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意外な名前が上がってきた。蒼梧の親父って言ったら桐矢神社の神主で、小さい頃から家同士の付き合いのある、親戚みたいな所……
「終わった…………終わったわ………」
「楓矢?」
なんっちゅー所に連絡を入れてくれるのか…山手がなんの経緯で神社の神主と知り合いになっているのか分からないけど、もう、人生詰んだ………
「速攻、バレるじゃん……」
(蒼梧と家族に………)
普通はもっとナイーブな問題なんじゃ無いの?まだ付き合うとかにも至ってないのに。そんな関係ですって言っているもんなんじゃ………
「何を勘違いしているか知らないけどね、これはずっと前からの約束だ。楓矢だけじゃなく、神主はちゃんと知っていることだろう。なんの心配もいらない。」
「心配しかない……」
(やばい、泣きそう……)
「今回の事、事細かに事情を話してはいない。ただ俺は受け取るものを受け取っただけだ。」
「何それ?俺の知らない所で、話し合わせてんの?」
「………そうか。楓矢の知らない所でだったか……そうだ、そうだな…」
山手は言いながら酷く、遠い目をする。悲しい、苦しいそんな表情は見たくないのに……
「なんだよ…!俺の知らない事って!」
「思い出せば、わかると思うがね?楓矢、俺の名前で呼んで?」
また、突拍子もないことを…
「なんで名前なんて、今、関係なくない?」
「楓矢…俺はお前の名が呼べて嬉しい。」
「な……」
さっきから勝手に人の名前呼び捨てにしてんじゃん!何を今更って感じだけど、なんで山手の雰囲気こんなに違うんだよ…!
「お前の下の名前知らんし!」
「刀貴。」
「う………」
「山手刀貴だ。楓矢。」
「………………」
知ってるはずだ。刀貴の目がそう言ってる。
そんなはずないのに、だって刀貴はただの途中編入してきたクラスメイトでさ?今の今まで関わりらしいものなんて一切なかったじゃんか。なのに……
(なんで、涙が出る………………)
「泣かせたいわけじゃない、楓矢。」
困った様に眉を下げて刀貴が頬を包み込む。
「思い出して欲しかっただけだ。心から……」
「なに…を?」
「楓矢は桐矢神社の風習を知らないのかな?」
「む、紫の瞳を持つ女子が神主の嫁になる……」
知ってる。嫌ってほど…
「そう…それを、心から嫌がった女がいた………」
優しい刀貴の声が響く。大切に大切に一言一言想いを込めて話してる。
「その人…どうなった…?」
呆然と刀貴の瞳を見つめ返しながら、この先は聞きたくないのに、言葉が勝手に出てきてしまう…
「妖刀紫の、犠牲となった。」
ヒュッと喉の奥が引き攣れるみたいになる。妖刀の犠牲……正にあの夢のまま……
「なん、で……あれは、ゆめ、で………」
そう、夢…嫌らしいほどの悪夢……
でも、そう思っていても、夢の中の少女の声が頭から離れない。
「夢ならば、どれ程………どれ程、良かったか……」
やんわりとけれど徐々に力が込められていく刀貴に抱きしめられて、すっぽりと暖かい腕の中。
微かに、刀貴の声が震えてる…何かに耐えて震えて泣いてる……
脳裏に映るのは、いつも最後に見ていたあの人の姿。力一杯抱きしめてくれているのに、暖かいはずの腕の中で寒くも無いのにお互いに震えてた…
「俺が……あの人……?」
今なら分かる。だってちゃんと覚えてる。力強い腕と、震えた声……その全てを最後まで覚えていようと精一杯目を開けて……
"私は貴方…貴方は私…"
「守って……くれたんだ……」
そこで、意識を手放した。
「終わった…………終わったわ………」
「楓矢?」
なんっちゅー所に連絡を入れてくれるのか…山手がなんの経緯で神社の神主と知り合いになっているのか分からないけど、もう、人生詰んだ………
「速攻、バレるじゃん……」
(蒼梧と家族に………)
普通はもっとナイーブな問題なんじゃ無いの?まだ付き合うとかにも至ってないのに。そんな関係ですって言っているもんなんじゃ………
「何を勘違いしているか知らないけどね、これはずっと前からの約束だ。楓矢だけじゃなく、神主はちゃんと知っていることだろう。なんの心配もいらない。」
「心配しかない……」
(やばい、泣きそう……)
「今回の事、事細かに事情を話してはいない。ただ俺は受け取るものを受け取っただけだ。」
「何それ?俺の知らない所で、話し合わせてんの?」
「………そうか。楓矢の知らない所でだったか……そうだ、そうだな…」
山手は言いながら酷く、遠い目をする。悲しい、苦しいそんな表情は見たくないのに……
「なんだよ…!俺の知らない事って!」
「思い出せば、わかると思うがね?楓矢、俺の名前で呼んで?」
また、突拍子もないことを…
「なんで名前なんて、今、関係なくない?」
「楓矢…俺はお前の名が呼べて嬉しい。」
「な……」
さっきから勝手に人の名前呼び捨てにしてんじゃん!何を今更って感じだけど、なんで山手の雰囲気こんなに違うんだよ…!
「お前の下の名前知らんし!」
「刀貴。」
「う………」
「山手刀貴だ。楓矢。」
「………………」
知ってるはずだ。刀貴の目がそう言ってる。
そんなはずないのに、だって刀貴はただの途中編入してきたクラスメイトでさ?今の今まで関わりらしいものなんて一切なかったじゃんか。なのに……
(なんで、涙が出る………………)
「泣かせたいわけじゃない、楓矢。」
困った様に眉を下げて刀貴が頬を包み込む。
「思い出して欲しかっただけだ。心から……」
「なに…を?」
「楓矢は桐矢神社の風習を知らないのかな?」
「む、紫の瞳を持つ女子が神主の嫁になる……」
知ってる。嫌ってほど…
「そう…それを、心から嫌がった女がいた………」
優しい刀貴の声が響く。大切に大切に一言一言想いを込めて話してる。
「その人…どうなった…?」
呆然と刀貴の瞳を見つめ返しながら、この先は聞きたくないのに、言葉が勝手に出てきてしまう…
「妖刀紫の、犠牲となった。」
ヒュッと喉の奥が引き攣れるみたいになる。妖刀の犠牲……正にあの夢のまま……
「なん、で……あれは、ゆめ、で………」
そう、夢…嫌らしいほどの悪夢……
でも、そう思っていても、夢の中の少女の声が頭から離れない。
「夢ならば、どれ程………どれ程、良かったか……」
やんわりとけれど徐々に力が込められていく刀貴に抱きしめられて、すっぽりと暖かい腕の中。
微かに、刀貴の声が震えてる…何かに耐えて震えて泣いてる……
脳裏に映るのは、いつも最後に見ていたあの人の姿。力一杯抱きしめてくれているのに、暖かいはずの腕の中で寒くも無いのにお互いに震えてた…
「俺が……あの人……?」
今なら分かる。だってちゃんと覚えてる。力強い腕と、震えた声……その全てを最後まで覚えていようと精一杯目を開けて……
"私は貴方…貴方は私…"
「守って……くれたんだ……」
そこで、意識を手放した。
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