[本編完結]死を選ぶ程運命から逃げた先に

小葉石

文字の大きさ
上 下
32 / 46

32 *

しおりを挟む
「はぁっ…」

 
 何度も角度を変えて、貪る様に吸い付いてくるキスから息継ぎしたくて顔を背ける。刀貴のキスを受けながら、既に制服は半ば脱がされてベルトも外されて…なし崩しに倒されて、快楽だけが這い上がる。


「かえ、れなく…なるから…」

「送って行く…だから一度だけ…」

 
 耳元から首筋を執拗に舐め吸われて、腰が跳ねる。


「…っん…一度じゃ…終わら、ないだろ?」


 もう自分の性質を知っているんだ。刀貴に与えられる快感からは逃げられない。逃げるどころか、飲み込まれて前後不覚のえらい事になってしまう。それこそ気を失うまで求め続けてしまうなんて、どこのAVかと思う。


(男で良かった……)


 今ならなんとなくそう思う。エロに対しては初心者だけど、きっと男の方が順応性があるだろうから。


「じゃあ、楓矢が満足するまで。」


 最高の笑顔で、ものすごい事を言わないでほしい。明日、学校行けなくなる…
 

「ん…っ…んぅ…ぁっ…」

 後ろに入ってる長い刀貴の指が動くたびに、ビリビリするくらいの快感が背中を走って力が入らない。何回かいったはずなのに、まだ楓矢は煽られる。


「も……や…ぁ……」


 身体の力ぜんぶ持っていかれる様な快感に振り回されて、それでもまだまだ欲しくて辛くなる。


「もう、無理か?」


 楓矢を抱きしめ床に縫い止めている刀貴の息も荒くて熱い…それがまたさらに、中の熱を高めて腰を震わせる。
 

「も…ぅ…ほし………」


 頭がボゥッとしてきて何もわからなくなる。ただ熱い、熱くて、奥が熱くてどうにかして鎮めて欲しい……!


「楓矢……」

 
 こんな時の刀貴の声色は欲望をモロにぶつけてきて更に煽られるのに、まだ中の刺激が足りなくて、もどかしくて苦しい…


(くっそ……!)


 何が悔しいのか、何で苦しいのかよく分からなくなってきて、耐え難い快感に涙まで出てくる始末。


「は、やく…って…!」


 必死に腕を伸ばして刀貴にキスをせがむ、どこかしら、何かで持って埋めてしまわなければ頭がおかしくなりそうだ…! 


「あっあ…ぁぁぅ…あ、ぅ………っ!」


 中心に充てがわれた熱い塊…欲しくて欲しくて今か今かと待ち侘びていた後口は、なんなく刀貴の全てを受け入れた。


「はっ…楓矢、力を抜けるか?これではすぐに、達してしまいそうだ。」

 
 少しだけ眉間に皺を寄せて、刀貴も快感に耐える声を出す。


「あぅっ…ぁあ……む、り……!」


 欲しくて仕方なかった物が今自分の中に居るのに、喜びに打ち震えているのに、コントロールなんて出来るはずがない。内部を満たす圧迫感と、挿入してきた時の周囲への摩擦感。信じられない程の快感がビリビリと指先まで痺れさせる………


「ぁっ…ひぁっ…くっ………ふぅっ」


 刀貴が動くたびに、突き上げられる快感に逆らえずに声が上がって、更なる欲が脳を焼き切るみたいに溶かしていく…


「くっ…これじゃ、持たんな…っ!」


 一層深く突き上げられて刀貴も精を放った。


 一回だったらここでお終い。けど、頭のネジがぶっ飛んでいる奴にはそんな終わりは関係無かった。


「うぅ…ん…」

  
 一呼吸ついてる刀貴から自分で刀貴の物を抜き去って逆に刀貴を押し倒していく。


「奥……まだ、足りない…」


 上がった息を整える間も無く、押し倒した刀貴に自分から跨いで腰を落とす。


「ふっ…何度でも…お前に答える為に俺はある…」


(目が、優しい……)


 煮えたぎってる頭の片隅で、時折ふっと重なる刀貴の瞳が優しくて…欲しいままに熱を貪りながら溶かされていく体だけじゃなくて、心もグズグズにされて行く…


(好きだ…刀貴…好き…もっと……もっと……)


 全身痺れ切って意識が飛ぶまで、お互い何度も求め合った……








しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...