてる。上条はまんざらでもなさそう。
「山手君、ひど~い!」
蒼梧…ぶうたれた表情作ってるけど、あれ、わざとだな…くっそ、モテる奴はいいですね?どんなことしてもどんな顔してもほら見ろ、上条の目がハートだよ…
「行こう、楓矢。荷物はこのまま持ったげる。」
「山手先輩…誤解してたけど、いい人…」
「………」
蒼梧と離れていく背後で上条のそんな声が聞こえた様な気がする。そんなことより、自分の荷物は自分で持とうと刀貴から荷物奪還に燃えていた身としては、なんとなくそんな気がするかも程度で聞き流す。上条と強制的にペアにされた蒼梧はどう思っているのか分からんけど、グイグイと進んでいく刀貴に物理的に立ち向かってしまうと、ただでさえゴリゴリ削られてた体力が危険値に達してしまう。なのでそのままに流されるまま、校舎の中に入るしか無かった。
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