[本編完結]死を選ぶ程運命から逃げた先に

小葉石

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 古い街にある由緒ある高校の設備もまた老朽化しているもので、コツさえ掴めば壊れかけている倉庫ぐらい開けられる。


「で、だ。山手君。」


 目の前に山手を座らせて必要以上に側に来ないように牽制しつつ、話し合いの場を設ける。


「俺はさ、一応山手君からの…その、告白、はまぁ、理解したつもりではある。」

「うん。」

 ニッコリと微笑む山手は至極幸せそうである。


「が、受け入れた訳じゃないっていうのは分かるよな?」

「そうだね…でも、僕ももう我慢したくない。」

「は?我慢も何も…俺が山手君に答えられないって言う事だってあるだろう?」


 悲しいかな。世の中全ての好意が相手に受け入れられるわけじゃないものだ。


「でも君は言ったよ。もう止めちまえって…あれは…僕の救いだった…」

「ちょ、と。山手君?一人で浸ってる所悪いんだけどさ?あのな、その、恥ずかしながら俺は真剣に付き合った経験とか、無いのな?だから、その~男女間というか、男同士とかの、そんな関係になるやりとりとか、はっきり言って、詳しくはないわけさ……」


(何が悲しくてこんな事を白状してるのやら……)


「宝利君は、僕のことが嫌い?」

 スッと潜められた山手の瞳に、昨日見た悲しそうな色が宿るような気がして、なんだか胸が苦しい…


「や、だから、嫌いとか、好きとか…ぶっちゃけ付き合っても良いとかどこで判断したら良いのかも分からないんだわ。」


 恥の極みである。自分の精神的な幼さの暴露大会……


「だったら簡単だよ宝利君。触れ合ってみたら良いんだ、その相手と。そうしたら本気で嫌なのかどうなのかがわかる。」

「触れ…会う?」

「そう。宝利君が、臨むままに……」


 俺の…望むまま…?



「楓矢…………楓矢?…僕に見せて欲しい…僕だけに…」


 しばしぼうっとしてたと思う。我に帰った時には既に遅かった。自分より大きな身体に、腕にスッポリと包まれて抗議もできない位に強く唇を奪われていた。
 






「ふ……っ…んっ…」

 自分の身体を自由自在に這い回る手に抗おうとしても、山手に触られれば触られるほど力が抜けていく……


「あっ…や、まて…待っ……」

 
 何度も何度も、山手の熱い手は楓矢の中心を服の上から撫でては通り過ぎて行く。その度に下半身が腰から溶けてしまうのではないかと言うくらいに痺れて、震えるのを止められない…

 
「待って良いの?……楓矢、すっごく触って欲しそうだよ?」

 
 耳元で低い声が熱い吐息を吹き込んでくる。

「それ…やっ……!」


(嘘だろ…!?こんだけで、もう…出そう………!)


 昂りを直接触られて高められているわけじゃないのに、自分の意思に関係なく楓矢の身体が戦慄く…

 
「嫌だった?じゃあ、どうしようか?どうして欲しい?楓矢……君の望むままに全て叶えるよ?」


「あぁっ…やぁ……はな、し……」


 下衣が降ろされて、吐き出したもので滑り光っている楓矢の昂りが顕になる。息を整える間も無く、外気にさらされたモノが大きな手に包まれて行く。


「気持ち良かった?うん…良さげだね。どうして欲しい楓矢?この間はここまでしかして上げられなかった………もう、我慢しなくて良いから。」
  
 
 楓矢を後ろから抱きしめる形で抱え込みながら、更に楓矢を高めていく山手の熱い手は動きを止めない。  


「ふぅ………ぅっ」


 反対の手は楓矢の服の中で慎ましい突起を潰してみたり、少しだけ爪で引っ掛けてみたり…

 集中的に弄られているからか達したばかりなのに、楓矢の熱はおさまらない。


(なんで…?)


 チュッ……

 
 耳の側で山手が楓矢の首筋から唇を離す音がする…さっきからずっと身体の熱が治らない……


(いったのに……!)


 首筋を行ったり来たりする熱い山手の舌と唇の感触…ガッチリと抱え込んで楓矢をすっぽりと抱え込んでいる山手からは、山手の汗の匂いだろうものが鼻をくすぐって何故だか余計に興奮してくる……









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