[完]腐違い貴婦人会に出席したら、今何故か騎士団長の妻をしてます…

小葉石

文字の大きさ
上 下
103 / 135

104、叶えた想い 1 *

しおりを挟む
「あ……っ……」

 ヒュンダルンの長い指が後ろで蠢く……これの違和感も圧迫感も、そこから拾ってくる快感も、とうの昔に慣れたと思っていたのに…
 
 今日は何で、こんなに耐えられそうにないの……?

「ふ…ぁ……んっ…」

 全部ヒュンダルンにあげたくて、ウリートは自分の全てを明け渡そうとしているのに、なぜか今日は、いつもと感覚が違いすぎてウリートは戸惑ってしまう。

 ヒュンダルンの大きな熱い手や、唇が身体を伝い、息も止まる程舌を吸い上げられただけで、いつもよりも敏感に快感を拾ってしまうのだ。ゾクゾクとした感覚が、すっかりウリートから力を奪いさって、ヒュンダルンの指が後ろで動く頃には、既に軽く達しそうで、ウリートはそれを必死に堪えている。

「ウリー?…辛いか?」

 後ろに回ったヒュンダルンの指は未だにウリートの中に埋め込まれたままだから…辛いと言ったら、イケないもどかしさは辛くて、でも身体は痛くなくて…

「ぅ…ちが……っ…」

 違う、辛くないと言いたいのに、気を抜くと出してしまいそう………自分の体力の乏しさを知っているウリートとしては、ここで出すわけにはいかないと、ただ必死に首を振る。

「いつもより…感じてる?」

 ウリートの様子からして、ヒュンダルンにも思う所があった。口付け一つで、骨抜きになってしまうウリートを見て、そう確信する。

「あ…ぁ…っ…ぅ…」

 だからと言って手を抜けば、ウリートを傷つけることにもなるのだから、ヒュンダルンは愛撫の手を休めるつもりはないのだが…いつもよりも多めに香油を垂らしつつ、長い指はゆっくりと奥を抉っていく…

「息を、止めるなよ?ウリー…」

 長い時間かけられて慣らされた後口は、抵抗なくヒュンダルンの増やされる指をさらに受け入れてくれる。抜き差しする度に、キュッとヒュンダルンの指を締め付けて来て、その刺激がヒュンダルンを煽って行く…

「はぁ……ウリー………」

 愛する者が目の前でここまで乱れて誘い、自分から出ていかないで欲しいと指を締め上げてくるのに、もうこれ以上の我慢は必要ない…

「ウリー…?」

 何度も、何度も深くキスを落として、ヒュンダルンはウリートの舌をきつく吸う。その度に、ピクピクと反応するウリートが愛しくて堪らない。

「は、ぁ……ヒュ、ン……」

 苦しいキスの息継ぎの間に、ウリートは両腕を伸ばして、まだ足りないと言いたげに、ヒュンダルンを求める。

「……愛してる……」

 荒い息遣いの中、優しく微笑むヒュンダルンがウリートの瞳をしっかりと覗き込んで、そう告げる。何度も言って貰ってるウリートには、宝物の様な言葉だ…

 死ねないって…まだ生きていこうって、心から思わせてくれた人から貰える、生命の言葉……

「ぼく、も…僕の、方が…」

 愛してますって言いたいけど、直ぐにヒュンダルンに唇を塞がれてしまった。

「はぁ……ヒュン…!」
 
「ウリー…加減できなかったら……すまない…後で、いくらでも謝罪するから…」

 軽いキスを無数に落としながら、指をゆっくりと引き抜いたヒュンダルンは、ウリートにまた深くキスを落とす…

「ヒュ……」

 ここまででもう息が上がってしまっているウリートは、両足を割り開いてくるヒュンダルンを涙目で下から見つめる。

「怖いか?」

「いいえ……全く………」

 汗ばんで、上気したウリートの表情は、いつにも増してトロンと柔らいで、それでいて強烈な色気を放ち、冗談でなくヒュンダルンの腰に響いてくる…

 ウリートの足を抱え上げて、ガッチリと張り詰めたヒュンダルンの物を、ウリートの後口に充てがえば、ピクリとウリートの腰が浮く…

「ウリー…愛してる…」
 
 生命の言葉と共に、ヒュンダルンの剛直がウリートを押し開きながら入ってきた…

「あっ……ぁあっ…ぁ…っ…!」

 今までに感じた異物感、圧迫感なんて比ではない物が、ゆっくりと、中を確かめる様に小刻みに動きながら、入ってくる…

「ウリー……大丈夫か?」

「あ…ぁ…っ」

 大丈夫だって、言いたいのに……

「くっ…ぅ……」
 
 噛み締めた口からは呻き声が漏れてしまう…

「ウリー、唇を噛むな…ゆっくり、息をして…」

 苦しそうなのはヒュンダルンも一緒だ。眉間にグッと皺を寄せて、呼吸は先ほどよりも荒くなって…ガチガチに力が入ってしまったウリートをヒュンダルンはもう一度、柔らかなキスで、丹念に溶かしてくれる。そして痛いくらいに張り詰めてしまっていたウリートの陰茎にも手を添えて、緩々と刺激を与えていく。

「あ!…ダメッ……ぁ…ヒュ、ン…!」

 ヒュンダルンの柔らかい唇に溶かされていたウリートは、確実にウリートを高めようとするヒュンダルンの手を止めようとする。

「いっ…ちゃ…ぅ…から…やぁ…!」
 
 ビクンッと跳ねる腰と共に、ウリートは精を吐き出した。

「良いから…何度でも、イケばいい…」

 吐精の快感に息を整えているウリートの頬と首筋に、ヒュンダルンはキスを落としながら、低く囁くのだ。

「あ…んっ……僕、ばかりは…ヤです……」

「安心しろ…これからだろう?」

 途中まで入ってきていたヒュンダルンの剛直が、グッと更に押し入ってくる…

「ひっ…ぁ…っ…」

 中を擦る圧迫感で苦しくて、身を捩ろうと少しでも力を入れてしまえば、更に硬いヒュンダルンを感じてしまって、下半身が震える…

 ヒュンダルンは時間をかけてかなり慎重に身を進めてくれた。痛みよりも圧迫と存在感が物凄くて、それの逃し方がまだよく分からない…

「入ったぞ?」

 苦しそうに眉を顰めていたヒュンダルンが、優しく微笑みかける。

「僕……変では、無い、ですか?」

 声は震えるし、手には力は入らない。汗だくで、あられもない声を上げて、全部恥ずかしい所を見せてしまって…ヒュンダルンに全てを差し出した自分が、他の人と違ってどこかおかしかったら…幻滅されたら居た堪れない……

「頼むから、余り、そんな可愛い事を、言わないでくれ…」

 ヒュンダルンはベッドに突いている方の手を、ギリっと思い切り握りしめた。

「ウリー…俺も必死に耐えているんだ……おかしいのだったら、俺も、一緒だろう?」

「あぁ!!」

 グリッと、ヒュンダルンの剛直が更に奥へと捻り込まれた。

「あぅ…ぁ…ひぁ…ぁ…」

 感触を確かめるみたいに、何度も奥を穿つ律動に、ウリートはただ翻弄されていった…
 












しおりを挟む
感想 95

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?

桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。 前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。 ほんの少しの間お付き合い下さい。

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました

織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

処理中です...