[完]腐違い貴婦人会に出席したら、今何故か騎士団長の妻をしてます…

小葉石

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113、貴婦人の囀 ⑩ マリエッテの手紙

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 お変わりなくお過ごしの皆様にはご挨拶の代わりに、非常に素晴らしいものでしたよ、とまずはお伝えいたします。
 
 皆々様の弛まぬ日頃の努力と献身が、本日私の目の前で花咲きましてございます。 

 まずは私の主人が真に結ばれてお二人の悲願が叶いました事、皆様にも喜んでいただきとうございます。

 あぁ、あの朝のウリート様のお顔………このマリエッテ、長らくお仕えしてきましたけれども、堪えても堪えても涙が出てくるのはなぜなのでございましょうか?ウリート様の身に何かあった時のみ流していた涙が……今も思い出すと目の前が滲んで参ります。
 
 成し終えた後の朝は、天使の様なお顔に溢れんばかりの色気を漂わせておりまして、誰彼かまわず虜にしてしまうのではないかと思うほどに、お美しゅうございました。若様ヒュンダルンが片時も手放したがらないのも頷ける程にそれはそれはお美しく輝いておりました。

 これでしばらく落ち着きますでしょうと思われていたのですけれども、まさかの次の日の晩もだなんて…このマリエッテ、流石にお止めしようかと思いましたが、やけに思い詰めた雰囲気がおありの若様に、それを進言できませんでした。

 そして…まさか…をお使いになるとは思わなかったのです。ええ、このマリエッテ、ウリート様の御身が一番にございます。見目美しく、雄々しい男性達のアレコレを見聞きし、楽しみ、伝えて行く事は生涯に渡っての私の存在理由と言えましょうけれども、それもウリート様の健康あってのことでございます。
 ですから、一晩でおやつれになる様な営みは避けていただきたいと声を上げようとしましたのに……

 若様はを持ち出しになりました。そう、でございます。我らが敬愛いたしますエリッジ侯爵家御息女様を始めとした、ご令嬢の方々が監修してくださった、でございます。

 頂いていた物と私も把握はしておりましたが、まさかこんなにお早い出番が来るとは想像すらしておりませんでした。
 
 あぁ…悔やむべくは、装着時のウリート様を事でございましょう………!!どれだけあの方の肌に映え、どれほど優しく腕を包み込んでいるのか、そしてその時のお顔を………出来れば私も見とうございましたが、それは出歯亀に御座いましょう…唇を噛んで、耐え忍びましたとも…ここは、今これを読んでいる皆様方とも同じ気持ちであると理解しております。
 
 そしてお二人の絆が更に深まったでありましょう次の日の、私の興奮を、どの様に言葉に表せば良いのか皆様、お分かりになりますでしょうか?

 私に昨日のアレやコレを悟られまいと恥ずかしげに俯きましたウリート様が、か細い袖口を捲りますとほっそりとした手首には、それははっきりと、付いていたのでございます。

 ええ、あれは、間違えございません。私、拘束された者の拘束跡を見たことはございませんけれども、ウリート様の兄上であられるアランド様も、顔を顰めて暫く凝視していましたもの…そう、の跡で間違えはございません!

 その時のウリート様と言ったら……私に責め咎められるとでも思ったのでございましょうか?上気したお顔をキュッと引き締めまして、そっと……お隠しになったのでございます。

 お分かりになりますか?皆様!

 何でも私にはお話くださっていたウリート様が、それだけは見てくれるなと……
ただ心配かけまいとするお顔ではありませんでした!無理矢理の行為で困惑してされているご様子でもありませんでした!
 
 納得されて…若様から与えられるものを理解され、受け入れ、その痕跡さえも大切そうにしているその仕草が、ご想像できますでしょうか!!
 これを語り出しましたら、こんなお手紙では語り切る事ができませんので、近々、ご報告と共にお伺いさせていただきとうございます。

追伸
 の素晴らしいことと言ったら、ため息が漏れるほどでありました。
次作を考えておいででしたらば、黒の毛皮に同じ趣向のお意匠などはいかがでございましょう?ウリート様の上で、踊らされている若様の図を模してみてのことですが、ウリート様に翻弄される若様…見とうございませんか……?







「あぁ………」

「マリエッテさんたら、罪な方………!」

「いえ、違いますわ…!こんな所人気の多いカフェでお手紙を開いたレジーネ様が憎らしい……!」

「……ごめんなさい…あの方からの…ただの定期報告だと思いましたの…!内容が、これ程とは…思いませんでしたのよ?信じて?」

 うららかな晴天のある日、王都は変わらず賑やかで人気のカフェは人で溢れている。日柄もよくたまには趣向を外に向けようと、巷の人気店でお茶を嗜む令嬢3名は皆一様に口元に手を当てて俯いてしまっている。人気なカフェであるからか、その姿は大勢の人目につき流石に周囲には異様に映った事だろう。店の奥からこのカフェのオーナーが真っ青な顔に脂汗を浮かべながら走り出てきて、土下座せんばかりの勢いで謝罪を始めたと言う………
     




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